読書日記768:三体Ⅱ 黒暗森林(下)
タイトル:三体Ⅱ 黒暗森林(下)
作者:劉 慈欣 (著), 大森 望 (翻訳), 立原 透耶 (翻訳), 上原 かおり (翻訳), 泊 功 (翻訳)
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あらすじ----------------------------------------------
三体世界の巨大艦隊は、刻一刻と太陽系に迫りつつあった。地球文明をはるかに超える技術力を持つ侵略者に対抗する最後の希望は、四人の面壁者(ウォールフェイサー)。人類を救うための秘策は、智子(ソフォン)にも覗き見ることができない、彼らの頭の中だけにある。面壁者の中でただひとり無名の男、羅輯(ルオ・ジー)が考え出した起死回生の“呪文”とは? 二百年後、人工冬眠から蘇生した羅輯は、かつて自分の警護を担当していた史強(シー・チアン)と再会し、激変した未来社会に驚嘆する。二千隻余から成る太陽系艦隊に、いよいよ出撃の時が近づいていた。一方、かつて宇宙軍創設に関わった章北海(ジャン・ベイハイ)も、同じく人工冬眠から目醒め、ある決意を胸に、最新鋭の宇宙戦艦に乗り組むが……。アジアで初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた現代中国最大のヒット作『三体』待望の第二部、衝撃の終幕!
感想--------------------------------------------------
さて、三体二部の下巻です。最初に感想を言ってしまうと、ここまで読んだ三冊で、この本が最も面白かったです。第三部もあるようですが、正直、ここで終わってもよかったのでは?と思ってしまうくらいのできでした。
ルオ・ジーは三体世界からの侵略を気にかけることのなくなった世界で冷凍睡眠から目を覚ました。その時、三体艦隊からの探査船が太陽系に到達しようとしていたー。
面壁者であったルオ・ジー、さらに彼を守らんとする史強、宇宙艦隊に所属する章北海。彼らを軸に、数百年後の未来の世界で三体艦隊の脅威に立ち向かわんとする人々の姿を描いています。物語のスケールは壮大で、どう展開するのか全く読めないところがあります。
物語の描写は緻密で、特にルオ・ジーの心理描写は秀逸で、才能を感じさせます。本作がここに着て面白く感じられるようになったのは、SF小説というよりも、ルオ・ジーや章北海といった登場人物の心の動きが読者に伝わるようになってきたからかな、と思ったりもします。ネタバレになるので詳しくは避けますが、物語の最後もとてもいい終わり方だったと思います。
物語のスケールは壮大で、ショッキングな出来事もあったり、絶望と希望を行ったり来たりする物語展開は読んでいて「これぞSF!」って感じたりもしました。
本作はさらに続くようですが、、、正直、ここで終わってもよかったのでは?と思ったりもします。売れすぎた結果、止めるに止められなくなったんですかね??あと、本巻では「三体」という言葉の持つ意味が、一作目ほど重要ではなくなってきていると感じます。
「天冥の標」もそうでしたが、これだけのスケールの大きな作品を読んでいると、「SFは楽しい」と実感できます。三作目も読む予定です。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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