読書日記714:ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来


タイトル:ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来
作者:ユヴァル・ノア・ハラリ
出版元:河出書房新社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
我々は不死と幸福、神性を目指し、ホモ・デウス(神のヒト)へと自らをアップグレードする。そのとき、格差は想像を絶するものとなる。『サピエンス全史』の著者が描く衝撃の未来。

感想--------------------------------------------------
前作、人の歴史を大局的に見つめた「サピエンス全史」がヒットだったので、続編も読んでみました。タイトルは「ホモ・デウス」。人から神へ、と物語は続いていきます。飢饉・疫病・戦争。人類を苦しめてきたこの三つとの戦いに人は勝利しつつある。その先で人が目指すものは何か?その問いに著者は「不死」、「幸福」、「神性」と答えます。

飢えや疫病、戦争で苦しんでいる人間はまだまだたくさんいる、という意見もあるかと思いますが、数字上は過去と比較して圧倒的なまでにこの三つについては克服しつつあります。かつては飢えや、黒死病、スペイン風邪といった病が流行ると人口の半分近くが死ぬこともあったそうですが、昨今ではそこまでの疫病や飢えはありません。また戦争についても、世界中で戦争などの暴力で死ぬ人の数は、自殺者の数を下回っているそうです。

人が求めるものとしての不死と幸福。この二つについては納得できます。海外では不死を実際に追求している機関や個人もあり、その研究は様々な成果をもたらしているそうです。一方で幸福の定義は難しいですね。人が「幸せ」と感じる、ということは脳の電気信号によるものであり、実際の現象とは関係のないものである、という意見も多くあるようです。

前作「サピエンス全史」と同様に、本作でも「物語」というものの重要性について著者は触れていきます。人がこれほどまでに発展を遂げたのは、物語、つまりは虚構を共有できたからだというものです。単なる紙切れにものと同等の勝ちを与える貨幣制度、信仰のために命さえも投げ出させる宗教、さまざまな取り決めを守らせる法制と政治。これらは全て見えるものではありませんが、人が共通でその存在を信じているものであり、信じているからこそ今の世界は成り立っています。肉体的には圧倒的な強者である精鋭の兵隊が、なんの肉体的強さも持たない王に従うーこれも王制といった「物語」を共有しているから、というのが著者の言葉です。

ここで考えるのが、日本という国です。宗教の色が薄く、政治への関心も低い現在の日本という国は、この「物語」の効果が薄い国なのでは?と考えたりもします。宗教などの物語が及ぼす倫理的な判断基準が低い日本では刹那的な快楽が優先されるため、それが理由で日本独自の文化を育んで来た。言い切れはしないかもしれませんが、その一面はあると感じます。

不死と幸福と神性。これらを全て獲得したときに人はどうなるのでしょうか?本当に神になるのでしょうか?ここでいう神とは?期待を持って下巻も読んでみようと思います。

最後になりますが、前作もそうですが、この本はとても訳がいいです。難解な内容ですがそれを感じさせずにすいすい読めます。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):

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