読書日記764:マルドゥック・アノニマス6


タイトル:マルドゥック・アノニマス6
作者:冲方 丁
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
二十歳の誕生日を控え、声帯再生手術を受けたバロットは六年ぶりに声を取り戻す。人生の新しい始まり──その記念スべき日に祝福と面会の要求を告げたのは、ウフコックを拘禁し続けるハンターだった。ハンター=シザースと考えた根拠を知りたがっている。そう考察したバロットは、交渉でウフコックの居場所をわずかでも掴むべく、フラワー法律事務所を訪ねる。互いの目的を隠したまま、二度目の対話が始まろうとしていた。
感想--------------------------------------------------
待ちに待っていた最新刊。このシリーズはもう読まずにはいられません。本当に、何をおいても読みたくなるシリーズです。

ハンターとバロットの邂逅。それぞれの思惑で動き出すクインテットとイースターズ・オフィス。そして徐々に伸びつつあるシザースたちの手ー。

過去と今を往き来しながら語られる物語は次第に一つの点に収束していき、やがて繋がり、新しい展開へと導かれていきます。ハンターとバロット、そしてウフコック。次第に明らかになっていく虚無の男とその娘。繋がり始めるボイルドとハンターとバロット。シザースとクインテットとイースターズ・オフィス。もう、ページを繰る手が止まりません。

登場人物が非常に多く関係性も複雑さを増しているのでなかなかに把握しづらいところもありますが、そんなことは些細なことです。描かれるハンターとバロットという二人が、それぞれのカリスマ性を発揮し、その周囲の人間(エンハンサー)たちの個性と相まって、物語をどこまでも深く、面白くしていきます。

過去に向きあえないハンターと、過去の自分と友達になったバロット。そしてその二人の過去に陰を落とすボイルドとオクトーバー一族。そしてボイルドとオクトーバー一族から連なるシザースたちの女王 ナタリア。彼女の個性が物語に現れ始めた時、また物語は大きく動くのだろうな、と思います。

本巻はここまでの物語の一つの節目、過去と今が収斂した巻でした。この先、物語は未来に向けて走り始めることになると思いますが、どこに向かうのかー。本当に楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S

この記事へのコメント