タイトル:マルドゥック・アノニマス 7 (ハヤカワ文庫JA)
作者:冲方 丁
出版元:早川書房
その他:
あらすじ----------------------------------------------
“クインテット”との死闘の末、ついにガス室からウフコックを救出したバロット。だが息つく間もなく、ウフコックは“オフィス”の仲間ブルーを奪還するため、再度の潜入捜査に向かう。一方、ナタリアの精神世界でシザースにもノーマにも利用されない道を探るハンターは、ディムズデイル・ボイルドと邂逅する。幾度もの武力衝突と、悪徳による正義の侵略を経て、都市中を巻き込んだ闘争は新たな段階、薬害集団訴訟に入った。
感想--------------------------------------------------
冲方丁さんの作品です。この作品を読んでいるときは至福の一時ですね。ちなみに前巻が出てから本巻が出版されるまでに、マルドゥックスクランブル、ヴェロシティ、アノニマスの全12冊を読み直しました。再読しても本当に面白い 笑。
ウフコックを取り戻したバロット、昏睡状態のままシザースたちの女王とその父親−ディムズデイル・ボイルドと邂逅するハンター。そして一人また敵地に乗り込むウフコックー。
抜群の面白さです。読み終えて言葉がありません。兎にも角にも、バロットがかっこよすぎる。一対一の戦闘シーンー詳しくは読んでいただきたいのですがーもう鳥肌ものです。
そして新たな展開と、新しい脅威ー。新しい登場人物たちは、物語に更なる展開を与えつつも、物語を引き伸ばすために出てきたのかな?といった危惧もあったりしましたが、物語の質を損なうことはありませんね。安心して読むことができました。
物語は様々な展開を見せ、法廷での戦い、政治闘争にまで至っていきそうです。マルドゥック市を支配しようとするシザースたちと、均一化しようとするハンター、そして迎え撃とうとするバロットたち。物語の冒頭のシーンが何処に繋がるのか、本当に興味がつきません。
この物語は、ぜひ映像化して欲しいなあ、って思います。マルドゥック・スクランブルはアニメ化されていますが、正直、あの頃とアノニマスを読んでいる今とでは、主人公 バロットの印象が大きく変わってきています。
『どうして私なの?』と問いを投げかけていた時から、過去の自分と和解し、多くのものを手に入れた今までの成長を、ぜひ描いて欲しいなあ、って思います。うまく描くことができれば大ヒットは間違いないと思いますが、この世界観を数多のバイオレンス描写も含めて映像化するのは本当に至難の業だろうなあ、と感じたりもします。
兎にも角にも、続きが気になって仕方がありません。これだけの作品の続編を描くのは本当に大変だと思いますが、速く続きを読ませてほしいなあ、と切に望みます。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
----------------------------------------------
この記事へのコメント