2015年01月29日

読書日記525:キャプテンサンダーボルト



タイトル:キャプテンサンダーボルト
作者:阿部 和重 、伊坂幸太郎
出版元:文藝春秋
その他:

あらすじ----------------------------------------------
世界を救うために、二人は走る。東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29。公開中止になった幻の映画。迫りくる冷酷非情な破壊者。すべての謎に答えが出たとき、カウントダウンがはじまった。二人でしか辿りつけなかった到達点。前代未聞の完全合作。

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。
今回の献本はいつもと違い、なんと「ブログを書く人が献本してほしい本を選べる」という献本です!本好きにはたまらない仕組みですね。まだベータ版のようですが、ぜひ本格稼動してほしいです!


さて献本に私が選んだのが本作です。伊坂幸太郎さんと阿部和重さんの合作で、伊坂ファンの私としてはぜひ読んでみたい、と思っていました。本屋大賞にもノミネートされていたりと、評価の高い作品でもあります。

危ない橋を渡ろうとしていた相葉と、金に困っていたサラリーマンの井ノ原。偶然に顔をあわせた幼馴染みの二人は、世界を揺るがす謎に巻き込まれていく−。

阿部和重さんの作品は読んだことないのですが、伊坂テイスト全開の作品だと感じました。伊坂作品だと「ゴールデンスランバー」に近いでしょうか。久しぶりに顔をあわせた幼馴染みの二人がひょんなことから世界を揺るがす謎に巻き込まれていく、という作品です。ところどころに過去の回想を交え、過去と現在の二人の姿を交えながら、軽快なテンポで物語が進んでいきます。

東京大空襲の夜に蔵王に墜落したB29、お蔵入りとなった「鳴神戦隊サンダーボルト」の劇場版、致死率の高い感染病である村上病、そして迫り来る銀髪の屈強な外国人「メカゴジラ2.0」−入り乱れる様々な要素に、いたるところに張られた伏線、それらを背景に疾走する相葉と井ノ原。読むと分かりますがタイトルにもなっている「サンダーボルト」は様々な形で本作に出てきます。全てを切り裂いて突っ走るヒーロー、「サンダーボルト」そんな意味でしょうか。百パーセント、満点のエンターテイメント作品ですね。五百ページを超える分厚い本なのに、あっという間に読み終わりました。本当に面白かったです。

いつものことですが、伊坂作品は、どきどきはらはらする場面でもどこかユーモアを感じさせます。そしてそれがすごく生きています。どきどきはらはらさせる場面だけだと飽きてしまいますが、そこにユーモアがあるからこそ、「またこの人の作品を読んでみよう」と思わされます。これは誰にも真似できないのではないでしょうか。好き嫌いが分かれる部分かと思いますが、私はこの部分が大好きですね。そしてそうしたシーンは本作にもいたる所で描かれています。

本作はべたべたのエンターテイメントですね。とんでもない強さの謎の怪人、世界を揺るがす謎、セクシーな美女(?)、謎の裏に見え隠れする大金−。山形県と宮城という、いつもながらの伊坂作品の舞台なのに、そこでこれだけの様々な要素を詰め込んで、さらに男同士の友情的なものまで描いてしまうあたりに、作家としてのうまさを感じさせます。この前読んだ長編、「死神の浮力」がどちらかというと暗い作品だったので、本作のような全開のエンターテイメント作品は、まさに「待ってました」といった感じです。

伊坂作品は「アイネクライネナハトムジーク」も出ていますね。こちらは短編集で、本作同様に本屋大賞にノミネートされていますがまだ読んでいません。こちらもぜひ読んでみたいと思います。あとは阿部和重さんの作品もですね。芥川賞作家ですが、私はまだ一作も読んだことありませんので、いつか読んでみたいと思います。

ーしかし、この献本の仕組みはすごいですね。。。レビュープラス様には本当に感謝しています。ぜひ続けて欲しいです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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2014年06月11日

読書日記487:首折り男のための協奏曲 by伊坂幸太郎



タイトル:首折り男のための協奏曲
作者:伊坂 幸太郎
出版元:新潮社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。


感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの本です。個人的にこの方の作品は大好きで、ほとんど読んでいると思います。思わず笑ってしまうようなユーモア溢れる会話や文章で、世の中の大事なことを押し付けでなくさらっと言ってのけ、そしてちょっとした感動を与えてくれる。こんな作家さんはあまりいないのではないかと思います。

本書は「首折り男の周辺」「濡れ衣の話」「僕の船」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」「相談役の話」「合コンの話」の七話から成る短編集です。各話はゆるく繋がっていて、首折り男とか、「黒澤」という伊坂シリーズには良く出てくる泥棒だったりとか、時空のねじれとか、そういったものが少しずつ共通して書かれていて、最後にふっと緩く笑える点が共通していますね。

相変わらず、各話ともユーモアとウィットに富んでいて面白いです。特に面白いというか、感動したのはやはり「僕の船」ですね。ありえない偶然の話ですが、それでもこの方の手に掛かると読み終えたときにそんなのどうでもよくなり感動します。あとは「人間らしく」とか「濡れ衣の話」もいいです。「月曜日から逃げろ」は話中に出てきますがチャップリンの「給料日」という映画をモチーフにして作成されており、物語にちょっとした仕掛けがしてあります。仕掛け自体はいいのですが、「で、どうなったの?」という結末がよくわかりませんでした。

「首折り男」というとなにやら物騒な話に聞こえますが、サスペンスやミステリーとも一味違った作品です。なので「マリア・ビートル」のようなハラハラドキドキの展開を期待していると肩透かしを食らいます。「首折り男」自体も決して悪人ではなく、むしろ善人っぽく書かれていたりして、それはそれで面白いです。

物語全般を通して作者が言いたいことはいろいろとあると思いますが、「人間らしく」に書かれていた「天網恢恢疎にして、そこそこ漏らす」っていう言葉が凄く印象に残りましたね。この言葉をつくっちゃった著者のセンス、個人的には抜群です。「神様だっていつも見ているわけじゃないんだから、理不尽な目に合っても笑って許してやろうよ、見ているときにはきっと助けてくれるんだからさ」みたいな意味なのですが、なんかこの緩さと言うか、肩からふっと力が抜ける感じが、ああまさに伊坂作品、って思ってしまいました。脱帽です。

こういう、肩肘張らずにふっと笑って「そうだよな」って腹落ちしてしまう言葉を言ってくれるこの作者、本当にうまいなあって思ってしまいます。人に自分の思っている言葉を伝える方法って、熱っぽく話す以外にもいろいろとあるんだよな、って思ったりして、いい勉強にもなったりします。

さて、まだこの次の作品は出てないですかね…?次回作も超期待です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):


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2014年02月12日

読書日記464:死神の浮力 by伊坂幸太郎



タイトル:死神の浮力
作者:伊坂 幸太郎
出版元:文藝春秋
その他:

あらすじ----------------------------------------------
『死神の精度』で活躍した「千葉」が8年ぶりに帰ってきました!
クールでちょっととぼけた死神を、今度は書き下ろし長編でお楽しみください。


感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの作品です。死神である千葉の活躍を描いた短編集「死神の精度」の続編的な長編作品ですね。個人的に「死神の精度」は数ある伊坂作品の中でも「重力ピエロ」や「砂漠」に並ぶ傑作と思っていますのでその続編ということで楽しみに読んでみました。前作「死神の精度」は金城武さん主演で映画化もされています。

愛娘をサイコパスに殺された山野辺夫妻。復讐を誓う二人の前にとぼけた口調の死神、千葉が現れるー。

寿命が近づいた人間の近くに現れて調査し、「可」なら死、「見送り」なら延命とする死神。その調査員 千葉と調査対象の人間の残された日々を描く作品ですが、読み始めてすぐに感じたのは「死神の精度」との違いです。死神の話なのにどちらかというと明るめの話だった「死神の精度」とは違い、プロローグで描かれている話は実に暗いです。愛娘を殺された夫婦の話なので暗いのは当たり前なのですが、非常に重々しい話の始まり方で、「読み切れるのか?」と不安にさえなります。

しかし物語は徐々に徐々にと明るさが現れてきます。この辺りは死神 千葉のキャラクターが非常に効いています。生真面目でいてとぼけた口調の千葉はその気はないのに笑いを生み、夫婦に少しずつ明るさを取り戻していきます。このあたりのバランスのとり方は実にうまいと感じます。

物語は復讐を誓う山野辺夫妻が無罪となって釈放された殺人犯 本郷を追う形で進んでいきます。追い詰めているのか追い込まれているのか微妙ですが、夫婦と千葉は悪戦苦闘しつつ本郷と渡り合っていきます。

物語を読み終えての感想は「うーん」という感じですね。可もなく、不可もなく、でもねえ・・・。ってちょっと思う終わり方で、これはこれでありかとも思います。詳細はぜひ読んでみてください。


本作は死神が主人公だけあって人の死を見つめた言葉が多く現れます。ここら辺は前作「死神の精度」や「終末のフール」と共通していますが、慌てふためくことなく死をしっかりと見つめていく登場人物の描写にはいつも感嘆させられます。死を目前にして、それでも笑い生きる登場人物たち。そこには人間の強さがあり、人の描写の深さを感じさせます。

「怖くないことは分かっているんだ。おまえが怖がる必要はどこにもない」
「え」
「だから、先に行って確かめてくるよ」

ある父子の会話ですが、ここはちょっと感動しました。
人はいつかは必ず死ぬ。自分も、自分の親も、そして自分の子供たちでさえも。そのことを知りながらも理解しながらも日々を摘んで生きていく人間。そして良心を持たない人たちにも屈せずに協力し合う人間。直接的な表現ではなく、千葉と山野辺夫妻の七日間の関わり合いを通じてそういうことを示していく本作はやはりその表現がとてもうまく、良作だなあと思います。

最初のプロローグを読んだときは本当に暗っ!と思ったのですが、読みごたえがあり、読み終えた時に「ああ伊坂作品だな」と思える充実感のある作品でした。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2014年01月15日

読書日記459:ガソリン生活 by伊坂幸太郎



タイトル:ガソリン生活
作者:伊坂 幸太郎
出版元:朝日新聞出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
実のところ、日々、車同士は排出ガスの届く距離で会話している。本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族(ただし一番大人なのは弟)。兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影?大小の謎に、仲良し望月ファミリーは巻き込まれて、さあ大変。凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは元女優とパパラッチの追走事故でした。謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説。


感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの作品です。「好きな作家は?」と聞かれたら私はきっとこの方を挙げると思います。この方の作品は最新作の「死神の浮力」は未読ですが他はおそらく全て読んでいます(エッセイは除く)。他の作家さんと少し違ったユーモアのある物語の雰囲気が、気に入っています。

望月家の愛車である緑のデミオは、長男である良夫や次男の亨を乗せて今日も街を行く。そんなある日、「逃げているの、助けてくれないかな」と言って一人の女性が乗り込んできた−。

主人公が死神だったり、猫だったりと様々な作品を書いてきた作者ですが、本作の主人公は望月家の緑のデミオ(緑デミ)、なんと自動車です。自動車が主人公という作品はあまりないのではないでしょうか。とてもユニークです。

物語は主人公である緑デミの持ち主である望月家が巻き込まれていく事件を描いています。突然乗り込んできた謎の女性、長女 まどかの抱える悩み、次男 亨の学校で抱えるいじめ問題などなど、いろいろな問題が降ってきます。

緑デミは自動車なので自分達で動くことはできず、持ち主に運転されるだけです。視点も緑デミに固定されているため、乗員が降りてしまうと駐車場に取り残されてしまったりします。ですので基本的に車内での乗員同士の会話や他の車との会話から謎に隠された真実を推理していったりします。なんかこういう「自動車が主人公」っていう物語には過去にも触れたことが無くて、とても斬新に感じました。

さて本作の主人公の緑デミですが、読んでいるとこの緑デミがとても可愛く思えてきます。ここが私的には本作で最もヒットしたところですね。自動車同士は会話できて「やあ緑デミ」とか「やあ、黒アテンザ」とか「やあ、ヴィッツ」とか挨拶して世間話をしたりします。ときには「なんだアルファロメオを知らないのか」って言ったりして、この自動車の世界がとても楽しく感じられます(もちろん車同士の会話は人間には聞こえません)。伝説となっている凶悪な車「ミスター・タンクローリー」(映画「激突!」にでてくるタンクローリーですね)がいたりとか、自動車たちにとって電車は憧れの対象だったりとか、二輪車とはどうしても意思疎通が取れないとか、設定が細かくて、面白くて読んでいてとても楽しくなります。「機関車トーマス」や「チャギントン」の自動車版と言ったらいいでしょうか。トーマスなんかと違って自分の意思では動けないですが、この会話のユニークさは共通するところもあると思います。あと自動車たちは自分たちの乗り手をすごく大切に思っていて、そこもなんかいいなあ、って感じさせます。

物語自体は結構大きくて凶悪な謎が物語の中盤少し過ぎで解決してしまい、その後は小さな謎の解決がメインとなっていくため、物語の盛り上がり的には最後は少し足りないかな、と思ったりもしたのですが、エピローグがすごくよくて、ちょっと感動しました。自動車と人間の関係って、購入して何年かしたら自動車を手放したり新しい車に買い換えて終わり、ってなってしまうのが普通ですが、こういう関係があったら素敵だなって思える物語でした。「死神の浮力」も読む予定です。この著者が今後もどんな物語を見せてくれるのか、とても楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2013年05月18日

読書日記417:残り全部バケーション by伊坂幸太郎



タイトル:残り全部バケーション
作者:伊坂幸太郎
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
人生の<小さな奇跡>の物語
夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として〈岡田〉と名乗る男とドライブすることに──(第一章「残り全部バケーション」)他、五章構成の連作集。



感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの比較的新しい作品です。本作は「残り全部バケーション」「タキオン作戦」「検問」「小さな兵隊」「飛べても8分」の五編からなる連作中編集です。雑誌に掲載されていたり、書下ろしがあったりと様々な中編ですが、登場人物は概ね共通しています。

主に当たり屋として危うい仕事をこなしてきた「溝口」と「岡田」。ひょんなことから「岡田」は夫婦の離婚が決まった早坂家の三人と車で旅行に出ることになる−。

五編に共通して出てくるのが、「溝口」と「岡田」という二人ですね。年配の溝口と、その子分の若い岡田。怪しい仕事についている二人ですが、軽口を叩きあったり軽妙な会話を交わしたりと憎めないキャラです。まさに伊坂作品のキャラクターです。

本作はこの溝口と岡田を中心に、様々な人間がかかわりあいながら物語を作り上げていきます。時系列もばらばらで、溝口が小学生時代の話が出てきたり、最初の作品からしばらく後の物語があったりと、あちこちに物語は飛ぶのですが、溝口と岡田のキャラクター(特に溝口)が共通しているため、物語がどこかに行ってしまうことはありません。ここらへんは、さすがに磐石です。

物語自体は、各編の最後に、関係した人たちがが少しだけすっきりするようないい話が多く、これも伊坂作品の特長だな、と感じます。心がじわりと少しだけ、あったかくなり、前を向いていけるような終わり方っていうのは物語として凄く難しいと思います。ニヤリと笑ってしまうような表現が多くて、この方の作品は読んでいて、本当に飽きないです。

本作を読んでいると、著者は人の感情を描くのがとてもうまいと感じます。どこか人を食ったような、ユーモアに満ちた表現が多いのに、それが不思議とリアリティを持って読者に伝わってきます。人は嬉しいときに必ずしも笑うわけではないし、嫌なことをされたからといって、必ずしも怒るわけではない、ということを著者はよく知っているんだろうなあ、と感じます。誘拐された被害者は怯えるだけでなく、犯人のやり取りを聞きながら「そんなはずないよね」って心の中で突っ込み入れるかもしれないですし、自分を裏切った人に対して、怒るのではなく、「しょうがない人だなあ」って笑ってしまうこともあるかと思います。著者はそうした人の心のリアルな動きを凄くよくわかっていて、そこにうまくユーモアを過剰にならない程度に絡めて表現しています。そして、その匙加減が絶妙なんです。

世の中には怒るべきときに黙ってしまう人もいれば、悲しいときに笑ってしまう人もいるわけで、実際にはそうした人間の心の動きをみんな知っているはずなのに、文章で表現しようとするとなかなかうまくいきません。でもこの著者は何気ない、しかし絶妙の表現で、その心の動きを書いてしまうから人気が出るんでしょうね。

ユーモアに満ちた、でもリアリティに溢れた表現。この人の手に掛かると、どんな物語もどんな人の生き方もユーモアと愛しさに溢れたものになってしまいそうです。この先も長年に渡って人々に愛される作家さんだと思います。

一つだけ難点を挙げるとすると、本作の終わり方ですかね・・・。「え?ここで終わり?」っていう印象でした。「あとは読者の想像に任せます」っていうことなんでしょうが・・・。「バイバイ、ブラックバード」を思い出しました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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タグ:伊坂幸太郎
posted by taka at 16:03| Comment(0) | TrackBack(2) | 伊坂 幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする