2017年02月18日

読書日記629:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの



タイトル:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

作者:松尾 豊
出版元:KADOKAWA/中経出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
人類の希望か、あるいは大いなる危機なのか?「人間のように考えるコンピュータ」の実現へ、いま、劇的な進展が訪れようとしている。知能とは何か、人間とは何か。トップクラスの人工知能学者が語る、知的興奮に満ちた一冊。

感想--------------------------------------------------
いま、世の中で最も注目されている技術の一つがAiとも呼ばれる人工知能です。CMで有名となったIBMのワトソンを始め、自動車の自動運転技術や検索技術など様々なところに人工知能は適用できるのではないか、と着目されており、そこで本書を手に取ってみました。

読み終えての感想ですが本書は人工知能について非常に良くまとまった本です。私は「人工知能」という言葉は知っていましたが、恥ずかしながら「機械学習」と「ディープラーニング」の違いもよくわかっていませんでした。そこのところも含めて、いま大三次AIブームとしてなぜこれほどまでにAIが取り上げられているのか、特徴量を自動で抽出するディープラーニングの特徴、その技術の内容、今後の発展の可能性などが非常に良くわかります。専門書のようでいて、専門外の人にもわかりやすく書かれています。

AIは人間を超えるか、という質問が昨今いろいろなところでも取りざたされていますが、この本を読むとその答えについても何となくわかってきます。人工知能は「膨大なデータをもとに判別する」ということは得意であり、この能力については人間を凌駕していきそうです。ただ、この判別する、という領域に置き換えられない分野では人間は強みを発揮し続けると感じました。

本書の後半には、人工知能に関する技術の発展と社会への影響に着いて図式を交えて描かれており、これがとても参考になりました。また人工知能の発展に伴う影響は、技術面だけでなく、人工知能の行動結果に誰が責任を持つのか、といった法律面の整備などにも強く影響を及ぼしそうだと感じました。

世の中を一変させる可能性を持つ人工知能技術。今後どのように発展していくのか注目です。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
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2016年12月25日

読書日記622:ロードス島攻防記



タイトル:ロードス島攻防記
作者:塩野 七生
出版元:新潮社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置するロードス島。コンスタンティノープルを陥落させ、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマン・トルコにとっては、この島は喉元のトゲのような存在だった。1522年、大帝スレイマン一世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略戦を開始した――。島を守る聖ヨハネ騎士団との五ヶ月にわたる壮烈な攻防を描く歴史絵巻第二弾。

感想--------------------------------------------------
遂に読み終えた「ローマ人の物語」の塩野七生さんの作品です。平成三年発行ですので、二十五年も前の作品になりますね。中世の地中海、ロードス島を拠点にオスマントルコと対決する聖ヨハネ騎士団の活躍を描いた史実的な作品です。

分裂し争いを繰り返す西欧諸国を尻目に、着々と領土拡大をはかり、コンスタンティノープルを落して西へと進むオスマン・トルコ。キリスト教世界の最前線に位置し、オスマントルコの船を襲い続けるロードス島の聖ヨハネ騎士団は、スレイマン一世と激しい戦いを繰り広げるー。

ローマ世界から一点、中世の西欧の物語もやはりこの著者だけあって読み応えがあります。騎士アントニオを主人公とした物語的な描写と史実が混在する描き方は独特ですが、特に物語り部分は迫力がありました。見所は何と言ってもロードス島に築かれた城塞に立てこもる聖ヨハネ騎士団と、物量にものを言わせて襲いかかるオスマントルコの戦闘です。大砲と地雷、それに圧倒的な物量を背景に襲いかかるオスマントルコと、信仰と鋼鉄の鎧、それに鉄壁の城塞を盾に立ちはだかる聖ヨハネ騎士団。その戦闘描写には凄まじいものがあります。この描写は「ローマ人の物語」に通ずるものがありますね。

一方で、本書は突如、中世西欧の話から始まるため、前後関係や世界情勢がよくわからない、といったデメリットもあります。これは、本書の前段となる「コンスタンティノープルの陥落」を読んでおくといいのかもしれません。

ローマ世界もいいですが、中世西欧のキリスト教世界もいいですね。この著者の作品はまた読む予定です。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
レビュープラス
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2016年12月03日

読書日記619:IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる



タイトル:IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる
スティーヴン・ベイカー (著), 金山博・武田浩一(日本IBM東京基礎研究所)
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
IBMがその叡智を結集して開発した、自然言語を理解する驚異のスーパーコンピュータ「ワトソン」。今年2月に全米クイズ王を破り優勝するまでの、技術者の激闘1500日を描く「プロジェクトX」流ドキュメント!

感想--------------------------------------------------
いまではテレビのCMでもよく見かけるようになったIBMの「ワトソン」。人間の言葉を解する脅威的な能力を持つ人工知能、というイメージが強いですが、そもそもどのようにできあがってきたものなのか、知りたくて本書を読んでみました。

時はIBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」がチェスの世界チャンピオン、ガルリ・ガスパロフを破った時代までさかのぼります。チェスの世界チャンピオンを破る事を達成したIBMのメンバーは、次の目標をどこに定めるか、について議論を重ね、有名なクイズ番組「ジョパディ」のチャンピオンを破り優勝する事を目的とします。

その道筋は並大抵でない事が本書を読むとよくわかります。チェスト異なり自然言語を「理解」し、問題の内容に沿った回答を導き出すためには、これまでと異なったアプローチが必要となります。機械に言語を「理解」させることができるのか?という内容の説明を読んでいると、その難易度の高さがひしひしと伝わってくるとともに、人間の脳がどれだけ高度な処理をこなしているのか、それもよくわかります。例えば二、三歳の子供でさえもできる形状と名称のタグ付けという単純な処理、様々な動物やを見て、その名称を答えさせる事さえも、非常に難しいことだということがわかります。

最初はジョパディの優勝者には遥かに及ばない成績しか残す事の出来なかったワトソンは、デイビッド・フェルーチ率いるチームが強化を重ねる事で、遂にジョパディのチャンピオンを破るまでに強くなっていきます。本書にもその様子が書かれていますが、出された問題に的確に答えていくコンピューターの姿は圧巻ですね。知識だけでなく、「ジョパディ」というクイズゲームに勝つためのゲーム戦略さえも適切に創り込まれているあたり、すごさを感じます。

個人的な感想として、本書を読む限り、人工知能が人間の頭脳を完全に上回るにはまだまだ時間がかかりそうです。しかしある分野だけであれば、比較的早く人間の頭脳の先を行く事ができ、人の頭脳を補完する役割を果たせるのではないか?と感じました。人工知能はホットな話題ですので、また関連本を読んでみようと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
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2016年09月17日

読書日記610:となりの婚活女子は、今日も迷走中



タイトル:となりの婚活女子は、今日も迷走中
作者:大西明美
出版元:かんき出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
年下男に捨てられる女、年下男と結婚できる女。SNSで自爆する女、インスタグラムで男の心をつかむ女…。結婚相談所で起きている本当の話!

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様から献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書はそのタイトル通り、結婚相談所に勤める著者が、そこで出会った婚活女子について書いた本です。既婚男性の私が買うことはまずない本ですね。このような本を手に取るチャンスが来るのも、レビューしているからこそだと感じます。

本書では著者が出会った様々な婚活女子の例を「○○女子」という形で紹介しています。「バリキャリ女子」、「学歴女子」、「おごられ女子」といった具合ですね。それぞれの例にかわいい四コマ漫画もついていて、とても読みやすいです。

様々な女子の婚活をめぐるエピソードが描かれていて、最初はうまくいかなかったケースでも、著者(+旦那のひよこさん)の適切なアドバイスで最終的にはゴールを迎えるというケースが多く、読んでいてほっこりするものがありました。最近、こうした柔らかい、温かみのある本を読んでいなかったので、癒される感もありました。いい本に出会えたと思います。

読んでいて特に印象に残ったのは「読書女子」ですね。きちんと女子側も男性のプロフィールに沿った話題を提供できる準備(勉強)をして出会いの場に臨む。これは男性側からしたら非常にうれしいことだと感じます。「婚活」というのは自分を売り込むことだけでなく、相手に興味を持って、相手を理解しようとして初めて成り立つものなんだなあ、としみじみと感じました。

本書は個人的には良書です。まずなにより読みやすくとっつきやすい。そして実際に婚活中の人にとっては役立つ情報が満載です。また婚活を終えた人にとっても、これからの人にとっても、男女の関係性の「あるある」や「常識」や「小ネタ」がわかり、実際の生活でも大いに役立つと思います。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
レビュープラス

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2016年09月03日

読書日記608:この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた



タイトル:この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた
ルイス ダートネル (著), Lewis Dartnell (原著), 東郷 えりか (翻訳)
出版元:河出書房新社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ゼロからどうすれば文明を再建できるのか?穀物の栽培や鉄の製錬、印刷、発電、輸送機器、医薬品など、現代生活の基礎となる科学技術をどのように復活させるのか?

感想--------------------------------------------------
本書のタイトルに惹かれて読んでみました。著者は宇宙生物学専門の研究者とのことですね。いまのこの文明が滅びたとしたら、どのようにすれば文明を再建できるのか?核戦争や致死性ウィルスにより世界が滅びた、「アイ・アム・レジェンド」や「北斗の拳」、「マッドマックス」のような世界で生き抜き、文明を取り戻すにはどうすればいいのか、が書かれています。

農業、衣服、食料、物質、材料、医薬品などなど本書に書かれている分野は非常に多岐にわたります。そしてそれぞれの分野のものをどのようにすれば獲得できるのか、作り出す事が出来るのか、が書かれています。どのような食料が必要か、効率よく耕作するにはどうすればよいか、必要な化学物質をどのように合成できるか、などが細かく書かれています。

読んだ感想として、これだけ広範な分野についてこれだけ詳細に書けるこの著者の知識はすごい、と素直に感じましたし、今の時代を生きる我々は、我々の目の前にある物質の作り方を実は全く知らないのだ、ということがよくわかります。時計、食べ物、飲み物、本、新聞、カメラ、車…。そうした様々なものがどのように作られているのか、一から作るにはどのようにすればいいのか、それらが書かれています。これらの知識を全て有している人はほとんどいないのではないでしょうか。

また一方で、本書はほとんどが文字で書かれていますので、サバイバル本、としては役に立ちにくいとも感じました。原理的な作り方はわかるのですが、図や写真がそこまで豊富ではないため、この本に書かれている手順をなぞろうとしてもできません。ものによっては文章を読むだけでは想像もつかないものもありました。

面白いとは思うのですが、化学反応に関する記述や物理、化学の知識が必要とされる箇所も多いため、総じて理系向きの本だと思いました。あとはやはり図ですね。イメージのつく図や写真がもっともっとあると、非常に面白いだろうな、と思います。分量は300ページくらいですが、専門書に近い本のため、読み終えるには結構根気がいる本でした。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
レビュープラス
posted by taka at 17:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする