2014年11月08日

読書日記515:免疫力をあなどるな! by矢ア雄一郎



タイトル:免疫力をあなどるな!
作者:矢ア雄一郎
出版元:サンマーク出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
免疫療法の最前線に立つ著者による、身体の「基礎力」を劇的に高める健康法!「驚くべき機能」が、まだあなたの中に眠っている。手遅れになる前に、「負けない身体」をつくりなさい。

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様から献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書の著者は、医師から転身してバイオベンチャーを起業した方です。外科医としての生き方から、免疫系−特に樹状細胞(ボス細胞)ワクチンの開発に従事するようになった著者。その著者を魅了した免疫系について、著者の熱い思いと供に書かれた本です。

本書の中では、病気にかかってから対処するのではなく、かからない身体を作ることが大切、と言っています。その「病気にかからない身体」を作る上で重要なのが免疫系、というわけですね。

二百ページ程度の非常に読みやすい本であるにもかかわらず、内容は充実していると感じました。人の身体の中にある二種類の免疫−自然免疫と獲得免疫の説明、さらにその免疫が身体を守る仕組み、その免疫を活性化する仕組みなど多岐にわたって書かれており、知らなかったことばかりだったので一気に読み進めてしまいました。

特に興味深かったのは、免疫細胞の実に七割が腸内に生息している、ということです。多様な食物をとり、腸内の免疫細胞を活性化させることが健康に繋がる、というのは理屈としても理解できます。どれだけ健康的でも偏った食生活はよくない、というところも納得できました。身体にいい料理として醗酵系の料理、特に納豆キムチやヨーグルトがいいというのは読んでいて面白かったです。

免疫力を活性化させるよい方法はないものか、と読み進めていきましたが、やはり「これさえやれば絶対に大丈夫!」という健康法はないようです(当たり前ですが)。適度な運動、バランスの取れた食生活、十分な睡眠、規則正しい生活。当たり前のことを当たり前に行うことがやはり重要だと感じます。これも当たり前のことですが、自分の身体を労わり、大切にする意識を持つことは非常に大事だと感じました。

著者は樹状細胞の開発に現在も邁進されているようです。iPS細胞も話題ですがこうした免疫系の細胞の研究が進み、病気にかからない身体を獲得できるようになったらいいなあ、と素直に感じながら読んだ本でした。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
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2014年10月26日

読書日記512:ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える



タイトル:ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える
作者:ビクター・マイヤー=ショーンベルガー (著), ケネス・クキエ (著), 斎藤 栄一郎 (翻訳)
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
統計学が最強になる時代、我々の未来の生活、仕事、意識、すべてが「ビッグデータ」によって大きく変わる。2013年最大のキーワードを初めて本格的に論じたベストセラー、待望の翻訳。企業はいかに新たな価値を生み出すことができるのか、人々は物事の認知のあり方をどのように変える必要があるのかー大胆な主張と見事な語り口でその答えを示している。


感想--------------------------------------------------
ビッグデータという言葉はいまやあちこちで聞くようになりましたが、個人的にまだその内容がよくわかっておらず、Amazonでも評価の高かったこの本を読んでみました。著者はオックスフォードインターネット研究所の教授であり、インターネットの規制とガバナンスを専門とされている方です。従って「規制」に関する側面からの指摘も多く、内容に厚みを感じました。

ビッグデータという言葉は、単純に「莫大な量のデータ」を示す言葉です。ハードの進歩によりかつては考えられなかった数億以上のデータを蓄積し分析することで様々な事柄の予測が可能となってきました。しかしビッグデータの本質はその規模だけではありません。本書の最初で言われているビッグデータによりもたらされる大きな変化は以下の三つです。

「ビッグデータは限りなくすべてのデータを扱う」
「量さえあれば精度は重要ではない」
「因果関係、すなわち「原因と結果」を求める古い体質からの脱却」

標本抽出や、詳細精度への拘り、原因といったものの価値が薄れる一方で、膨大なデータに基づいた統計分析により導き出される傾向と発生確率が世の中を支配する。それがビッグデータが発展することで起こり得ることなのだ、と言っているわけですね。

実際にグーグルやAmazonといった先進的なIT企業はもちろんのこと、多くの企業がこの流れに乗りつつあり、情報を持つ企業、分析スキルを持つ企業、アイデアを出す企業、と区分けも明確になりつつあるようです。グーグルの翻訳機能は数億以上のデータから導きだした相関関係から作り上げているそうで、相関関係分析というのは原理の抽出よりも実際には大きな役に立つことも多いのだということが実感として理解できます。

また本書の大きな特徴は、そのビッグデータの危険性についてもきちんと触れ、ビッグデータを扱う上でどのような法律が整備され、どのように扱うことでプライバシーの侵害といったリスクを回避することが出来るか、についてきちんと触れている点です。著者がこの方面の専門であることからこうした方面に触れているのかと思いますが、「漏洩リスクが高く危険」とまとめてしまうことなく、どのような企業がどの部分のリスクを負うのか、データ化すること、データに依存することの危険性は何なのか、といったことにきちんと答えている点は好感が持てます。必ず到来するビッグデータ時代に向けて、その波に乗り遅れないようにするには、このようにきちんとデータに向き合う必要があるのだと感じました。

全ての事柄をデータ化し、世の中を見えるようにする。このことは非常に魅力的ではありますが、一方で著者はデータは「万能ではなく、人間性が大切なことは変わらない」と警鐘も鳴らしています。日本でも多くの企業がビッグデータに注目している今の時代、このような本の価値は大きいと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2014年10月19日

読書日記510:クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場



タイトル:クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場
作者:小林雅一
出版元:朝日新聞出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
しゃべるスマホ、自動運転車、ビッグデータの解析ー。共通するキーテクノロジーは、AI=人工知能。人間が機械に合わせる時代から、機械が人間に合わせる時代への移行は、ビジネスにどのようなインパクトを与えるのか?クラウド以上の変化を生む、AIの未来を読み解く。



感想--------------------------------------------------
某サイトで課題図書にもなっている本です。AI技術の最新動向を知る上でいい本と思い、読んでみました。「クラウドからAIへ」とのタイトルですが、主に書かれている内容はAIになります

AIは「ルールベース」⇒「統計・確率ベース」⇒「ニューラルネットワーク」と進歩しているそうです。AIの初期段階では言語などの外部入力に対して出力を返すルールを決めていましたが、それだけでは対応できなくなり、大規模データを利用したデータマイニング、果ては脳の仕組みを模擬するニューラルネットワークと進歩しているそうです。初期は全く融通の利きませんでしたが、最近はだいぶ融通が利くそうです。

また、本書では前半にAIの歴史、後半にAIの適用について書かれていますが、個人的には後半の方が圧倒的に面白いです。何でもそうですがやはり「実用」という側面から描くと物事がダイナミックに見えてきますね。特にグーグルやアップル、IBMなどのコンピューター界の巨人とも言える企業がこぞってこの分野に注力しているそうで、この分野の将来性についてうかがわせます。

AIが適用されることでどのような問題が生まれるのか?コンピューターが発達し続けることで人の雇用が奪われたり、人に相対する存在としてAIが存在するようになるのではないか?との議論もされていますが、個人的にはニューラルネットワークを使用したブラックボックス化を図っていくと、いつかはそう言う問題に行き着くような気もします。

個人的にはビットの世界と人間の実世界にはやはりまだ、大きな隔たりがあるように感じています。人と同等に様々な概念をとらえたり、漠然と物事を理解できるようにコンピューターがなるためには、まだまだ時間がかかると思われます。完全に人と同等のコンピューター−どらえもんや鉄腕アトムのような世界ですかね−はそれはそれで非常に面白いのではないか、と個人的には思います。そんな将来への期待を、不安と同時に感じさせてくれる本でもありました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):


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2014年10月11日

読書日記508:〈リア充〉幻想ー真実があるということの思い込み



タイトル:〈リア充〉幻想ー真実があるということの思い込み
作者:仲正 昌樹
出版元:明月堂書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
幸福はどこにある?溢れる言葉や情報の渦の中で、いったい私たちは何を求めて生きればよいのか?「真の○○」があるという幻想に囚われた現代ニッポンの閉塞状況を仲正昌樹が解体する!“孤独”であることを怖れないための入門書。


感想--------------------------------------------------
ウェブで見かけた本で、そのタイトルに手に取ってみました。「<リア充>幻想」というタイトルには若干のおたくっぽさを感じますが、その中身は金沢大学法学類教授である仲正昌樹さんと編集者の対談形式で描かれており、「リア充」、「格差」、「人間力」、「友達」といった概念についての仲正さんの持論が展開されていきます。

「リア充」、「格差」、「人間力」といったものを「幻想」として扱っていく本書ですが、その背景には数年前に起きた秋葉原での連続殺傷事件があります。あの事件の加害者であるKはなぜあのような犯行に及んだのか?あの事件を引き起こした背景にはどのような心理があるのか?「リア充」、「格差」、「人間力」などといった言葉をキーワードに、それを紐解いていこう、というのが本書の主旨と感じました。

本書はなかなか感想が書きにくい本です。仲正さんの言葉を主に議論は展開していくのですが、その主旨を「まとめる」というのが非常に難しいです。まとめてしまうと意味が違ってきてしまう気がするし、「要するにこういうことだよね」となかなか言いにくいなあ、と感じました。なので、いくつか印象に残った文をベースに感想をかいてみたいと思います。


”無条件に「やりたいこと」なんて基本的にない、と思った方がいい。魅力的な職業があるように見えても、そのイメージの大半は幻想で、それほど実態があるわけではない。”

まさにその通りだと思います。「あの職業に就ければ・・・」なんて夢は持たない方がいいかと個人的には思います。結局、自分がその仕事を好きで続けられるか、そこで何をするか、でしょうね。正直、職業を自由に選択できるだけでも今の世の中ではかなり幸運なのでしょう。

”ごく狭いサークルの中で、そこでだけ通用するルールを身に付けて、それがどこでも通用するかのように思うからバランスが悪くなる”

これもかなり同感できる文です。まさに井の中の蛙状態で、下手すると「自分たちは世界一」みたいに考え出したりする人たちもいたりします。客観的に世の中を見れていない、世の中を知らなすぎる、といった感じですかね・・・。

”「真のナントカ」を純粋に追求しすぎると必ず行き詰まる”

これが本書の要約的な文かもしれません。「真の○○」なんてない。でも、そう言い切れる人は、まさしく何不自由なく生活できている人なんだろうな、とも思います。人は通常、必ず何らかのコンプレックスを抱えていて、特にそのコンプレックスに触れる点に関しては「真の○○」を求めがちです。そしてまたそれが分かっているからこそ、その琴線に触れるように人々に「真の○○」を求めるように仕向けていき、そこで利益を得ようとしている人たちがいたりするのでしょうね。

”「孤独」に対して開き直って、何が悪いのか”

〆の言葉ですね。これはいい言葉と感じました。「友達が多い」という人も、「友達が少ない」と言う人同様にやはり孤独を恐れているのだろうな、と感じます。いろいろなことを恐れ、繊細になりすぎてしまっているのが現代の日本人かと思いました。著者のように開き直れる人はなかなかいないかもしれませんが、、、。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2014年09月10日

読書日記504:2100年の科学ライフ



タイトル:2100年の科学ライフ
作者:ミチオ・カク (著), 斉藤 隆央 (翻訳)
出版元:NHK出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
コンピュータ、人工知能、医療、ナノテクノロジー、エネルギー、宇宙旅行…近未来(現在~2030年)、世紀の半ば(2030年~2070年)、遠い未来(2070年~2100年)の各段階で、現在のテクノロジーはどのように発展し、人々の日常生活はいかなる形になるのか。世界屈指の科学者300人以上の取材をもとに物理学者ミチオ・カクが私たちの「未来」を描きだすー。


感想--------------------------------------------------
本書の著者は、理論物理学の教授であり、「ひもの理論」の創始者の一人でもあります。またサイエンス・チャンネルのテレビ番組の制作も担当されており、科学全般について一般人に分かり易く伝えることに関して定評のある方です。そのような方が、約百年後の人類の持つ科学技術力について予見した書籍と言うことで、読んでみました。

本書は非常に多くの、様々な科学分野の第一線で活躍する人へのインタビューを基に作成された本です。従ってその内容については非常に信憑性が高いです。百年後の科学について根拠のない予言を展開するわけではなく、様々な分野における現状の研究状態を基に「二千百年にはここまでできているだろう」という予測を立てて書いています。著者自信も科学の一線で活躍される方ですので、単なるSF物語ではなく、信頼性の高い予見となっています。

一方で科学の様々な分野について事細かに四百五十ページに渡って書かれていますので、ボリュームはかなりあると感じました。コンピューター、人工知能、ナノテク、エネルギー、宇宙旅行、医療など多くの分野にわたって書かれており、その内容については驚くばかりです。二千百年の科学についても驚かされますが、「こんなことまでできるのか」と科学の現状にも驚かされます。

本書の最終章「二一〇〇年のある日」には百年後のある日を生きる一人の人間の姿が描かれています。老化や病と無縁で、ナノマシンと供に生き、様々な箇所にコンピューターが埋め込まれ、宇宙にも簡単にいけるようになる未来−。そのような未来はばら色のようにも見えますが、しかし一方で著者は、タイプ0と呼ばれる現代から、そのようなタイプ㈵の未来に移行するには様々な苦労がかかるとも予言しています。争いから脱却し、助け合って生きていくことが出来るのか、人類の未来はこの百年で決まる、と言っても言い過ぎではないかもしれません。

この本で描かれている百年後の世界はまさに夢のような世界です。しかし一方で、百年前の世界にはまだインターネットもなく、宇宙に行くことも、コンピューターの普及も想像さえできなかったのでしょうね。現状の科学の最前線で何が起きているのか学びながら、百年後の世界に思いを馳せる−。そんなことのできる本だと感じました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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