2013年11月30日

コミック日記123:岸辺露伴は動かない by荒木飛呂彦



タイトル:岸辺露伴は動かない
作者:荒木飛呂彦
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。好奇心に溢れ、リアリティを追求する彼が、さまざまな取材先で体験した恐怖のエピソードとは…!? 『懺悔室』『六壁坂』『富豪村』『密漁海岸』『岸辺露伴 グッチへ行く』の5編を収録。


感想--------------------------------------------------
 荒木飛呂彦さんの名作「ジョジョの奇妙の冒険」。その第四部に登場するキャラクターで、漫画家でありスタンド「ヘブンズ・ドアー」の使い手である岸部露伴を主人公としたスピンオフ漫画が本作です。本書は全五編の短編集となっています。スタンドバトルが繰り広げられる本編と違い、ミステリーやホラー的な要素を含んでいる点が、本書の魅力ですね。


漫画家である岸部露伴は、漫画の題材となるネタを探すために今日もあちこちに出かけ、不思議な事件に巻き込まれていく−。


荒木飛呂彦さんの持ち味全開ですね。
この方の作品の魅力は個性的なスタンドはもちろんそうなのですが、むしろ各キャラクターの個性の描き方の部分ではないかと感じます。本作では特に脇役とのやりとりですね。短編「六壁坂」での編集者との「ド・スタール」の画集を巡るやり取り、短編「富豪村」での編集者との会話、短編「密漁海岸」でのトニオ・トラサルディーとのやり取りなどです。特にトニオと露伴のやり取りで見せる、「密漁します」「だから気に入った」の会話は、作者も「描きたかった」と描かれていますが、トニオと露伴をより一層、魅力的なキャラクターとしています。

あとはやはり露伴先生とスタンド ヘブンズ・ドアーですね。対象を本にして、内容を書き込むことで行動を制限できるというこの能力はある意味で万能で使い勝手が良く、このようなミステリー、ホラーの物語によくあっているように感じます。露伴先生もとことん我が儘で自分勝手ですが、それがまた魅力的でもあります。

本書に掲載されている最後の短編は「岸部露伴グッチに行く」ということで実際にグッチを訪問した際の話を、短編に仕上げています。こうしたファッションブランドなどの『美』の世界と荒木飛呂彦さんの絵はすごくよく合いますね。別の作品になりますが、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』という作品も出ていますし、ファッション雑誌「SPUR」の表紙を荒木飛呂彦さんの絵が飾ったことも有名です。

本編も気になりますが、このスピンオフもぜひ今後も続けて欲しいと感じました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2013年10月26日

コミック日記121:ジョジョリオン 5 by荒木飛呂彦



タイトル:ジョジョリオン 5
作者:荒木飛呂彦
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
定助と常秀は高校へ向かう途中、通った者がなぜかカツアゲされてしまうという通称「カツアゲロード」で、次々とその被害に遭っていく…。この現象は何かのトリックなのか!? それとも新たなスタンド使いの仕業なのか!?


感想--------------------------------------------------
ジョジョリオンの第五巻です。ようやくジョジョの第三部のテレビ放送が決定し、大喜びです。ゲームについては、Amazonでの批評を見ていると笑えてくるくらいですが…。

「カツアゲロード」で金をだまし取れる定助たち。そして第七部SBR(Steel Ball Run)とのつながりも明らかになるー。

本巻では何よりも第七部とのつながりが明らかになったのが読んでいて嬉しかったです。第七部の主人公であるジョニィ・ジョースターの辿った運命の数奇さ、そして残された謎。いかにも「ジョジョ」です。

第六部のラストで新しい宇宙へと生まれ変わり、そして迎えた新しいストーリーと新しい杜王町に定助。途切れているようでいて第一部から第八部までジョジョは続いているんだなあ、と実感させられます。

ジョニィの辿った運命は正直残念に感じますね。第七部で必死の活躍を見せていたジョニィだけに哀れさを誘います。

今回の第八部には多くの「謎」がいたるところにちりばめられていますね。ここまで謎が多かった部はシリーズ通してもなかったかもしれません。これまではどちらかというとスタンドのバトルが物語のメインでしたので、新しい方向性を生み出そうとしているのかな、とも感じます。

まだまだジョジョは続きそうですね。四部以降もぜひアニメ化してほしいものです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2013年06月29日

読書日記425:JORGE JOESTAR by舞城王太郎



タイトル:JORGE JOESTAR
作者:舞城王太郎
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ジョナサン亡き後、カナリア諸島ラ・パルマ島でエリナと暮らす少年ジョージ・ジョースターは、リサリサと愛を誓い、成長してパイロットとなり世界大戦の空を駆る。その一方、日本では福井県西暁町のジョージ・ジョースターが運命とともに杜王町へ向かう・・・。超ドドド級スケールで描く「舞ジョジョ」ここに誕生。


感想--------------------------------------------------
ジョジョの奇妙な冒険と著名な作家さんのコラボ企画、「VS JOJO」の第三弾が本書です。著者は「煙か土か食い物」でメフィスト賞を受賞し、「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞を受賞されている舞城王太郎さん。ずっと以前に「阿修羅ガール」を読みましたが、非常に個性的で、その独特の文体とどこにつながるか分からない構成は他の作家さんが決してまねできない物だと感じました。

カナリア諸島で母エリナと幼馴染のリサリサとともに育ったジョージ・ジョースターはアントニオ・トーレスといういじめっこにいじめられる日々を送っていたー。

改めて言うことではないかもしれませんが、vs JOJOシリーズはどの作品もジョジョの奇妙な冒険を知っていることが前提の作品です。第一弾の「恥知らずのパープルヘイズ」が第五部、第二弾の「Over Heaven」が第三部を舞台としているのに対し、本作の主人公ジョージ・ジョースターは、本編ではあまり語られていませんが、第一部の主人公:ジョナサンの息子にして第二部の主人公:ジョセフの父親です。従って第一部と第二部を知っていることが前提となる、と言いたいのですが、後半に行くと展開がめちゃくちゃになってくるので、第七部「スティールボールラン」まで完読されてから読むのがお勧めです。

物語は、最初は小学生時代のジョージの日常から始まり、その成長の日々や幼馴染のリサリサ(もうすでに波紋を使える!)との関係の話が語られていくのですが、さすが舞城王太郎さん、ツクモジューク(九十九十九)という友達をきっかけとしてあっという間に物語がとんでもない方向に進んでいきます。時空を超えた世界に住むもう一人のジョージ・ジョースター。そして発生する殺人事件、不思議な建物、密室トリック・・・。物語がどこに進んでいくのかわからずに、それでも著者の文章に引っ張られるように物語を読み進めてしまいます。

しかしこの著者の物語のけん引力はすごいですね。途中から完全に物語として破綻してきているような気がするんですが、それでも構わず最後まで突っ走るこの物語には、物凄い熱を感じます。また本作は「ジョジョの奇妙な冒険」の「サイドストーリー」や「語られなかった真実」などではなく、「ジョジョの設定を使った完全に別の物語」でしょうね。他の方の書評で「これはジョジョではない」という言葉をよく目にしますが、まさにその通り、これはジョジョではありません。ただ、物語の密度と熱は物凄く、全く別の物語として読めば、かなり面白い部類に入るのではないかと思います。

しかし著者はジョジョが心底好きなのでしょうね。多少ネタバレになってしまいますが、物語の後半から最後にかけてはジョジョの設定やキャラ、スタンドのオンパレードです。そして部を超えて彼らが集まり、戦い、物語のスケールをとんでもなくでかくしていきます。ディオ、カーズ、吉良良影、ディアボロ、プッチ、ヴァレンタイン大統領・・・。彼らがさらにとんでもない能力を従えて現れ、バトルを繰り広げます。「ディオとカーズ、戦ったらどっちが強い?」みたいなジョジョファンなら考えそうなことを本作では実現してくれていますが、そのスケールがあまりにでかすぎて、もはや完全にジョージ・ジョースターの物語ではなくなってしまっています。

読み進めながら、いったい物語をどこに着地させるのかと思っていましたが、なんとなく無難な着地のさせ方であったとは思います(全くジョジョではないですが)。「ジョジョ好きの人の書いた本」であり、ジョジョのファンブックではあると思うのですが、「ジョジョへの愛」や「各登場人物の意思への敬意」やジョジョのテーマである「人間賛歌」が感じられるかというと、それは残念ながらないですね・・・。はちゃめちゃな展開、バトルが繰り広げられる、B級映画的な作品です。しかしそれでもページ数にして800ページ弱、しかも字が細かく文章の密度が濃いため実質的には1000ページ近くに感じられる作品を投げ出そうとは思いませんでした。それだけ読ませる力は確かだと感じました。

「後々それをつなげ合わせて最終的に意味が通ればいいんだ・・・、謎が現れるたびにいちいち考え込んでも全ての情報が揃わない限りはどうせ答えなんて出ないんだよ・・・」

これが本作で最も印象に残った言葉です。これがきっと著者の作品を書くスタンスなのでしょうね・・・。物語的には落ちのついていない箇所がたくさんあり、決してジョジョではないのですが、読み手を引き込む文章力のある作品ではあると思いました。


ちなみに、これでvsJOJO企画+αのジョジョ関連本をすべて読んだことになりますが、勝手に個人的に順位をつけてみました。
四位:「Over Heaven by西尾維新」
    ディオを描いているが、これはディオじゃない。
三位:「ジョージ・ジョースター by舞城王太郎」
    物語の密度も濃くて面白いけど、これはジョジョじゃない。
二位:「恥知らずのパープルヘイズ by上遠野浩平」
    完璧なジョジョの続編。戦闘シーンとか秀逸。スタンドも考えられていて○
    ただ、ジョジョではあるけど、著者の個性が生きているかは微妙。
一位:「The Book by乙一」
    ジョジョの話でありながら、乙一さんの作品でもある。人間の心の物語でありつつ、スタンドバトルも精神的な駆け引きまで含めて書かれていてジョジョを知らなくても読める本。完璧。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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タグ:ジョジョ
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2013年05月22日

コミック日記110:ジョジョリオン4 by荒木飛呂彦



タイトル:ジョジョリオン 4
作者:荒木 飛呂彦
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
吉良吉影の母親ホリー・ジョースターに会う為、彼女が入院している大学病院へ向かう定助。だが、その行く手を黒いライダー姿のスタンドが阻む! その頃、先に病院に辿り着いた康穂は、ホリーに急接近していた…。



感想--------------------------------------------------
ジョジョ展が開催され、テレビアニメは第一部、第二部が大ヒット放映され、夏に予定されているゲームも既に大人気と、勢いの止まらない「ジョジョの奇妙な冒険」。その第八部:「ジョジョリオン」の最新巻が出ました。相変わらずの荒木飛呂彦ワールドに酔いしれそうです。

謎の黒いライダーのスタンドに襲われる定助。謎のスタンド携帯の指示に従い何とか危機を切り抜けるが−。

ジョジョの奇妙な冒険の第八部に位置する「ジョジョリオン」ですが、第七部までのジョジョとは一味違う作品になっていると感じます。まず主人公自身が、自分が誰であるのかわからない点ですね。杜王町という第四部と同じ町が舞台となっていますが、第四部では主人公の杖助が生活している町という設定で物語が進んでいきましたが最初のうちは何も目的も無く、スタンド使いが出てはきますが、いまいち漠然とした物語に感じられました。それが第八部では「主人公が自分の正体を探す」という主題があるため、そこを軸に物語が展開されていき、物語に緊迫感が流れています。

物語の絵も、第一部など初期の頃と比べるとだいぶ変わってきています。初期の頃はジョジョは筋肉質でしたが、第八部ではどちらかというと主人公のジョジョでさえ、女性っぽさが感じられ、中性的な顔立ちをしています。また第八部では、いろいろと言われていることですが、主人公の定助と女性の絡み、関係が多いですね。これまでジョジョで恋愛、性的な要素は少なかったので、これは斬新です。主人公の定助と、定助をサポートする仲間である康穂、東方家の一員であり定助を好きな大弥、さらには他のメンバーも加わっていろいろとありそうです。

スタンドバトルの面白さは、様々な種類のスタンドと相まってこれまでのシリーズと遜色ありません。相変わらず様々なスタンドが定助に襲い掛かって来ます。よくまあこれだけ様々なスタンドを考えられるものだなあ、と思ったりもします。

まだまだ八部は始まったばかりですね。定助が暮らす東方家。ここには様々な秘密がありそうです。今後の展開も非常に楽しみです。あとは第三部以降、早くアニメ化してくれないですかねー。期待しています。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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2012年10月31日

読書日記番外編:ジョジョ展 @森アーツセンターギャラリー

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タイトル:荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展
開催場所:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)
開催期間:2012年10月6日〜11月4日
その他:

感想--------------------------------------------------
西尾維新さんの「Over Heaven」や乙一さんの「The Book」でも紹介したように、今年は荒木飛呂彦さんの代表作「ジョジョの奇妙な冒険」が始まって二十五周年になります。二十五周年のイベントとして現在、六本木ヒルズで「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」が開かれており、行ってみました。展覧会は時間指定の予約制です。当日券もあったそうですが、十月二十五日の段階で前売り券、当日券供に完売しているそうです。さすがジョジョ凄まじい人気です。

場所は五十二階のフロアで、第一部のファントム・ブラッドから第八部のジョジョリオンまで、各部ごとに区画が分かれており、その区画ごとのジャンプやコミックスの表紙原画、書き下ろし原画が展示されています。またジョジョ以前の作品である「バオー 来訪者」、「ゴージャス・アイリン」、「魔少年ビーティー」の原画や、表紙を描いた雑誌SPURや、「Over Heaven」や「The Book」なども飾られています。まさに荒木飛呂彦さんを堪能できる空間です。またARを駆使し、スタンド同士の戦いや杜王町の名所巡りなども見ることができるようになっています。これらは面白い取り組みだなあと思いました。

また個人的にヒットしたのは、各所にジョジョ関連の小ネタが飾られている点です。石仮面にはじまり、ブラフォードがLuckをPLuckに書き換えた剣、エイジャの赤石さらにはホワイトスネイクが取り出したスタンドのディスクなども置かれていて、「おおこんなものが!」みたいな感覚で楽しめます。

また原画を見ていて強く感じたのは、このジョジョの絵を書けるのは荒木飛呂彦さんだけだろうな、ということですね。大胆な構図、衣服の細部にまで拘ったデザイン、素晴らしい色遣い。どれをとっても、他の漫画家の方とは大きく異なる絵だと思います。またもちろんストーリーもですね。予定調和的な作品が多い中で、ジョジョは本当に何が起きるかさっぱりわかりません。仲間はおろか主人公でさえも死んでしまうという展開の部もあり、唖然とさせられるのですが、その根底にある「人間賛歌」という信念には、強く揺さぶられます。敵も、味方も、ただ強いだけでなくその根底に人として譲れないものを持ち、それまでの人生があることをジョジョでは強く感じます。ここらへんは、荒木飛呂彦さんがご自分でも言っているようですね。

荒木飛呂彦さんが、「この先もずっとジョジョを書き続けるだろう」と言っているのはファンとしては凄く嬉しいことです。今はまだ第八部が始まったばかりですが、この先もずっとこの世界観に浸っていたいですね。

あと飾られていた原画はどれもグッドでした。日本、特に荒木飛呂彦さんの縁の地でもある仙台とのコラボした作品もあり、和とジョジョがうまく融合していると感じました。個人的には第五部をモチーフにした「はやぶさとジョルノ一行」と、ジョジョ展のシンボルのようになっている「承太郎とイギーと富士山」がよかったです。原画を見ると、顔つきが現在の絵は女性的だなーって感じます。

非常にお勧めなのですが、もうチケットが完売してしまっているのが痛いですね…。また開いてくれないかな、とか思ったりもします。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):


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タグ:ジョジョ展
posted by taka at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | JOJO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする