タイトル:コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル
著者:メン獄
出版社: 文藝春秋
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外資系大手コンサルティング会社を12年間生き延びた
元文系バンドマンでもできた“最速仕事術”とは!?
答えがあることを自分で考えない、
議事録は会議前に作れる、
迷子にならないための論点思考……etc
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コンサルティングに近しい立ち位置で働いているので、興味を持って読んでみました。世は新卒の就職希望ランキングのトップをコンサルティング会社が占める、大コンサルティング時代のようですね。
「サバイバルマニュアル」というタイトルの本ですが、新卒で外資系コンサルティングファームのコンサルタントとなった新人の苦悩の日々が綴られた本です。マニュアルではなく、著者の実体験を基に書かれているため、非常に読みやすい本でした。
新卒のアナリスト編からスタートし、ジュニアコンサルタント編、シニアコンサルタント・マネージャー編と著者の成長に伴って話が進んでいきます。各ステージでの著者の悩みや失敗と共に、コンサルタントとして必要なスキルについて触れられています。登場してくる同僚や部下の個性もはっきりと描かれていて、非常に読みやすい本です。
コンサルタントと言えば残業が長く、長時間労働の代名詞的な職業という印象です。昨今の働き方改革の波で、このような長時間労働は許されず、この本にも描かれているように部下の労働環境を護りつつ、クライアントへの成果物の品質を担保せざるを得ず、苦労されている人も多いと思います。
「ブルシット・ジョブ」のくだりで本書でも書かれていましたが、個人的にはここに書かれているような「どうでもいい仕事」に時間をとられているケースが特に日本企業には多いのかな、と感じます。残業時間の長さや睡眠時間の短さを誇る風潮の日本社会では「時間があること=悪」と捉えられて、どうでもいい仕事に割り当てられている人も多いのではないかと思います。(このあたりが日本の弱さなんだろうなーって思ったりもします)
アナリスト編から始まり、徐々に職位が高くなるに連れてやることも広がると共に、視点も広がり視座も高くなり、悩みも違ったものになっていきます。この描き方はうまいと思います。単純に項目の羅列として描くよりも、主人公である著者の成長と共に描いた方が、読者の頭にはすんなりと入ってくると感じました。
本書ではプロジェクトリーダーを務めるマネージャー編で終わっていますが、欲を言うともっと高い視座での活躍、たとえばクライアントの役員やCEOと渡り合ったり、新規ビジネスや市場開拓、ソリューション構築を行なう立ち居地での活躍も見てみたかった、というのはありますね。非常に読みやすく、著者の体験という実例を通しての理解しやすい本でした。
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