2016年12月10日

読書日記620:ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える



タイトル:ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える
作者:ラズロ・ボック (著), 鬼澤 忍 (翻訳), 矢羽野 薫 (翻訳)
出版元:東洋経済新報社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
君は、最強企業が欲しがる人材なのか?未来の新しい働き方のすべて、ベストチームをつくるアドバイス―世界最高の職場を設計した男、グーグルの人事トップが、採用、育成、評価のすべてを書いた。

感想--------------------------------------------------
最近話題のビジネス書です。あのGoogleの人事トップが採用、育成、評価のすべてについて語った本として有名です。全五百ページ以上と読み応えたっぷりです。

本書を読み終えて感じた事は、「これはGoogleだからこそできることだ」というものと、「これだからGoogleたり得ているのだ」というものです。人事、採用、育成、評価について書かれた本、というよりも、GoogleをGoogleたらしめているGoogleの文化について書かれた本、という事ができるかもしれません。もちろん他社も教訓に出来る点は多くあります。しかし「こんなこと他の会社には無理だろ」と思う箇所も多いです。飛び抜けた業績を上げているからこそ出来る点も多いですし、逆にこれだから飛び抜けた業績を上げられているのだ、と思う箇所も多いです。

本書を読んで全般的に感じる事は、Googleという会社は従業員を善なる者として最大限尊重して扱っている、ということです。徹底的な管理を施す会社と無制限の自由を与える会社があったとすると、Googleは限りなく後者に近いです。それで成り立つのは、世界の中でもレベルの高い頭脳を持つ人々が多く集まっている点、採用に凄まじく時間をかけ、間違いのない人を入社させている点などが挙げられると思います。「自分の仕事に意味を求める」。これは誰もがそうですが、そのことをうまく仕事のモチベーションとして昇華させる仕組みを作り、さらに人の持つ「善意」を信頼して限りなく強制を排除しているGoogleの文化は会社としてもコミュニティとしても理想に近いと感じます。

マネージャーが権利を手放しメンバーの自主性を尊重する、マネージャーがメンバーに寄りそう、食事と通勤バスは全て無料、社内に様々なコミュニティが存在、などなどGoogleの特徴は非常に多いです。しかしその多くが「社員を善意を持った個人として尊重する」という点からスタートしている点が素晴らしいと感じます。そのような理想が理想のまま通っている点は奇跡に近いかもしれません。

「社員に満足してもらう」ひょっとしたら人事の究極の目標はこのひと言なのかもしれません。そしてこの目標を達成するためには、「人間はどのようなときに満足するのか?喜ぶのか?」というところや、さらに深く、「人間とはどのようなものか?」まで掘り下げる必要がありそうです。そしてそのような観点から社員を見ると、違った見え方が出来るように感じました。何より私に取っては、たいていの日本企業に存在する「既得権益層」がいないことが素晴らしく感じました。何もしないのに権力を振り回して高い給料をもらう人たち。そのような人たちが自然と淘汰される仕組みが作られているようにも感じました。

人事、育成、採用、評価の本と言うよりも、文化、コミュニティのあり方、作り方について書かれた本と言った方がいいかもしれませんね。私は本書の前半よりもむしろ後半の文化的側面について書かれた章の方が面白く読めました。五百ページ超となかなかの読み応えですが、読んで損はない本です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
posted by taka at 10:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月03日

読書日記619:IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる



タイトル:IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる
スティーヴン・ベイカー (著), 金山博・武田浩一(日本IBM東京基礎研究所)
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
IBMがその叡智を結集して開発した、自然言語を理解する驚異のスーパーコンピュータ「ワトソン」。今年2月に全米クイズ王を破り優勝するまでの、技術者の激闘1500日を描く「プロジェクトX」流ドキュメント!

感想--------------------------------------------------
いまではテレビのCMでもよく見かけるようになったIBMの「ワトソン」。人間の言葉を解する脅威的な能力を持つ人工知能、というイメージが強いですが、そもそもどのようにできあがってきたものなのか、知りたくて本書を読んでみました。

時はIBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」がチェスの世界チャンピオン、ガルリ・ガスパロフを破った時代までさかのぼります。チェスの世界チャンピオンを破る事を達成したIBMのメンバーは、次の目標をどこに定めるか、について議論を重ね、有名なクイズ番組「ジョパディ」のチャンピオンを破り優勝する事を目的とします。

その道筋は並大抵でない事が本書を読むとよくわかります。チェスト異なり自然言語を「理解」し、問題の内容に沿った回答を導き出すためには、これまでと異なったアプローチが必要となります。機械に言語を「理解」させることができるのか?という内容の説明を読んでいると、その難易度の高さがひしひしと伝わってくるとともに、人間の脳がどれだけ高度な処理をこなしているのか、それもよくわかります。例えば二、三歳の子供でさえもできる形状と名称のタグ付けという単純な処理、様々な動物やを見て、その名称を答えさせる事さえも、非常に難しいことだということがわかります。

最初はジョパディの優勝者には遥かに及ばない成績しか残す事の出来なかったワトソンは、デイビッド・フェルーチ率いるチームが強化を重ねる事で、遂にジョパディのチャンピオンを破るまでに強くなっていきます。本書にもその様子が書かれていますが、出された問題に的確に答えていくコンピューターの姿は圧巻ですね。知識だけでなく、「ジョパディ」というクイズゲームに勝つためのゲーム戦略さえも適切に創り込まれているあたり、すごさを感じます。

個人的な感想として、本書を読む限り、人工知能が人間の頭脳を完全に上回るにはまだまだ時間がかかりそうです。しかしある分野だけであれば、比較的早く人間の頭脳の先を行く事ができ、人の頭脳を補完する役割を果たせるのではないか?と感じました。人工知能はホットな話題ですので、また関連本を読んでみようと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
posted by taka at 09:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月27日

映画日記72:君の名は。

タイトル:君の名は。
監督:新海誠
その他:

あらすじ----------------------------------------------
千年に一度の彗星接近を間近に控えた頃、糸守というド田舎に住む女子高生の三葉は、東京に住む男子高生の瀧と身体が入れ替わることに気付く。いったい何が起きているのかー。

感想--------------------------------------------------
*ネタバレを含むのでご注意ください!!

爆発的なヒットを飛ばし続ける本作「君の名は」。ここのブログでも紹介しているように、新海誠作品は「ほしのこえ」、「雲のむこう、約束の場所」、「秒速五センチメートル」など、「言の葉の庭」以外は見ています。


もはや社会現象とまでなっている作品ですが、ああそりゃそうだよね、こんなど真ん中の恋愛ストーリーをこんなに直球で、こんな美麗な絵で描かれたらそりゃ感動するよね、という感じです。凝った仕掛けはたくさんあります。でも本作の中心に描かれているのは「結び」ですね。人と人の結び。それは家族であり、友達であり、恋人であり、あらゆる人と人との縁なのでしょう。

最も感動したのはラストです。大人になって「何かを探している」という漠然とした感覚に取りつかれたまま日々を過ごす三葉と瀧。「秒速五センチメートル」みたいな終わり方だったらどうしよう、って正直、どきどきしました。でもそこは杞憂でしたね。とてもいい終わり方でした。以前のブログにも書きましたが、「秒速五センチメートル」の主題は「人が前に進んでいくまでの時間」。そして本作「君の名は」の主題は「結び」。この違いですね。

なんかもう、これだけ青春ど真ん中の作品をド直球に描かれると、どんな年代にも受けちゃうんでしょうね。思春期の若者は自分事みたいにどきどきするし、大人や年配の人たちは、「結び」の強さに感動するし。これまで新海作品は絵はすごく綺麗なのに登場人物がみんな堅く真面目なイメージがあったのですが、本作の三葉と瀧は現代っぽくとても柔らかな印象を受けました。これもヒットの一因でしょうね。細田守作品を思い出すくらいに感情豊かでよく動きます。「時をかける少女」の影響もあるのかな、とか思ったりしました。

RADWIMPSの楽曲もいいです。個人的には話題の「前前前世」より「スパークル」の方が染みました。

あー、なんか嫌なこともあるけど、青春っていいねー。って感じです。ラストの二人の涙がとっても印象的で素敵です。二回も見ちゃいましたが、またみたいです。新海誠作品だけあってどのシーンもとても美しいので何回でも見れてしまいます。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
posted by taka at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする