2009年02月07日

読書日記113:別冊 図書館戦争2



タイトル:別冊 図書館戦争〈2〉
作者:有川浩
出版元:メディアワークス
その他:

あらすじ----------------------------------------------
大好評『図書館戦争』シリーズ、スピンアウト第2弾!そんで、結局あの人たちは?これにて幕引き。


感想--------------------------------------------------
 図書館戦争シリーズの最終作品です。本シリーズが4作、別冊が2作の本シリーズもこれで終了です。シリーズ的にはとても面白かったですが、かなり若い世代(少年少女?)向けの作品かと思いました。

 本作も恋愛中心の展開ですが、スポットが当てられているのは柴崎と手塚です。本作では脇役的存在だった二人の活躍を中心に、堂上や小牧の若い頃の話、緒形の過去の話を絡めています。

 「戦争」というタイトルの割にはラブコメののりが強い本シリーズ、優しいタッチのストーリー展開、ベタ甘の恋愛模様に、はまる人は本当にはまるかと思います。ただストーリー展開がどこまでも甘いため、読んでいて気恥ずかしさを覚えることもしばしばです。大人の男性にはあまり向かないストーリーかもしれません

 本シリーズの最も素晴らしい点は、「図書館」という日常的な空間を「戦争」と絡めた点だと思います。そして、そこに不自然さを感じさせないように背景をしっかり構築し、徹底的に現実的に表現した点でしょうね。ストーリー展開は恋愛中心ですが背景がしっかりとしているため不自然にならず、違和感無くしっかりと最後まで読み切ることが出来ました。傑作です。
 次回作が楽しみです。「塩の街」に代表される自衛隊三部作のようにやはり自衛隊もの、軍隊ものを書かせると一級ですね。「阪急電車」も好きですが、またこのような軍隊ものに期待します。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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2008年10月29日

読書日記95:阪急電車



タイトル:阪急電車
作者:有川浩
出版元:幻冬舎
その他:

あらすじ----------------------------------------------
恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車……関西のローカル線を舞台に繰り広げられる、片道わずか15分の胸キュン物語。大ベストセ ラー『図書館戦争』シリーズの著者による傑作の連作集。


感想--------------------------------------------------
 「図書館戦争」シリーズで有名な有川浩さんの作品です。「阪急電車」というタイトルの通り、阪急電車 今津線が舞台の軽い恋愛小説です。宝塚駅からスタートし、西宮北口駅までの8駅×往復分の計16の章から構成されています。各章毎の登場人物が前後の章の登場人物と微妙にかかわり合いながら話が進んでいきます。

 阪急電車内での出会いをきっかけに始まる恋、終わる恋。様々な恋の話を中心に作品は展開して行くのですが、そこはやはり女性作家さん、特に女性の視点から見た恋愛の話が抜群に面白いです。
 私が最も面白いと思ったのは、恋人を寝取られた女性が、仕返しのために相手の結婚式に白いドレスで乗り込む話。花嫁よりも目立つ衣装で結婚式に乗り込み、「結婚式を絶対にいい思い出などにさせない」という執念を見せる当たり、女性は男性より全然怖い、と感じさせました。
 この方の作品はべたべたなラブコメチックな恋愛を描いている作品が多いのですが、案外こういったドロドロした恋愛を描いても面白いのではないか?と感じました。

 恋愛の話も多いのですが、他にも乗り合わせた人の一言をきっかけに別れを決意した女子大生の話や、亡くなった旦那さんとの思い出の犬の話など、恋愛とは少し違いますが、いい話が多いですね。今津線沿線の各駅の風景も随所に描かれていて、今津線を知っている人はうなずきながら読めるのではないでしょうか?

ページ数も200ページ程度とあっさりしていて、読みやすい本でした。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2008年10月11日

読書日記91:別冊図書館戦争1



タイトル:別冊図書館戦争 1 (1)
作者:有川浩
出版元:メディアワークス
その他:

あらすじ----------------------------------------------
恋愛成分たっぷりの、ベタ甘全開スピンアウト・別冊シリーズ第1弾。「明日はときどき血の雨が降るでしょう」「シアワセになりましょう」など全5話を収録した、武闘派バカップル恋人期間の紆余曲折アソート。


感想--------------------------------------------------
図書館戦争」シリーズの別冊です。図書館戦争シリーズは4作目の「図書館革命」で終了しているのですが、「その後の話」的な位置付けの別冊図書館戦争が2冊、出ています。その2冊のうちの一冊が、本書です。

 別冊図書館戦争シリーズは、位置付け的には本編の続きなので登場人物はそのままですが、ストーリー的にはかなりラブコメチックです。あらすじにも書いてありますが、読んでいる側が恥ずかしくなるほどベタ甘全開です。一冊目は堂本と笠原の話が中心ですが、二冊目はきっと柴崎と手塚とか、小牧と鞠江の話が中心になるのでしょうね。

 本編のように、言論の自由とか図書館の権利とか固い話がない分、完全に”ラブコメ”と割り切って読めば十分に面白いと思います。例によってラストもハッピーエンドですし。自分的には堂本と笠原より手塚と柴崎の付き合いの方が読んでいて面白いので、二冊目も楽しみです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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2008年09月24日

読書日記87:塩の街



タイトル:塩の街
作者:有川浩
出版元:メディアワークス
その他:第10回電撃大賞<大賞>受賞作

あらすじ----------------------------------------------
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた・・・。
 第10回電撃大賞<大賞>受賞作にて有川浩のデビュー作でもある『塩の街』が、本編大幅改稿、番外編短編四篇を加えた大ボリュームでハードカバー単行本として刊行される。


感想--------------------------------------------------
 「図書館戦争」シリーズ、「空の中 」で紹介した有川浩さんの作品ですね。「自衛隊三部作」の陸自編にして、電撃大賞受賞作でデビュー作です。

 「塩害」と呼ばれる、人が塩の結晶となってしまう現象により崩壊した世界。一組の男女、真奈と秋庭の二人を軸に、その崩壊した世界で生きる人々の姿を描いています・・・。とはいっても、やはり有川浩さんの作品らしく、主題は恋愛です。明日には自分が塩の結晶となってしまうかもしれない、そんな極限の世界の中で、通常の世界ではすれ違うだけだったかもしれない男女がお互いを想い、愛し合うようになっていく・・・。そんな話です。有川浩さんの作品に共通することですが、登場人物の心理描写が深く、抜群にうまいです。特に恋愛している男女の描き方は冴えているなあ、とうなってしまいます。
 一方で、塩害による崩壊した世界の描き方は少し物足りなさを感じました。あえて避けているのかもしれませんが、「明日には自分が塩になってしまうかもしれない」なんて世界では誰もが圧倒的な恐怖を覚えるのが普通だと想いますが、その「恐怖」や「混乱」がまだ少し物足りないなあ、と想いました。・・・まあ主題は「恋愛」ですしね。

 この本を読んでいて伊坂幸太郎さんの「終末のフール」(読書日記で紹介)を思い出しました。
 この本は隕石の衝突により三年後には世界が滅びることが確定している世界で暮らす人々を描いた作品です。崩壊した世界を描いている、という点が「塩の街」と共通している点ですね。こちらの作品では恋愛に限らず、普通の人たちが最後の時を静かに待ち、その残された時間で何が出来るかをじっくり考えながら今出来ることをして行こう、という作品です。

 明日自分がどうなるか分からないから、伝えられなかった想いを伝えようとする恋人たちを描いた「塩の街」。そして残された時間が少ない中で、お互いを許したり、恋人を作ったり、今出来ることをしようとする人々を描いた「終末のフール」。
 どちらも描き方は違いますが、極限状態での人間の優しさみたいなものを描いた点は共通していると思いますし、どちらも非常にお勧めの作品です。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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タグ:書評 塩の街
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2008年09月13日

読書日記84:空の中



タイトル:空の中
作者:有川浩
出版元:角川文庫
その他:

あらすじ----------------------------------------------
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?
一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とはーすべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント!!


感想--------------------------------------------------
 「図書館戦争」シリーズで有名な有川浩さんの作品です。「図書館戦争」シリーズの前に、自衛隊三部作と呼ばれる三作を書かれているのですが、その三部作「塩の街」、「海の底」、「空の中」の一作です。本作は空自ものですね。「大人ライトノベル」を目指して作った、と作者が言っているように、ライトノベルに近い文調の小説ですね。
 
 飛行機事故が相次ぐ空域を調査する空自隊員とメーカー担当者。そして、不思議な生物を拾った、飛行機事故で親を失った子供・・・。本作、序盤では事故を調査するメーカー担当者の視点と、不思議な生物を拾った子供の視点の、2つの視点で物語が展開されていきます。徐々に明かされていく秘密と、最初は別々だった二つの視点が絡み合い、最終的に一つの物語としてクライマックスに向かって行きます。
 
 ストーリーの展開は見事で、さすがだなあと思えます。でも正直私はこの”不思議な生物”というのがどうも最後までしっくりきませんでした。不思議な生物を拾って育てていくという展開が、なんか映画のガメラとかに似ているなあと思ったりしてしまいます。
 本作、”不思議な生物”はあくまで脇役/引き立て役で、主人公は遺族の少年・瞬やその幼なじみの佳江です。事故で親を失った苦しみから逃れるために、その苦しみを”不思議な生物=フェイク”で紛らわそうとする瞬。そして、佳江を守ろうとするあまり間違った方向に進んでしまった瞬を、なんとか引き戻そうとする佳江や宮じい。その内面描写の深さはさすがです。まだ子供だけれども、大人が思うほど子供ではない瞬や佳江の心情を、正確に表現していると感じました。
 本作、登場人物の心情描写などは本当に素晴らしいのですが、やはり、不思議な生物がね・・・。実際に存在しない生物を描き、さらにリアリティを持たせるのは難しいですね・・・。そこさえ気にならなければ、全然問題ないと思います。

 あと、本作、追加短編が一編追加されています。この短編は最高でした。本編の後日談的な位置づけです。この方の作品は最後が必ずハッピーエンドで終わるので安心して読めますね。わかっていてつまらないとは思いますが、それがこの方の作品の最もいいところだと私は思いますよ。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B

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タグ:空の中 書評
posted by taka at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川 浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする