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タイトル:鳩の撃退法(下)
著者: 佐藤 正午
出版社:
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ーこのままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。だけど厳密にやばいのはあんただ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ。身を潜めて小説の下書きを進める津田伸一は、退職金をいきなり手渡された。ついに“あのひと”が現れたのか?忽然と姿を消した家族、郵便局員の失踪、うごめく裏社会、疑惑の大金…多くのひとの運命を狂わせた、たった一日の物語が浮かびあがる。数多の作家をも魅了した、ユーモアとスリル、そして飛び立った“鳩”のあまりにも鮮烈な軌跡。現代小説の名手佐藤正午渾身の最高到達点。
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「鳩の撃退法」の下巻です。上下巻あわせて1100ページ。しかも字がびっしり書かれているため、読み応え抜群です。
姿を消した幸地一家、幸地の妻と郵便配達員の知られざる関係、偽札の行方と、裏通りの大物、そして小説家だった主人公・・・。様々な事件を結ぶピーターパンの絵本、行き来する時間軸は雪の2月末日に収束するー!
説明の難しい作品です。
鳩の撃退法という本作と、本作の主人公である小説家、津田が書く小説と、そして読み手である我々。そのどれもが入り混じり、どこまでがどこまでの話なのか、境界が徐々に曖昧になっていきます。
物語の中に登場する人物の会話はあちこちにとび、簡潔とはとても言い難い文章なのですが、不思議と飽きることがありません。物語に不思議なテンポがあり、そこが魅力です。
「ぬまもとでなく、ぬもとです」
「とりかいでなく、とりがいです」
こんなコメディみたいなやり取りがあちこちにあり、話しがかみ合っているようでかみ合っていなかったり、コメディがあったり、シリアスがあったり、と本当に書き手が自分のために書いたような作品だと感じました。
なんというか、、、計算されたところがあるようでないようであるような作品、と言えばいいのでしょうか。物語を最後まで読んでもわかったような、わからないような、どことなくもやもやした感じが残るのですが、それが現実と言えば現実の気もして、圧倒的な文章量に気圧されつつも気付けば読み終えてしまう作品です。本好き、小説好きの人のための作品がします 笑。
藤原竜也さん主演で映画化もされていますが、、、どのように映画にしているのか、気になる作品でもあります。
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