2008年01月26日

読書日記38:東京DOLL



タイトル:東京DOLL
作者:石田衣良
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
 マスター・オブ・ザ・ゲーム=MGとよばれる天才ゲームクリエイター。背中に濃紺の翼をもつ少女ヨリが彼の孤独を変えてゆく―。


感想--------------------------------------------------
 石田衣良さんの作品です。恋愛小説です。抱えきれないほどの収入を持つにも関らず虚ろな生活を送る男が、不思議な力を持つ少女と出会うことによりだんだんと変わっていく・・、そんな話です。

 この作品の一番のポイントは東京中でMGがヨリの写真を撮る箇所だと思います。石田衣良さん独特の美しい表現が東京の夜の景観を幻想的で美しいものに仕上げています。この表現は石田衣良さんだからできる表現だと思います。

 ストーリーの方は、かなり軽めです。同じ石田衣良さんの「アキハバラ@DEEP (文春文庫)」を思いだしました。ストーリーよりも表現がいいです、この小説は。

 あと、この小説、かなりエロい・・・。そういう描写が苦手な人は手をださない方がいいかと思います。
 とにかく私にとっては東京の夜の幻想的な風景をバックに映し出されるヨリの姿が印象に残る作品でした。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
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2008年01月09日

読書日記34:てのひらの迷路



タイトル:てのひらの迷路 (講談社文庫 い 101-3)
作者:石田衣良
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
 石田衣良のパーソナルな声がきこえてくる、贅沢な贅沢な24篇のショートショット。24のまえがきつきです。


感想--------------------------------------------------
 10ページ程度の小作品を24篇集めた、短編集です。あらすじのところにも書いてありますが、多くの作品が作者:石田衣さん良本人の経験談なので、石田衣良さんの人となりがうかがえる作品となっています。

 母との別れ、恋人との別れ、作家になった経緯、短編小説ができあがっていく過程などがそれぞれの短編で描かれていて、私はとても興味深く読むことができました。

 また、一篇が10ページ程度なのでちょっとした待ち合わせ時間などに読むことができる作品集ですね。

 特に私が気に入った作品は、”ナンバーズ”・”ひとりぼっちの世界”・”書棚と旅する男”・”I氏の生活と意見”などです。悲しい話、暖かい話、ちょっとしたホラーなど様々な作品が用意されていて極上の仕上がりになっていますよ。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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2007年11月18日

読書日記21:40翼再び

今週の水曜日は、更新お休みしました。風邪です。




タイトル:40 翼ふたたび
作者:石田衣良
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
 人生の半分が終わってしまった。それも、いい方の半分が。
 投げやりに始めたプロデュース業で、さまざまな同世代の依頼人に出会い変身する吉松喜一、40歳。生きることの困難と、その先の希望を見つめた感動作!


感想--------------------------------------------------
 転職しフリーのプロデュース業を営む40歳の主人公を中心に、様々な40歳の人々の人生を少しずつ描いた作品です。没落したIT長者、20年以上の引きこもり、そして末期ガン患者・・・。

 作品の中でも紹介されていますが、40歳というのは微妙な年齢ですね。もうこの先、若い頃みたいに楽しいことはあまりないだろうし、自分に見切りをつけてしまう年でもあるし・・・。でも、この作品はそんな40歳にも明るい希望があることを示す作品でもあります。「40歳からはじめよう!」のフレーズが示すとおり、人生、40になろうが50になろうが、気の持ち方しだいで何でもできるんだろうなあと感じました。

 この作品の中で「なるほどなあ」と思った文章は、「40になると世の中にはできることよりも、ずっとたくさんのできないことがあることがわかる。そしてほとんどの夢はかなうはずのない幻として身体から自然に抜け落ちている。余計な荷物を全部捨ててしまっても、人生に残るものがある。それは気持ちよく晴れた空や、吹き寄せる風や、大切な人のひと言といった、ごくあたりまえのかんたんなことばかりだ。」なるほどなあと思います。
 
 力みなく、自然体で生きることの出来ている人は年齢に関係なく美しく素敵に見えるのでしょうね。実際の40歳の状況はこんなに甘いものではないと思いますが、もうすぐ40を迎える私にとっては、勇気をくれる一冊です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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2007年09月29日

読書日記11:ブルータワー

久しぶりにSF作品を読みました。なんか新鮮で、とても楽しめました。



タイトル:ブルータワー
作者:石田衣良
出版元:徳間書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
平凡な一人の男が、天を衝く塔を崩壊から救う。高さ2キロメートルの塔が幾多の危機を越え、雲を分け聳え続けるのだ。世界を救うのは、夢みる力!魂の冒険と愛の発見の物語。石田衣良の新たな挑戦―心ゆすぶられるヒューマン・ファンタジー。


感想--------------------------------------------------
 石田衣良さんの作品です。この人の作品にしては珍しく、SF作品です。一人の男が、生物兵器により地上が荒廃し、高さ2kmの搭に人が住む200年後の世界を救う話です。

 読み始めはやや戸惑いました。200年後の世界の腕輪型のスーパーコンピューターがネコ型だったり、名前の漢字が変だったり・・・。(死露蛾根でシロガネと読んだりする。)人類が滅亡に瀕していて、ハードな雰囲気の世界なのに、出てくるアイテムや会話にそれほどの悲壮感がなくちょっとギャップを感じました。

 でもこれは序盤だけです。後半は戦争や争いの悲惨さを実にうまく前面に出し、その中で悩み続ける主人公の心理描写が素晴らしいです。そして、何よりも石田衣良さんの作品らしく、気持ちよくまとまったエンディング。(ちょっと出来すぎな気もしますが。)素晴らしいです。

 あとがきに、この作品は9/11のテロをきっかけとして書くことを決めた、と書いてありました。確かに自爆テロや細菌・核を用いたテロの悲惨さは200年後の世界だけではなく、現代にも十分当てはまるものだと言えると思います。また、物語の終盤で大規模な戦闘シーンがあるのですが、この描写がまた、戦争の悲惨さを浮き彫りにします。ぜひ、読んでみてください。特に中盤をすぎると、一気に読めます。

 余談ですが、細菌で滅びた世界をテーマにした作品と言うと、映画「12モンキーズ」が浮かびます。「12モンキーズ」の世界が”死に絶えた世界”というイメージなのに対し、この作品の世界は、悲惨ではありますが、人間のバイタリティに溢れています。これも石田衣良さんの人を愛する作風の影響なんでしょうね。言い過ぎかな?

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
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2007年09月02日

読書日記4:1ポンドの悲しみ



タイトル:1ポンドの悲しみ

作者:石田 衣良
出版元:集英社文庫
その他:

あらすじ----------------------------------------------
迷い、傷つきながらも恋をする30代の女性たちを描いた、10のショートストーリー


感想--------------------------------------------------
石田衣良さんの作品です。現在を代表する作家さんで、私の大好きな作家の一人です。この方の作品の根底にはいつも作者の優しさが感じられます。時には甘すぎるのでは?と感じることもあるのですが、疲れている時や傷ついている時にはこの方の本は非常に良い薬になります。登場人物、読者への愛情に溢れた作品を作られる、素晴らしい作家さんだと思います。
 さて、本作品ですが、30代の女性たちの恋愛を描いた10の作品から構成される短編集で、「スローグッドバイ」の続編という感じです。特に私が気に入った作品は、「誰かのウェディング」と「11月のつぼみ」の二作品。30代の女性の、恋愛を望みながらも自分の生活も抱えつつ、といった抑えた恋愛の描き方が非常に素晴らしいと感じました。そして何より驚いたのが、この短編集の半数以上が、実在の誰かの恋愛をベースに作成しているということ。現代社会において、こんなロマンチックな話がこんなにあるなんて、まだまだ今の社会も捨てたもんじゃないな、なんて思ってしまいました。そして、あとがきの作者の以下の文。「劇的な恋なんて、つまらない。普通の女性が、普通の男性に心がかたむく一瞬の動きのほうが、ぼくの小説にはずっといいのです。」本当にすばらしい作家さん・作品です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
posted by taka at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする