2017年03月05日

読書日記630:愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱



タイトル:愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱
作者:打海 文三
出版元:KADOKAWA / 角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
応化16年、爆弾テロが激発している内戦下の首都圏で、規律ある精鋭部隊として名を馳せる孤児部隊の司令官に、佐々木海人は20歳にして任命された。教育を受ける機会を逃したまま、妹の恵と弟の隆を養うために軍隊に入り、やがて仲間とともに戦場で生きる決意を固めた。そして、ふと背後を振り返ると自分に忠誠を誓う3500人の孤児兵が隊列を組んでいたのだった―。『裸者と裸者』に続く、少年少女の一大叙事詩、第2弾。

感想--------------------------------------------------
打海文三さんの作品、「裸者と裸者」の続きです。「応化クロニクル」と呼ばれる本シリーズは上下巻の本作に加えて「覇者と覇者」がありますが、著者急逝のため未完となっているそうです。

常陸軍内部で確固たる地位を確立した海人は「黒い旅団」との激闘に巻き込まれていくー。

「裸者と裸者」で確立された世界観と各登場人物の個性を下敷きに、さらに苛烈な生き様が展開されていくのが本作です。主人公は「裸者と裸者」の上巻と同じく海人に戻っています。下巻の主人公、月形椿子の生き様にも興味はありますが、それはまた下巻で語られるようです。

無骨な描写は相変わらずですが、本書では関東一帯を舞台に様々な勢力が入り乱れての大混戦の様相を呈してきます。常陸軍、政府軍、宇都宮軍、パンプキン・ガールズ、紅い月、ンガルンガニ、中国マフィア、などなど。その中で確固たる地位を確保している海人の生き様は、「裸者と裸者」での描写よりも安定していて、人間的に見えます。

様々な主義主張の違いがぶつかりあう本作では"ゲイ"がストーリーに欠かすことのできない主軸となっていますが、これがすこしだけ違和感がありました。ここまでの存在感を示すほどに描く必要があったのかな?とは感じます。

戦闘の描写は相変わらず苛烈です。これは良い意味ですね。敵味方区別なく、容赦なく戦場を描ききるこの筆力は著者の魅力です。最後の結末も予想がついたとはいえ、読み終わるまで目が離せませんでした。

飾り気がなく無骨でありながら人の生き様の本質を描くような本作は本当に面白いです。下巻も読む予定です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

2017年02月25日

コミック日記146:ダンジョン飯4


タイトル:ダンジョン飯 4巻
作者:九井 諒子
出版元:KADOKAWA / エンターブレイン
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ついに炎竜(レッドドラゴン)のいる地下5階に
たどり着いたライオス一向。
鉄をも弾く真っ赤な鱗と、骨まで灰にする炎を吐く強敵を相手に
ライオスは、命をかけた作戦を決行する……!
妹・ファリンは救えるのか? そして、竜の肉を喰うことはできるのか!?
腹ペコダンジョンファンタジー、激闘の第4巻!

感想--------------------------------------------------
知る人ぞ知る、という作品だったはずなのに、いつの間にか大ヒット作となっていたダンジョン飯です。一巻の冒頭でレッドドラゴンに食べられた妹ファリンを救うためのライノスたちの旅は、本巻で一つの節目を迎えます。

本巻はこれまでの巻と違ってレッドドラゴンとの死闘が物語の中心になります。これまで戦ってきたどんなモンスターよりも強いレッドドラゴン相手に、ライノス、マルシル、チルチャック、センシは勝つ事が出来るのかー。バトルパートメインの巻なのに、とても面白く、読み応え抜群でした。

ファリンへの愛を感じる巻ですね。マルシルにライノス、二人の思いがよく伝わって、さらに新たな展開が今後待ち受けていそうで、今後の展開がとても楽しみです。今後は迷宮を作った狂乱の魔術師を探し求める旅になっていくのですかね。

本巻はこれまでの巻ほど食事パートが多くはありませんでした。なので料理という観点では物足りない部分もあったかもしれませんね。何でも料理して食べたがるセンシとライノス、それを嫌々食べながらも美味しさを否定できないマルシルとチルチャック、この掛け合いが絶妙です。また本作は九井 諒子さんという女性の作者だけあって、物語が繊細で、細かいところまでよく創り込まれていて、すごく好感が持てます。燃料に舌打ちで着火するというドラゴンの炎を吐く仕組みの説明(炎を吐く直前に「舌打ち音」がすることでわかるそうです。)や、地下都市の描写なんてとてもいいです。女性が読んでもとても面白く感じると思います。

本作は、今一番面白い漫画の一つですね。ダンジョンの地下6階、7階と進むにつれてどんな強力なモンスターが出てくるのか、それをどうセンシが料理していくのか、楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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2017年02月18日

読書日記629:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの



タイトル:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

作者:松尾 豊
出版元:KADOKAWA/中経出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
人類の希望か、あるいは大いなる危機なのか?「人間のように考えるコンピュータ」の実現へ、いま、劇的な進展が訪れようとしている。知能とは何か、人間とは何か。トップクラスの人工知能学者が語る、知的興奮に満ちた一冊。

感想--------------------------------------------------
いま、世の中で最も注目されている技術の一つがAiとも呼ばれる人工知能です。CMで有名となったIBMのワトソンを始め、自動車の自動運転技術や検索技術など様々なところに人工知能は適用できるのではないか、と着目されており、そこで本書を手に取ってみました。

読み終えての感想ですが本書は人工知能について非常に良くまとまった本です。私は「人工知能」という言葉は知っていましたが、恥ずかしながら「機械学習」と「ディープラーニング」の違いもよくわかっていませんでした。そこのところも含めて、いま大三次AIブームとしてなぜこれほどまでにAIが取り上げられているのか、特徴量を自動で抽出するディープラーニングの特徴、その技術の内容、今後の発展の可能性などが非常に良くわかります。専門書のようでいて、専門外の人にもわかりやすく書かれています。

AIは人間を超えるか、という質問が昨今いろいろなところでも取りざたされていますが、この本を読むとその答えについても何となくわかってきます。人工知能は「膨大なデータをもとに判別する」ということは得意であり、この能力については人間を凌駕していきそうです。ただ、この判別する、という領域に置き換えられない分野では人間は強みを発揮し続けると感じました。

本書の後半には、人工知能に関する技術の発展と社会への影響に着いて図式を交えて描かれており、これがとても参考になりました。また人工知能の発展に伴う影響は、技術面だけでなく、人工知能の行動結果に誰が責任を持つのか、といった法律面の整備などにも強く影響を及ぼしそうだと感じました。

世の中を一変させる可能性を持つ人工知能技術。今後どのように発展していくのか注目です。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
posted by taka at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする