2008年04月09日

読書日記52:少女七竈と七人の可愛そうな大人



タイトル:少女七竈と七人の可愛そうな大人
作者:桜庭一樹
出版元:角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。ある朝とつぜんに。――そんな文章ではじまる『少女七竈と七人の可愛そうな大人』は、「GOSICK」シリーズで知られる桜庭一樹さんの最新作。七日間燃やすとよい炭になるという七竈(ななかまど)の木をモチーフに、奔放な母と美しい娘の物語を、季節ごとに語り手を変えながら、独特のリズム感のある文章でつづる。少女のこころの痛みや閉そく感を繊細に描きだすことで定評のある桜庭さんが、今回の作品では “可愛そうな大人”の恋も切実に描いている。


感想--------------------------------------------------
 少し前にも紹介した「少女には向かない職業」の作者、桜庭一樹さんの作品です。 この方の作品を読むのはこれで二作目ですが、やはり女性の作家さんだなあ、と読んでいて随所で思いました。

 いんらんの母から生まれた美貌の少女・七竈(ななかまど)と、同じように美貌の少年・雪風の物語です。旭川の片田舎という閉じた世界の中で暮らす二人と、二人を取り巻く大人たちが運命(?)に翻弄される姿が描かれています。

 正直言って最初はよく話が分かりませんでしたが、最後まで読んでようやく、ああ、この本は少女が大人の女になっていく過程の話なんだ、とわかりました。母親を許し、自分と少年だけの閉じた世界(鉄道模型の世界)から卒業していく姿が描かれています。

 この小説、文体が昭和初期・大正文学のようです。「嗚呼!」とか・・・久しぶりに見ました。でも舞台は平成なんですね。そこに凄く違和感を感じます。これは少女の、「閉ざされた世界」を表現しているんですかね??

 最後の章で「女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。」というフレーズがあります。これは男の私には分からない感覚なのですが、きっと女性にはよく分かる感覚なのでしょうね。この方の他の作品、さらに読んでみたいと思います。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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2008年04月05日

読書日記51:少女には向かない職業



タイトル:少女には向かない職業 (創元推理文庫 M さ 5-1)
作者:桜庭一樹
出版元:創元推理文庫
その他:

あらすじ----------------------------------------------
 あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した・・・・あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから―。これは、ふたりの少女の凄絶な<闘い>の記録。


感想--------------------------------------------------
 「私の男」で直木賞を受賞した桜庭一樹さんの作品です。あらすじにも書いてある通り、ふたりの少女の闘いの記録、です。

 主人公の大西葵は人を殺してしまう殺人者なのですが、それと同時に普通の中学生でもあります。友人関係に悩んだり、男友達とゲームをしたり、その男友達にちょっと恋心を感じたり・・・。そんな等身大の女子中学生が人を殺してしまい、なおかつそのまま中学生として普通に暮らしていく・・・。そんな「日常生活の隣にある異常(殺人)」の描き方がうまいなあと思いました。

 ”バトルモード”に入って、どこまでも残酷になってしまう葵と、普通の明るい女子中学生の葵。こういった二面性は人間なら誰しも持っているものだし、そう考えると誰しも殺人者になりえるのだと納得してしまいます。

 あと、女の子の心理描写がやはり女性の作家だけあってうまいと思います。殺人者なのにとても純粋で友情にあつい二人の少女、大西葵と宮乃下静香に13歳という若さならではの輝きも感じましたが、一方で、とても純粋で輝いている一面を見せつつ、不条理で退廃的で打算的でどこまでも残酷な一面を持つ”少女”の危うさ、怖さを見事に描いていると思います。”少女”は”少年”よりもよっぽど怖いですね・・・。

 この方の作品は直木賞を取っていらい興味を持っています。上記の「私の男」や、「赤朽葉家の伝説」などはぜひ読んでみたいですね。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
posted by taka at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 桜庭 一樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする