2014年01月29日

コミック日記126:GIANT KILLING(30)



タイトル:GIANT KILLING(30)
作者:ツジトモ (著), 綱本 将也 (企画・原案)
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
浦和との戦いに敗れ、公式戦で3連敗を喫してしまったETU。
達海は全く動こうとせず、だが静かに燃える眼差しでその敗戦を見守っていたー。
翌日、選手たちの前でなされた重大発表。
自身の「現役復帰」によって達海は新たなる問いを突きつける!


感想--------------------------------------------------
Giant Killingの最新巻です。監督:達海とETUの苦闘は続きます。

浦和に負け、公式戦三連敗となったETU。チームに嫌な雰囲気が漂う中、達海は思いがけない行動に出る−。

年齢別の日本代表に選ばれて大活躍した椿とは裏腹に敗戦を重ねるETU。正直言って最近の巻はETUの活躍が不甲斐ないだけに読んでいても爽快感は感じません。でも誰しもが迎えるであろうこの辛く苦しい時期をしっかりと描くからこそ、本作は面白いんだろうな、とも感じます。


「ETUは元々弱いだの…勝てたら金星なんて考え自体が甘ったれてる」
「本当に強いチームはもっと厳しく自分達を追い込んでんじゃねーの?」


「現役復帰する」と言ってプレイする達海、和解するサポーター達と選手たちなど見所の多い本巻ですが、私が最も印象に残ったのは上の言葉に代表される赤崎の言葉です。自分達が本当に強いのか、その意識を持っていいのか、勝ち星を重ねても迷い続けて、なかなか前に進めないETU。こうした選手やチームの状況をしっかりと描ける本作の作者は、本当に良く勝負事がわかっているし、サッカーを分かっているんだな、と感じます。そしてこうした意識を持たせること、気付かせることこそ、監督の役目なんだろうな、と思います。


派手な必殺シュートがあるわけでもなく、スーパースターが存在するわけでもなく、それでいて、いやそれだからこそサッカーというチームスポーツの面白さ、その醍醐味を余すところ伝えてくれる本作は人気があるのでしょうね。

この苦境をどう乗り越えていくのか、ここからのETUの活躍にも期待大です。チームとしてのプライドを高く持ち、「自分達は強いんだ」という自信を持って立ち向かえる日がきっと来ると信じています。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2014年01月18日

コミック日記125:乙嫁語り 6巻 by森薫



タイトル:乙嫁語り 6巻
作者:森薫
出版元:KADOKAWA/エンターブレイン
その他:

あらすじ----------------------------------------------
物語はふたたび、アミル編へ…。

英国人スミスと案内人アリが、アンカラへの旅を続ける頃。
アミルの兄、アゼルは苦悩していた。生き残るために、カルルクの村を略奪すると決めた親族たち。
その背後には、つぶし合いを狙うロシアの思惑が見え隠れする。
一族への忠誠心と、妹アミルへの愛情、ふたつの板挟みのなかで、アゼルが決めた「正しい選択」とは……?
前巻までのラブ・コメディーから一転、全編に渡ってアクション描写が冴え渡る、戦闘群像の『乙嫁語り』第6巻!


感想--------------------------------------------------
森薫さんの「乙嫁語り」の第六巻です。この方の漫画は一こま一こまの絵の美しさ、その描きこみの凄さ(特に本作では登場人物の衣装や建築物などがとてもきれい)に惹かれます。

親族と組み、アミルたちの住む土地を狙おうとするアミルの父親たち。カルルクを守ろうと奮戦するアミルを前に、アミルの兄であるアゼルは−。


舞台は再びカルルクとアミルの夫婦に戻ります。そして本巻ではこの作品にしては珍しく戦闘場面が続いていきます。アミルたちの土地を奪おうとするアミルの父とバダン、そして奮戦するアミルの兄、アゼル。戦闘場面が続きますが、かなり配慮されていて残虐な場面は最小限に抑えられています。

「乙嫁語り」というタイトルですが、本巻で描かれているのはカルルクとアミルの夫婦というよりもアミルの兄、アゼルですね。壮健で弓の名手でありながら、父親達の企てを冷静な目で見続けるアゼル。このアゼルの眼を通じて、十九世紀、中央アジアで起きていた戦いの一つを読者は見続けることになります。戦いの激しさもそうなのですが、この作者は時代考証が凄まじいので、どのような戦いが繰り広げられていたのか、つぶさに手に取るように分かります。大砲とかまでここでは使われていたのですね・・・。

お互いを思いやるアミルとカルルクの夫婦。その姿ももちろん美しいのですが、本巻の主人公は間違いなくアゼルですね。時代を見る眼も確かですが、それ以上に若く、強く、格好いいです。なんか女性の理想の王子のようなキャラクターですね…。作者の趣味が反映されているのかもしれません。

次の巻はスミスさんたちに視点が移るようですね。地味でありながらも質の高い作品だと思いますので、次巻以降も読んで行きたいと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2014年01月12日

コミック日記124:銀の匙 Silver Spoon 10 by荒川弘



タイトル:銀の匙 Silver Spoon 10
作者:荒川 弘
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
大ヒット酪農青春グラフィティ最新第10巻

実家に帰らない八軒は、ひとり寮に残る…
エゾノーで迎える初めての正月…
一年の計は元旦にあり。
昔の人は、いいことを言う。手打ちのソバで年を越し、つきたてのモチで新年を祝う。そのすべて地産地消。それがエゾノースタイル!
だから八軒は、思う。先人たちの偉大さを…
そして八軒は、惑う。自分の価値に…
この値札は、高いか?安いか?


感想--------------------------------------------------
実写映画化も決まった「銀の匙」の最新巻です。今、「進撃の巨人」に次いで人気があるのが本作ではないでしょうか。「進撃の巨人」とは全くタイプが異なりますが、すごく面白いです。

エゾノーにも厳しい冬がやってきた。ソーセージを販売したり、兄嫁と会ったり、忘れられない日々を過ごしていく−。

本作を読むと、いろいろなものが食べたくなります。
巻ごとにそれは違うのですが、本巻では蕎麦、餅、ホットドッグ、ラクレットチーズですね。個人的には特にホットドッグ。石釜で焼いたパンに、自家製焼き立てのソーセージと、甘みのある越冬キャベツを挟んで食べる。字で書いているだけでもおいしそうです。

蕎麦も餅もチーズもそうですが、新鮮ないい素材をちゃんと調理して食べると本当に美味しいだろうし、「生命をいただく」というのは本当はそういうことなんだろうな、って思います。「銀の匙」というタイトルもそうですが、本作で何度も描かれている「生き物を育てる」→「生き物を調理する」→「生き物を食べる」というサイクルこそが作者が本当に描きたいことなんだろうな、と思います。

そしてその生き物を相手に育っていく八軒たち。時に面白く、時にばかばかしく、でも読み手を飽きさせないのは、物語の根底に「生命を美味しくいただく」ということへの深いリスペクトの心があるからでしょうね。生き物を調理する過程を本当に丁寧に描いていることからもそれは窺われます。本巻を読んでソーセージの作り方を初めてちゃんと知りました。


近付くアキと八軒、初登場の八軒のロシア人兄嫁。でも個人的にすごくよかったのは駒場の再登場ですね。闘志を取り戻した最後のページの駒場、いい感じです。次巻も楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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2013年12月14日

コミック日記123:進撃の巨人(12) by諫山 創



タイトル:進撃の巨人(12)
作者:諫山 創
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。

超大型巨人と鎧の巨人の正体が発覚。エレンとユミルは、彼らに連れ去られてしまう。二人を奪還すべく調査兵団が動き始めるが、エレンとユミルの間に亀裂が走り……!! かつて苦楽を共にした104期の仲間達が、敵味方にわかれて戦うことに!


感想--------------------------------------------------
とどまる事を知らない人気絶頂の「進撃の巨人」の十二巻です。関連本も数多く出版され、一巻出版当初からの人気は衰え知らずです。

エレンとユミルを攫い、逃げるライナーとベルトルト。調査兵団たちはエレンを奪回できるのか−。

最近、漫画を読んでいると、なんとなくですが、作者がどのように描いているのか分かるときがあります。伝えたいことがあり確固たる信念を持って描いている漫画、次の展開に迷いながら描いている漫画、絶頂を経験し下がりかけた人気を取り戻そうともがいている漫画、いろいろあります。本作はなんとなく次の展開に迷っているようにこれまで感じていたのですが、ここにきて吹っ切れたように感じます。物語の展開にも非常にキレが戻り、次の展開が楽しみです。

これまで、特に物語の序盤では戦闘場面が中心で、とくに巨人化したエレンの戦闘シーンでは、人類全体に向けたかのような熱いメッセージが感じられました。しかし本巻からはむしろ深まっていく巨人の謎や、ライナーやベルトルト、ユミル、クリスタといった巨人化する人間の謎に迫る表現や描写、心理的な駆け引きが中心で物語の構成に力を注いだ展開になっているなあって感じます。迸るような感情描写の表現はなりを潜め、謎とその謎をめぐる人々の駆け引きが中心となっている、っていう感じですね。

最初は勢いだけ、という感じだった本作もだいぶ物語が深まってきていて、謎が謎を呼ぶ展開が進み、物語に厚みが増してきています。次巻では壁教やクリスタことヒストリアの話が主になるのでしょうか。物語が厚みを増してきた分、安定性も増し、長く続く物語になってきた感もあります。今後の展開も非常に楽しみです。あとやはり熱い部分は熱いですね。巨人に立ち向かうエレンの姿には胸を打つ物もありました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2013年11月09日

コミック日記122:GIANT KILLING(29)



タイトル:GIANT KILLING(29)
作者:ツジトモ (著)、綱本 将也 (企画・原案)
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
椿と赤崎がU-22五輪日本代表の重責から解放され、ようやくETUに合流!
ところが、ジャパンカップでの連敗をひきずってか、チームの雰囲気はなんだか微妙。
なぜか達海も、明確な改善策を講じない・・・。
チームもまわりも何か違和感を抱えたまま、アウェーの浦和戦に突入してしまう!


感想--------------------------------------------------
サッカー漫画、ジャイアントキリングの最新巻です。快進撃を続けていたETUですが、ここに来て新たな展開を見せてきています。

U22代表戦で大活躍した椿。一方でETUは苦境に立たされる−。

代表で活躍する椿とは裏腹に、本巻では苦しむETUの姿が描かれています。ジャパンカップで連敗、しかも大敗したETUはその苦しみを背負ったままリーグ戦に突入していきます。


「チーム全体に漂ってる、あの妙な空気感ってなんなの?」


達海の言葉ですが、この言葉に現わされるETUの苦しみの根は相当に深いようです。これまでが快進撃を続けてきただけに、苦しみについて描かれているこの巻は読んでいて辛いですね。ここまでの苦境はリーグ戦初めの連敗以来でしょうか。

「変わったつもりになってただけで、一番変わらなきゃいけないところが昔のままだったのかもしれない」

有里のこの言葉は深いですね。サッカーを、勝負事を知っている人でないと書けない言葉ではないかと思います。原案者の意思が反映されている言葉ではないでしょうか。

監督が変わり、勢いに乗って勝てているうちはいいのでしょうが、その強さをチームに植え付け、本物の強さとしていく。この過程を本作でどのように描いていくのか、とても興味のあるところです。そしてこの苦境を乗り越えて本物の強さを手に入れたときにこそ、ETUはリーグ戦で東京ヴィクトリーや鹿島といった強豪と互角に戦えるようになるでしょうし、優勝争いを演じられるようにもなるのでしょうね。またそのときは達海とETUがお互いを卒業するときではないでしょうか。

余談ですがこうした本物の「強さ」を手にした個人やチームは本当に強いですね。調子の波があってもきちんとまとめ、最悪の状況下でも最善のプレーをして最大限の能力を発揮します。このような強さは一朝一夕に手に入るものではないですが、ETUがどのようにしてその力を得て行くのか、楽しみでもあります。しかし、次巻も早く出ないですかねー。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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posted by taka at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする