2016年10月23日

読書日記615:ロマンとソロバン―マツダの技術と経営、その快走の秘密



タイトル:ロマンとソロバン―マツダの技術と経営、その快走の秘密
作者:宮本喜一
出版元:プレジデント社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
独自の環境技術「SKYACTIV」の開発がクルマを、社員を、そしてマツダを変えた!

感想--------------------------------------------------
最近、スカイアクティブ技術で絶好調のマツダ。その絶好調の秘密をジャーナリストである著者が書き綴ったのが本書です。マツダに関する本はたくさんでていますね。楽しみに読んでみました。

本書にはリーマンショックにより危機的状況に陥ったマツダが再建していく様子が技術面と経営面の双方から描かれています。歴代の社長や開発の責任者たちの視点から語られる、危機に瀕したマツダの再建の物語は非常にリアルでありテレビのドキュメント番組を見ているようです。技術的な部分は自動車、特にエンジンの仕組みに詳しくないと分かりにくいところもあると感じましたが、個人的には熱中して読んでしまいました。

本書を読んで強く感じたのは、スカイアクティブは技術だけでなく、経営状態や、マツダという会社が置かれた危機的環境など様々な要因が相まって生まれたものなのだ、ということです。原理原則に基づいて技術を突き詰めていく様は確かに凄いのですが、会社が危機的状況に陥っているのにそのような探求を許し、そこにかけることを選択したマツダという会社の経営判断も素晴らしいと感じました。

またマツダという会社は地元である広島と非常に強い結びつきを持っていることもよくわかりました。戦時中、原爆投下直後は病院や市政の中心的な役割御担ったようで、マツダが危機に陥った際には地元で懸命に支えようとした様子も伝えられています。地元との結びつきの強さや、理想の車、世界一の車の姿を追い求めるその姿は製造業の理想の姿とも感じました。

本書を読む限り、マツダという会社はビジネス書である「ビジョナリーカンパニー」に書かれている、理念を追求し、理念以外の全てを変えることで対応を図ろうとするまさに「ビジョナリーカンパニー」のように感じますね。一点、本書で気になった点としては、描かれているのが開発本部長や社長など役職の高い人ばかりである点ですね。役員クラスの人々の思いにメンバーが応えていった、ということでトップダウンの会社のように見受けられますが、実際はどうだったのか、現場視点の話も読んでみたいところではあります。

先にも書きましたが、マツダの本は様々出ていますね。また他の本も読んでみようと思います


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
posted by taka at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月25日

読書日記598:一瞬で心をつかむ文章術



タイトル:一瞬で心をつかむ文章術
作者:石田章洋
出版元:明日香出版社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
あなたは、3行以内で心をつかむ文章が書けますか?企画書・提案書、ラブレター、小説、どんな文章にも通用するパターンを教えます。みんながよく知っている「起承転結」は忘れたほうがいい!たった3つの要素だけ覚えれば、短い文章も長い文章も速く書ける。3倍速く書ける、最後まで読ませるメール、ブログ、提案書、DM。

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書はここでも「企画は一言」、「スルーされない技術」、「インクルージョン思考」、などで紹介している放送作家の石田章洋さんの著書です。ブログを書く者として文章の書き方というのは非常に気になりますので、楽しみに読んでみました。二百ページほどの厚さの読みやすい本です。


『文章とは「書くためのもの」ではなく、「読んでもらうもの」である』


この一言に本書の中身は尽きるかと思います。目の前にいない読み手をどこまでリアルに想像して文章を書けるのか、その中でもどのような人をターゲットと考えるのか、詳細をイメージして書くことができるか、ここが一番のポイントなのだろうと感じます。

本書は個人的にはかなり役立つ本でした。文章の書き始め方、序論・本論・結論の構成方法やその具体的な中身の書き方、資料の集め方、書き方などが丁寧にまとめられています。数々のヒット番組を出してきた方なので、その内容はどれも体験に裏打ちされていて説得力がありますね。文章の書き方をラーメンを題材に取り上げて説明されているあたりなど、読み手に理解しやすくなる工夫も随所でされており、とても読みやすかったです。

「読む・書く・見直す。これを繰り返すしか文章上達の道はない。」本書に書かれている内容ですが、当たり前のことですね。本書にはその書き方、見直し方のポイントが丁寧に書かれていて、本書を読むと「読む・書く・見直す」をより高度なレベルでできるようになると感じました。

「文章を書く」というスキルは、いろいろなところで役立つと私は感じています。拙文ですが、このブログを定期的に書くことで文章を書く癖、読み直す癖がつき、それは様々な場面で役に立っている、と感じます。いきなりは難しいかと思いますが、この本に書かれている文章を上手に書く要点をうまくこのブログにも反映していきたいと感じました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 08:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月28日

読書日記594:複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考



タイトル:複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考

作者:石田 章洋
出版元:大和書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
った一つの閃きで複数の問題を解消できる、最小の労力で一気に視界を開く。あらゆるトラブルを片付ける包括的なアイデアの作り方!

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書はここでも紹介した「企画はひと言」や「スルーされない技術」といった本の著者である、放送作家の石田章洋さんの著作です。「インクルージョン思考」ということで、複数のトラブルを一挙に解決するインクルーシブ(包括的な)思考について書かれた本です。全200ページ程度で、非常に読みやすい本と感じました。

本書では著者の番組制作の経験を反映し、複数の問題を包括的に解決するにはどうすればいいか?という問いに対する答えを提示しています。本書ではインクルーシブな思考へ到達するためのステップとして以下の四ステップを提示しています。

 @高次の目的を決めて旅立つ
 A目的に従って材料を集める
 B異なる分野の材料をつなげる
 C手放して「ひらめき」とともに帰ってくる

本書を読んでいていくつか心に残った表現がありますが、その一つが「マクロの視点で物事を見る」ということですね。「包括的な思考」なので当然なのですが、小さな問題の根源、全体像を見るということは、問題の本質をとらえるということでもあり、非常に重要と感じました。

また四つのステップでは、特に一番目の「高次の目的を決めて旅立つ」というところが印象に残りました。最終章の「インクルーシブ思考を磨く七つの習慣」にも「自らを世界の一部だと考える」という項目がありますが、これとも繋がりを感じます。つまるところ、「利己的な考えを捨て世の中 のためになるような考えを持つ=物事を高次でとらえ、本質的に考える」ということなのかな、と感じました。

アイデアを生み出すプロセス自体は、徹底的に考えて、悩んで、あとは手放す、ということで他の本でも言われていたりしますが、「問題を解決するには利己的であってはならない」という考え方は新鮮で、また救われる気もします。
あと印象に残ったのは「アイデアは追い込まれないと生まれない」という点です。

一般的な感覚としては、良いアイデアはリラックスしている時に生まれる、と考えがちですが、徹底的に追い込み、強制的に書くことでアイデアは生まれると書かれています。もちろんリラックスすることは重要ですが、その前に相当に追い込む必要があるのだ、ということもわかりました。よいアイデアは天才にしか降りてこないと考えていましたが、そういうわけではなく、徹底的に考えている人のところに降りてくるのだ、という考えにも凡人の身としては勇気づけられます。

「インクルージョン思考」というタイトルですが、良いアイデアの発想法について書かれた本、と言ってもいいかと 思います。あっという間に読み切りました。面白い本でした。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月23日

読書日記589:もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら



タイトル:もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
作者:岩崎 夏海
出版元:新潮社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ある日突然、女子マネージャーになった主人公の川島みなみは、都立程久保高校の野球部を「甲子園に連れていく」と決めた。でもいったい、どうやって? 世界で一番読まれた経営学書『マネジメント』の理論を頼りに、みなみは野球部を変革して行く。「真摯さ」とは何か、顧客は誰か、組織の成長とは……。ドラッカーの教えを実践し、甲子園出場をめざして奮闘する高校生の青春物語!

感想--------------------------------------------------
いまさらながらの「もしドラ」です。言わずもがな、数年前に爆発的なヒットを飛ばした作品ですね。ずーっと積んだままになっていましたがようやく読むことができました。

野球部マネージャーのみなみはドラッカーのマネジメントと出会う。そこに書かれていた内容は野球部復活のための秘訣に通じていたー。

二十世紀最高の知性の一人と呼ばれる経営学者ピーター・ドラッカー。その著書「マネジメント」に出会った弱小野球部のマネージャーみなみが、「マネジメント」の内容を反映させて野球部を甲子園に導いていく、というお話です。一時、ものすごいブームになった本ですので、読んだ方も多いのではないでしょうか。

青春小説にマネジメントの内容を反映させた本、ですが、特筆すべきはその読みやすさです。文章がとても読みやすく、軽く、どんどんと読んでいくことができます。重い本を求めている方には物足りないかもしれませんが、昨今ではこのくらいの軽さの本のほうが売れている気がしますね。ニーズを掴んでいるなあ、と感じます。

「マネジメント」が主体の小説、と読み始めた当初は感じていましたが、最後まで読むと意外にも感動する青春小説でした。「え?こんな展開?」と正直驚きました。笑顔あり、涙ありの意外にも(失礼ですが・・・)感動する本です。


「マネージャーに必要な根本的な資質は真摯さである」


詳しくは読んでいただきたいですが、「マネジメント」の本質はこの一言に尽きますね。そして「マネジメント」というものは経営の現場だけでなく、本書に描かれている野球部のような、あらゆる組織に適用できるものなんだ、とわかります。

本書では「マネジメント」を適用することで野球部は劇的に変わっていきます。その変わり方はさすがに小説らしさを感じてしまうのですが、マネジメントの凄さは良く伝わります。ドラッカーのマネジメントは読めなくても本書なら軽いしよめるのではないでしょうか。私も未読ですが「マネジメント」はあらゆる経営書の原点となる本と感じました。最近では「もしドラ2」も出ていますね。こちらを未読の方は二冊合わせていかがでしょうか。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
レビュープラス
posted by taka at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月27日

読書日記585:世界への扉を開く“考える人”の育て方



タイトル:世界への扉を開く“考える人”の育て方-国際バカロレア(IB)教育が与えるインパクト
作者:大前研一
出版元:ビジネス・ブレークスルー
その他:

あらすじ----------------------------------------------
皆さんは、既に4半世紀前にかかろうとする、今から23年前に語られた大前研一のメッセージをどのように受け止められるでしょうか?
この書籍の元になっている月刊情報誌:大前研一通信では、グローバルな視点で、日本のみならず、世界の政治・経済などの様々な問題を洞察、分析したメッセージを紹介してきました。

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様から献本いただきました。いつもありがとうございます。本書、「”考える人”の育て方」は大前研一通信の特別保存版PartIXとして刊行された書籍で、様々な場での大前研一氏の発言をまとめたものです。今回は電子書籍として献本いただきました。

これまでも大前研一通信についてはこのブログで何度も取り上げていますが、今回の「”考える人”の育て方」の特徴は、”考える人”というタイトルそのままに、教育というものについて多く取り上げている点です。またかなり昔、一九八〇年代や九〇年代の大前研一氏の発言についても多く取り上げられていますね。

大前研一氏が一貫して言われているのは、「自分の頭で考えることの出来る人を育てることが非常に重要」ということです。現在の知識詰め込み型の教育では今後の答えのない問題が多く出てくる社会で生きていく人材を育てることは難しく、もっと”考える”ということに重点を置くことが重要だ、と述べられています。この考えには共感できます。

さらにイーロン・マスクのようなシリコンバレーで活躍している実業家を例に挙げ、「枠にとらわれない、これまでの常識や価値観を壊すような人物を育てることが必要」と述べ、日本はイーロン・マスクやジェフ・ベソスのような傑出した一人の才能に負ける、とも述べられています。また本書の後半は国際バカロレアに関する記事となり、その中ではインタビューを受けた方々が全人各教育の重要性についても述べられていますね。

いつも思うのですが、スティーブ・ジョブスのような傑出した才能を持つ人は、人格的に?と思わされる人が多いのも事実かと思います。自分の思いや理想を最優先し、それを実現するためには他の全てを犠牲にする(本人は犠牲にしていることさえ気付かない)人だからこそ、莫大な成功を収めることが出来るのでしょうね。しかしそう思う一方で、親や社会の眼線としては、莫大な成功など収めなくてもいいから、まともな人間に育って欲しい、と思うのも事実です。社会や家庭で求められる人物像から、成功者というのは大きく離れてしまっているのでしょうね。

このあたりが難しいところかと感じます。日本では、戦後すぐのように「なりふり構っていられず、生きていくことが全て」という時代では上に書いた成功者のような人物像が社会的にも容認されていたのでしょうが、今のようなスマートな時代では、成功する前に「壊れた人間」として排除される可能性が非常に強いと感じています。つまり、今の日本からは大前研一氏が言うような「ストリートスマートな人間」が生まれにくくなっているのでしょうね。簡単なのは海外に出ることでしょうが、そうするとなかなか日本という国の利益には結びつきにくい気もします。

つくづく思いますし、本書にも少しかかれていますが、日本のような横並びが賞賛され、異端を許さないような社会の中ではなかなか上記のような成功者はでにくいと思います。ここは日本流の「成功者」を作り出す仕組みを独自に作ることが必要なのでしょうね。日本にも「成功者」と呼ばれる人は多くいますので、彼らのスタイルを研究することも重要と感じました。

本書はいつもいろいろなことを考えさせてくれて、私にとっては非常に役立つ本だと感じています。また次の号も楽しみです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 13:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする