2010年03月17日

読書日記190:クーリエジャポン4月号



タイトル:COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2010年 04月号
作者:
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
◆世界の「食糧争奪」戦争 そして、誰も食べられなくなった
・人口増加に気候変動・・・「食欲」から地球を守れるか
・世界が海を食い尽くす!マグロ絶滅へのカウントダウン
・フィレオフィッシュの原料が深海で静かに減っていく
・””飢餓の時代”” に備えて 過熱する「農地争奪」戦争
・「見た目」で農作物を処分する ””もの捨てる人々”” の罪
・あの「枯葉剤」の巨大企業が遺伝子組み換えで人類を救う!?


感想--------------------------------------------------
 クーリエジャパン4月号です。今回は献本ではなく自分で買ってみました。今回の特集は食料問題です。しかし、今号で私が最も注目したのはこの記事ではありません。その前に書かれた「トヨタ「本当の評判」」と題した今回のトヨタのリコール問題を世界各国のメディアの目を通して見た記事です。

 「トヨタ自動車「本当の評判」」と題された本記事で取り上げられている記事は全部で十編。記事は震源地のアメリカを始め、日本、カナダ、ロシア、シンガポール、スペインと世界各国から集められています。記事を読む限り、トヨタバッシングは、世間で言われているようにアメリカの自動車会社や労働組合、政治家の利害が一致した結果、あのような過激な形になっているようです。

 トヨタバッシングの原因は正確にはわかりません。しかし、多くの記事で言われているのは、「トヨタは今後、深刻な状況に直面するだろう」ということです。「ブランドが最大のダメージを被るのは、ブランドが体現してきた価値を直撃する危機が起きた時だ」。本記事の中で最も印象に残った、英国のオブザーバー紙に寄せられた寄稿の言葉です。トヨタは「品質」で欧米の様々なメーカーとの競争に打ち勝ち、大きな利益を上げてきました。しかしその「品質」を脅かす問題が発生している今、トヨタはやはり危険な状況にあるようです。

 また同時に気になったのは、「なぜトヨタはアメリカであそこまで叩かれることになったのか?」ということですが、これは品質問題だけではなく、トヨタがアメリカの政治・経済界に適切な根回しを行ってこなかったことも根底の原因としてあるようです。こういった点が重視されるのは日本もアメリカも変わりませんね。
アメリカでのトヨタの最大のライバルであるGMはいまや国有化されており、まさにアメリカを象徴する企業となっています。従ってGMとアメリカ政府は密に連携していると想像でき、この点もトヨタに取っては不利なのでしょう。またこのGM vs トヨタという構図はそのままアメリカ vs 日本という構図に置き換えやすく、その点ももしかしたらアメリカ人の国民感情を逆撫でしているのかもしれません。何にしろ、今後のトヨタの動向には注目です。

 今回のこの記事の優れている点は、世界の様々な国のメディアの多くの視点から見直すことで一つの記事を多角的に捉えることができているという点だと私は思います。日本国内にいるとどうしてもトヨタの肩を持ちたくなり、またメディアの書き方もフラットではない為、本質がなかなか掴みにくいところがあります。クーリエを読む前はたまにNewsweekを読んでいましたが、その本質の捉え方のうまさに驚いたことは結構あります。ああ、なるほどこういうことか、この問題の裏にはこういう問題があるのか、そういうことが分かるという意味で外の目は重要だな、と常々感じてます。こういう書き方は世界的な規模で展開するクーリエジャポンなどにしかできないですね。こういう多角的な記事はもっともっと読みたいです。

 本号ではあと「世界が見たNIPPON」と森巣博さんの「越境者的ニッポン」が面白かったです。森巣博さんの記事はいつも衝撃的で私はとても好きです。

 最後に、編集長の古賀義章さんが今号を最後に変わられるのですね。編集部にお邪魔させていただいた時にはとても気さくにクーリエの説明をしていただきました。とても話の上手い方で、ファッショナブルな人だな、という感想でした。今後も活躍をお祈りしております。では。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2010年02月17日

読書日記183:クーリエジャポン3月号



タイトル:COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2010年 03月号
作者:
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
~オバマ大統領就任から1年~
堤未果 責任編集 「貧困大国」の真実

“暗黒の8年”と呼ばれたブッシュ政権が終わり、オバマ大統領が就任したことで、アメリカは「貧困大国」から生まれ変わったのか? ベストセラー「ルポ 貧困大国アメリカ」の著者と読み解く、オバマ政権下のアメリカ。


感想--------------------------------------------------
自由の国アメリカ。
政治・経済・技術・芸術といったあらゆる分野で世界を牽引する超大国であり、人種を問わず誰にでもチャンスが与えられ、"アメリカンドリーム"を掴もうと世界から人の集まる平等の国。
 私が最後にアメリカを訪れたのはもう数年前、まだブッシュ大統領の頃になりますが、西海岸の刺すような陽光の下で私の感じたアメリカの印象は、いわばありきたりな、上に書いたようなものでした。

 今月号のクーリエジャポンの特集のタイトルは「貧困大国(アメリカ)の真実」。何百兆円という負債を抱える日本ならまだしも、なぜアメリカが貧困大国なのか?アメリカを訪れた当時の私の印象からも大きく外れたタイトルのため、まずは表紙のこのタイトルに惹き付けられます。
 そしてぱらぱらとページをめくって目次を見てみると、私が毎号楽しみにしている記事「世界が見たNIPPON」の、特に赤字の「NIPPON」の字が目に入りました。今号からは特にこの二つの記事を取り上げて読み比べながら「アメリカ」と「NIPPON」の共通点・違い・それぞれが抱える問題点などについて考えてみました。

<貧困大国(アメリカ)の真実>
 まずは「貧困大国(アメリカ)の真実」です。この特集では医療や教育といった切り口からアメリカ経済が抱える問題について、現場の目線で語っています。この特集で私が特に驚いたのは「フードスタンプ」という食料配給制度を利用しているアメリカ人が過去に類を見ないほど増えているということと、刑務所がビジネスの場としてなりたっている、ということです。

 「食料配給制度」というと戦時中の日本で行われていた制度だし、まさか世界一の大国アメリカでその制度が現在も使われているなんて思いもよりませんでした。しかもここ数年、経済悪化による失業率の増加に伴い受給者は増加しているそうです。アメリカ経済がそこまでひどいことになっているとは知りませんでした。働く意欲はあるのに働き場がなく食料配給を受けざるを得ないー自分の身に起きたとして考えてみると、受給者はおそらく金銭的な面以上に、誇りや自尊心といったものを深く傷つけられるのではないかと思います。
 「刑務所ビジネス」というのは刑務所内の受刑者を安価な働き手として利用することです。東南アジアよりも安価な労働力としてアメリカでは注目されているらしいです。さらにアメリカでは刑務所の入所時に手数料として多額の借金を負わされるため、出所しても借金のためにまた犯罪を犯し、結局また刑務所ビジネスの働き手として戻ってくることになるそうです。
 囚人でもなんでも、使える物は全て徹底して資本主義の枠組みの中に取り入れて使おうとする・・・なんか発想がとてもアメリカらしくてつい笑ってしまいそうになりました。でもこれって昔の奴隷制度とほとんど変わらないですよね。貧困のために犯罪を犯し、さらに借金を背負いまた犯罪を重ねて行く・・・。ひどい話です。行き過ぎた資本主義の例だと思います。


<世界が見たNIPPON>
 次に「世界が見たNIPPON」です。いくつかの記事の中でも特に、かつて無い不況に襲われカプセルホテルで住民登録する東京の"隠れホームレス"を取り上げた記事と、日本経済の「ガラパゴス症候群」を取り上げた記事、「海外進出できない日本ファッションを取り上げた記事の三つが目を引きました。

 「日本は非常に高い技術と品質を持っているのにビジネスモデルの作り方が下手なため海外で競争できない」ー本誌の記事からの抜粋です。これはこれまで主に製造業で言われてきたことですが、ファッション業界も同様で、非常に高い品質があるのに海外進出のノウハウが無いため結局海外ブランドに真似をされるだけで終わってしまっているそうです。
 海外に誇れる高い技術・品質を持ちながらも内に籠ってしまい世界市場に進出できず、結果としてカプセルホテルで暮らさなければならないような人が増えていくー。なんかもったいないというか、残念な話です。

<二つの記事を通して>
 公的資金の注入により大手金融機関が息を吹き返そうとしている一方で、医療、教育はおろか満足に食べることさえできない人たちも増えているアメリカと、過去の栄光に引きずられて限られた国内市場でのみ競争を繰り広げていつまでも外に出て行けずに下降を辿る日本。
 今月号を読んでいて思ったのですが、もしオバマ大統領や鳩山首相が他の首相に変わったとしても両国のこの大きな流れは変わらないのではないか?と感じました。オバマ大統領も鳩山首相も、過去の大統領、首相と比較しても遜色ないか、むしろ優れていると私は思います。きっと問題はもっと奥深く、特集の最後に堤未果さんが言っているような両国の「政治と業界の癒着」にあるのだと思います。この癒着が原因でアメリカでは一部の金融機関にだけお金が集中して国民に金が流れず、日本では昔と変わらず既得権益層に金が流れて新しいことに取り組めていないように感じます。


 これを解決するにはどうすればいいのでしょうね・・・。「政治と業界の癒着」って普通にどの国でもありますし、逆に「政治と業界が癒着していない国」があったとしたらその方が不気味な気がします。要は程度の問題なのかもしれませんね。アメリカや日本は政治が一部の業界団体の利益実現に走りすぎているのかもしれません。我々国民を置き去りにして。
 「真実」こそが最大の武器になるー
 ーこれも堤未果さんの記事の言葉です。この言葉は、確かにその通りだと思うのですが、目の前で食べる物がなくて、医療が届かなくて死に瀕している人がいるのに、そんな悠長でいいの?とも思ってしまいます。ちょっと具体的ではなくてきれいすぎる言葉に感じてしまいますが、他に何ができるかと聞かれると答えに困ってしまいます。

 私なりに考えた結論ですが、トップが誰になろうが結局のところ政治も産業も全て利権、要はカネが絡むのはしょうがないかとは思います。ただそれが行き過ぎると間違った方向に進んでしまう気がします。要は既存の業界と政治の癒着システムを上回るシステムが、カネの関与無しでコミュニティとして広がればいいわけで、そういう意味では老若男女、貧富の差がなく誰もが平等で、自発的な意志を持って参加して即時性の高い、このブログやSNS、TwitterといったITの世界は一つの可能性ではあるかな、と感じました。

 ネットの世界では参加にお金がいりませんし、国の違いも人種の違いも関係ありませんし、誰でも同じ立場で自由に参加して意見を言うことができて、あらゆる情報が詰まっています。例えば本誌では大学教育に莫大なお金がかかり一般人がなかなか入学できない、もしくは奨学金のために莫大な借金を抱えることになると書かれていましたが、もし入れないのであれば、ネット上で全ての知をオープンにし、望む人間の誰もが大学に通うのと同等の教育が受けられるようになり、それを社会が認知できるようになっていけば、だいぶ変わってくるのかもしれないと思いました。ここでも紹介した「Web2.0」に書かれていましたが、MITなどでは既にこのような試みが始まっているようですね。MITのカリキュラムの中身を公開して誰もが同等の教材を使えるようにしているようです。
 ・・・医療や政治に関しても何かいい方法はないかと考えますが、、、思いつきませんでした。まあ、このあたりが限界かもしれませんね。
 
 今号もレビュープラス様に献本いただきました。クーリエジャポンを始めとして毎回レビュープラス様には刺激になる素晴らしい書籍・DVDを提供いただいています。この場を借りて感謝いたします。
 1月から12月までのクーリエジャポンの背表紙を合わせると世界地図になるのですが、今号でアフリカを越えてロシアに入りました。地図を完成させるまで集めてみようかな?次号も楽しみにしています。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S

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2010年01月17日

読書日記176:クーリエ ジャポン 2010年 2月号



タイトル:COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 02月号

作者:
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
WHAT'S NEXT?
ツイッター、iPhone、キンドル、そして…
次の、ITライフ。


感想--------------------------------------------------
 レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。レビュープラスを運営する株式会社ニューノーマル様は「住宅街から、世界へ」をモットーにワークメイトやレビュープラスというサービスを展開していらっしゃいます。レビュープラス様から献本いただいたクーリエ ジャポンは今回で三冊目ですね。読むうちにすっかりクーリエ ジャポンのファンになりました。

 さて今月のクーリエ ジャポンの特集は「次の、ITライフ。」です。私もIT業界で仕事をしていますので本号の特集は非常に面白く読むことが出来ました。今や巷ではiPhoneやツィッター、キンドルといった新しいサービスが物凄い速度で生まれては消えて行きます。本号の特集ではそれらのサービスの勃興とこれからの行く末を占っています。ITの話というと、どうしても専門家以外の人にとっては敷居が高く感じてしまいますが、本誌の特集は専門家ではない人にもわかりやすく書かれていて非常に読みやすいと感じました。

 本号の特集の中で私が特に興味を持って読んだのは特集の冒頭で触れられている「AR(拡張現実)」です。眼鏡のような”ゴーグル”越しに見た全ての物に、それに関する情報がタグのように浮かび上がるという物です。日本でも「セカイカメラ」という名前で同様のサービスが始まっていますが、ゴーグルをかけてものを見るだけでその価格やブランド、そういった情報が全て分かるというのは凄いですね。SFのような世界がまさに現実になりつつあります。
 さらに本号の中ではキンドルやツィッター、さらにはマイクロソフト、アップル、グーグルの今後の戦略についても書かれています。個人的には「天才ジョブズなきアップルが世界を変えられるか?」というアップルに関連した記事が興味深かったです。現在のアップルを育て上げたアップルコンピュータCEO:スティーブ・ジョブズ。特に彼のプレゼンテーションのうまさは伝説的ですね。健康不安を抱える彼の引退後、アップルがどうなるのか?今後も尖った製品を生み出すことが出来るのか?それは今のところ誰にも分かりませんが、Mac愛用者の私としてはアップルには今後もがんばってほしいです。

 ・・・今号の特集を読んでいて感じたのですが、日本の話が全く出てこないですね。ITに関しては新しいサービスが生まれるのは必ずアメリカやUKなどです。個人的にはこれがとても残念です。アメリカなどでは面白い企画、顧客への訴求力がある企画はどんどん形になって行きます。「それおもしろそうじゃん、やってみれば?」っていう感覚なのでしょうね。時には採算さえ度外視して「おもしろい」と思われることに投資し、結果として大きなビジネスにしていく。このような遊び感覚に近い感覚は残念ながら日本の大企業には全くと言っていいほどありません。これが日本と他国の差なのかな、と考えてしまいます。
 また、日本は要素技術やハードに強い反面、他国に比べてシステムやソフトに弱いと常々言われています。このような視点から見た時、日本からツィッターやキンドルのような新しいサービスが生まれるようになるには、今の日本には何が必要なんでしょうね?「海外から見た日本国内のIT事情」みたいな記事も一部あるとうれしかったです。(海外では、日本のIT業界なんて記事にもならないかもしれませんが。)本誌の表紙には仕掛けがしてあって、白い表紙を光に透かしてみると「WHAT'S NEXT?」という文字が浮かび上がります。いつかこの文字が「次は何だろう?」という日本語になる日が来るとうれしいですね。

 特集以外も、今月号も相変わらず盛りだくさんの記事で全てを読み尽くすには相当な時間がかかります。その中で特に目を引いたのは「世界が見たNIPPON」という世界から日本を見た記事です。全部で六編の記事から構成されていますが、中でも目を引いたのは「日本の隠れた中堅企業は世界シェアを独占し続けるか」というUKの”エコノミスト”からの記事です。「これまで日本企業は独自の技術を囲い込むことで優位を保ってきたが、開放的なビジネスモデルを持つ海外の企業にいずれは追いつかれて行くだろう」というのがその内容です。記事では半導体製造装置市場で優位を保っていたキヤノンとニコンがオランダのASML社に取って変わられた例を紹介しています。
 ・・・以前も紹介しましたがやはりこれは島国という閉鎖的な環境で育った日本の性質なのでしょうか?日本人の気質そのものを変えることは簡単にはできないと思いますが、だとすると今の日本企業に打つ手はあるのでしょうか?いろいろと考えさせられる記事でした。

 同様に「世界が見たNIPPON」の記事の中の「「フランスの教科書」に抗議!?韓国の文化振興に水を差す日本」という記事の中では、日本人を「個人として接するとみな礼儀正しくて教養もあるのに、群れると非理性的な行動をとる」と評されています。そして、「この言葉に欧州が見た日本人像がよく反映されている」とも書かれています。これが欧米人の一般的な日本人観だとすると少し残念ですね。やはり日本人はもっと外に出て欧米人に対して積極的に日本人の良さをアピールしていくべきなのでしょうね。

 ・・・こんなことを考えていたら、ちょうどピッタリの記事に行き当たりました。「越境者的ニッポン」という森巣博さんの連載記事です。記事中では、日本人は「ほとんどの人たちは、自力で考えない」「自力で考えれば、日本社会はおかしなことばかりなのに、素朴な疑問を発せられない」と書かれています。日本人はある程度の豊かさを既に手に入れてしまい、政権が変わろうがどうしようが、最低限の生活水準の上では暮らしていくことができます。故に危機感を持つことが無く、リスクをとって外に目を向ける必要も感じていないのかもしれませんね。これが島国育ちの日本人と未開の地を開拓し続けてきた米国人の違いかもしれません。

 本誌では海外の様々な国で発行されている記事を抜粋しながら毎回ある趣旨に沿った特集を組み上げており、本誌を読むことで海外の様々な国でのトレンドや話題を知ることができます。また、これが私は非常に大きな本誌の魅力であると思うのですが、そういった海外の記事を通じて日本という国が抱える問題や、日本の特殊性も浮き彫りにされていき、日本という国を改めて見直すきっかけにもなります。
 世界各国のトレンドを知ると同時に今の日本を見直すことも出来るーこれで680円はお得ですね。次号も楽しみです。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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2009年12月16日

読書日記169:クーリエ ジャポン 2010年 1月号



タイトル:COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 1月号
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
特集 茂木健一郎責任編集『ベルリン』


感想--------------------------------------------------
 レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。レビュープラスを運営する株式会社ニューノーマル様は「住宅街から、世界へ」をモットーにワークメイトやレビュープラスというサービスを展開していらっしゃいます。先月号のレビューでは光栄にも編集長賞をいただき、編集部の訪問までさせていただきました。

 さて今号の特集ですが『ベルリン』です。今なぜベルリンなのか?それは1989年11月のベルリンの壁崩壊からちょうど20年が経過したからです。日本ではさほど大きな話題にもなっていなかったようですが、ベルリンでは記念式典なども開かれていたようですね。

 今号の特集では茂木健一郎さんの寄稿に始まり、ベルリンの壁建設から崩壊までの歴史、壁の崩壊に関わった人々の今、そして東西分裂の影を引きずりつつも新しく生まれ変わろうとしているベルリンの姿を生々しく描き出しています。今号の特集にしっかり眼を通せば行ったことが無くてもベルリンの生の姿が眼に浮かぶのではないでしょうか。

 私はベルリンには行ったことはないのですが、本特集を読むと非常に特殊な都市だということがわかります。東西ドイツの統一というのは資本主義国家と社会主義国家を統一して一つの国家を作り上げたという他に例の無いケースだそうです。そしてその統一の象徴ともいえる都市がこのベルリンだそうですね。何もかもが全く異なる二つの国を一つに統一するー。その作業はドイツという国家全体の政治、経済、文化といった様々な分野に光と影を生み出しているようです。本号ではその様子が現場の目線から丁寧に解説されていると感じました。

 私が今号の特集を見て特に印象に残ったのは二点です。
 まず一つ目は「気鋭の写真家が捉えた素顔のベルリーナーたち」というベルリン市民を写した9枚の写真です。どの写真に写されている人物もファッショナブルでセンスがよく、現代のカルチャーを発信する都市ベルリンに住んでいる印象を受けます。しかし一方でその写真の背景となっているのは落書きされたシャッターや剥き出しの建物であり、無骨さや荒々しさを感じさせます。東西統一という大きな波を超えつつある荒々しさと無骨さを持ち、それと同時に現代アートの発信地として多くの人々を惹き付けるベルリンという都市の魅力を良く表している写真だと思いました。

