作者:伊坂 幸太郎 (著)
出版元:KADOKAWA
その他:
あらすじ----------------------------------------------
やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだった――。時を同じくして、そのホテルには驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくる……。
そのホテルには、物騒な奴らが群れをなす!
感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの作品です。「グラスホッパー」や「マリアビートル」に続く、「業者」と呼ばれる裏稼業の人々を描いた作品です。このシリーズは肩肘張らずに楽しく読めるので好きです。
不幸な出来事に巻き込まれてしまう殺し屋 七尾は今日も厄介事に巻き込まれていた。絵を届けるだけの単純な仕事のはずが、何故か死体が増えてしまうー。
殺し屋たちの抗争を描いている作品なのに、ドロドロしていないのは、その描き方によるところが大きいと思います。主人公の七尾をはじめ、マクラとモウフ、六人組み、コーラとソーダなど、様々な殺し屋がホテルを舞台に争いを続けるのに、どこかコミカルで楽しめてしまいます。ああ伊坂幸太郎さんの作品だ、と思って読めてしまいます(笑)。
三百ページ弱の作品なので、ほぼ一気読みできます。勧善懲悪、ではないかもしれませんが、ほぼそれに近いかと思います。個人的には社会を楽して乗り切ってしまう、生まれつき顔も良くて運動神経もいい人たちをスイスイ星人と呼んでいるあたりがツボでした。
基本的にこの著者の作品では、真面目にしっかりと頑張っている人たちが報われていくので、そのあたりも安心して読むことができます。悲惨な目に合うこともあるけれど、頑張って生きていれば、そのうち絶対にいいことがある。どの作品を読んでも思わせてくれて、そうした生き方をユーモア交えて肯定してくれるのが本当に嬉しいと感じます。
物語の根底にあるこうしたユーモアと、今の生き方への肯定が、人気の理由なのかな、と感じました。このシリーズはぜひ続いて欲しいですね。続編がでたら必ず読むと思います。
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