 そして二つ目は「統一20年のいまも格差が埋まらない理由とは」と題した記事です。この記事の中では東西の統一は表面上は上手く言ったように見えるが内包している問題は大きい、特に東独のあらゆる経済数値は表面的には良好に見えるため深刻な弱点が覆い隠されていると否定的なコメントを載せています。しかし一方で本誌で連載されているノーベル経財学賞受賞者であるポール・クルーグマンの記事中ではドイツは今回の不景気でGDPは急落したが失業者は最低限に抑えることに成功していると肯定的に見ています。
 ・・・両者の違いは視点の違いなのでしょうね。ミクロ的な視点とマクロ的な視点、現場の視点と全体的な視点。この視点の違いによりドイツの経済に対する評価が逆になっているようですね。どちらの見方が正しいということではありませんが、見方によって評価が間逆になるということについて、とても興味深く感じました。

・・・ベルリンという街は東西の統一から20年を経た今でもダイナミックに変わりつつあるのでしょうね。そしてそういった何かを生み出そうとするダイナミックな現場では例え経済的な豊かさとは無縁であっても、人も街も飾らずに生き生きしているようです。本号の記事からはそれがよく伝わってきました。

 本号はこのベルリン特集以外にも面白い記事がいくつもありました。タイム誌が発表した「世界の発明品」ベスト50、2009年を振り返る写真の数々、タリバンに拘束されたNYタイムズ記者の手記・・・。世界中から届くこれら全ての記事を読もうとすると何時間も必要かもしれません。

 世界中からの記事を見ていて思ったのですが、なんとなく世界では「持つ者」と「持たざる者」が明確に分かれてきているように感じました。島が次々と外国人に売られて行くインドネシア、配給制度の廃止により生活の危機に追いつめられて行くキューバ、一方で膨大な費用を投入して軍拡に歯止めのかからない南米、軍隊をも超える軍事力を持つようになった南米の麻薬組織・・・。世界を席巻する資本主義の中で、持つ者は持たざる者から略取することでさらに持とうとし、持たざる者は略取されまいと持つ者に抵抗します。この流れは近年、両者の格差が開くにつれて加熱しつつある気がします。この流れはどこまでいくのでしょうね。
 ・・・そういえば新作「キャピタリズム(資本主義)」の公開を控えたマイケル・ムーア監督のインタビューも載っていました。内容の非常に濃い本号、680円以上の価値は十分にあると思います。
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 余談ですが、本誌は以前まで580円だったそうですが680円に値上げしたそうです。でも販売部数は全く変わらなかったそうです。また、主に都市圏での売り上げが多く、6割が都市圏での売り上げになるそうです。

 ・・・これらの特徴から見て、本誌の購読者には都市圏で働くビジネスマンが多そうです。しかも値上げしても購読者数が変わらないのですから収入に不安が無い層であり、コンテンツに十分な価値を見いだしていそうです。
 このような層へのコンタクトポイントを増やせば、さらに購読者数を増やすことができるのでは?と思いました。例えば空港のラウンジや、スポーツクラブやゴルフクラブの待ち合い、レストランやヘアサロンの待ち合い、こういうある程度収入に余裕のある層の集まるところに展開して行けば少し時間はかかるかもしれませんが購読者数は増えるかも?と思いましたが・・・どうでしょうね?思い付きで申し訳ないですが。

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総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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2009年11月15日

読書日記164:クーリエジャポン12月号


デジタルトロフィー小.jpg

タイトル:COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2009年 12月号
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
創刊4周年記念号!
宇宙人的NIPPON

大特集「世界が見た日本」
鳩山由紀夫、村上春樹、イチロー、宮崎駿 etc



感想--------------------------------------------------
レビュープラス様より献本いただきました。ありがとうございました!レビュープラス様は企業とブロガーの橋渡しをしている会社で、ブロガーの方が登録すると書籍のレビューに応募できる仕組みを展開しています。余談ですがこれからのweb2.0の時代、こういう形態の会社はどんどん増えて行のくでしょうね。

 このクーリエジャポンという雑誌ですが名前は何度か聞いたことがありましたが読むのは初めてです。フランスのクーリエ・アンテンショナルという雑誌と提携し、世界中のメディアから記事を抜粋し、政治・経済・サイエンス・アート・エンターテイメントと様々な分野の話題をカバーする雑誌です。ページ数は140ページ程度と、読み応えは結構ありますね。

 今号の特集は「世界から見た日本」ということで鳩山首相に始まり作家の村上春樹さん、イチロー選手、宮崎駿監督などが続きます。
 この「世界から見た日本」というものには私もとても興味があります。たまたまではありますが、こういった特集を行っている号を読むことができたのはラッキーだったなと思いました。約30ページの特集ですが、日本の注目されている点がまとまっていて、なるほど、とうなずきながら読みました。

 出張や旅行で海外、特に欧米に行くと、例えばCNNのようなニュース番組を見ても日本のことはほとんど取り上げられません。一日見て一回か二回取り上げられればいい方ではないでしょうか。日本は全く世界から注目されていないのではないか?と思う一方で、スシバーやイチローなどの盛り上がりは凄く、きっと日本が注目されるのは食やスポーツといった文化面が中心で、その次が経済面、最後が政治だろうなと考えていました。
 今回の特集でも、取り上げられている十人あまりの「海外で注目を浴びる日本人」の中で政治家は鳩山首相のみ、あとはスポーツ選手や芸術家が多く、やはり日本は文化面での知名度は高いけれど政治面はいまいちなのだな、と改めて実感しました。

 またこの特集のなかで特に私がうれしかったのは映画監督の是枝裕和監督が取り上げられていたことです。以前、この監督の「ワンダフルライフ」という映画をビデオで見てその自然な演技、秘めた想い、切なさにとても感動した覚えがあります。柳楽優弥さんがカンヌを取った「誰も知らない」も見ましたがやはり自然な演技が生きている考えさせられる作品でした。そんな少し思い入れのある人が世界で活躍しているという記事が載るのはやはりうれしいものです。

 一方で日本という国は「日本人」と「外国人」、「日本」と「世界」の間にまだまだ大きな壁をつくってしまうのだな、という印象も持ちました。例えばアメリカやロシアでは自国と世界の間にある壁は無いに等しいのではないでしょうか?「世界の中の日本」という言葉がありますが、日本も世界の一部なのだから、あえてなぜ日本を区切る必要があるのだろうか?と感じてしまうこともあります。

 ・・・これはやはり日本が島国であり独特の文化体系を持った国だからでしょうね。この点がいい意味でも悪い意味でも日本らしさを育んでいるのだろうとも感じます。本号の中で「モノヅクリ大国」として日産の社長であるカルロス・ゴーン氏が日本のモノヅクリ技術はNo1だと言っていますがこれも日本独特の文化の影響だろうと思います。ただ、個人的にはもう少しこの壁を低くして、どんどん日本人も外に出て行くべきかな、と思ったりもします。

 本号では海外で活躍する日本人を特集していましたが、こういった日本人と他の国の人の"母国"や"外国"、"世界"といったものに対する考え方の違いなんかにも触れていただくとより記事に深みが出てくるのではないかとも考えました。
 また、ゴーン氏の記事についてもそうですね。「日本のモノヅクリは素晴らしい」とは以前から言われています。しかし一方で中国やインドの価格攻勢、リーマンショック以降の不景気にに以前ほどの自信をなくしつつあるのも事実です。先日のNHKスペシャルでも日産の電気自動車の話は出ていましたが、やはり中国やシリコンバレー、インドなどでどんどん電気自動車に関連した新しい技術が生まれており、そこと熾烈な競争を行っているそうです。このことについてどう考えているのか?そういったところもぜひ知りたかったです。

 本誌を読んでの感想ですが、世界のニュースを雑誌として届ける、という意味ではNEWSWEEK(日本語版)に似ているかな、と思いました。ただ、月刊ということで本誌の方が分厚く読み応えはあります。また政治色はNEWSWEEKより押さえ気味ですね。本号だけかもしれませんが文化面に力をいれているのかな、と思いました。読む人はどんな人が多いのでしょうね。NEWSWEEKは出張のときに駅のホームで買って鞄にいれて、とできますが、本書はそれには分厚すぎますね。やはり定期購読されている方が多い気がします。月一で海外に何が起こっているか、現場の声をリアルに知ることができるという意味ではお勧めです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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