映画日記 94:シン・エヴァンゲリオン劇場版
タイトル:シン・エヴァンゲリオン劇場版
監督:庵野秀明
あらすじ----------------------------------------------
感想--------------------------------------------------
*本記事にはネタバレと個人的な解釈が多く含まれますので、ご注意ください。
ようやく、本当にようやく、見に行くことができました。感無量です!!
TV版全話、劇場版、新劇場版を全部見たうえでの感想ですが、控えめに言って最高でした。二十年以上の年月を経て、とうとう完結。繰り返しますが、感無量です!!
一人の少年が大人になっていく物語。
これはエヴァのテレビ版からの大きなテーマだったと個人的には思っています。自分の存在を肯定し、自分の居場所を自分で見つけていく物語。それがエヴァだったと思っていましたが、本作はそのテーマそのままに、様々な伏線について、さまざまな作品について、きっちりとした終わりを提示していると感じました。(正直、ここまできれいな終わりを提示されるとは思っていませんでした。)
自分のことで手一杯だった少年が、他人を思いやれる大人へと成長していく物語。
これが本作を観て大きく感じたところです。生きる人々と日々の営みが物語の前半部分でかなりの時間を割いて語られています。これがとてもインパクトがあると感じます。エヴァではあまり描かれてこなかった、エヴァが、シンジが守ろうとしてきた存在。そして守れなかった存在。でもそんなシンジを許す存在。
どうしてそんなに優しいんだー。
涙ながらにそう口にするシンジの言葉は胸に響きます。そしてシンジの心が動いていくー。この過程がとても丁寧にしっかりと描かれていて、それがとても胸に残ります。自分のことで手一杯だった少年から、他人を思いやる大人へ。シンジの成長が感じられますねー。
そして、シンジと対比されるように描かれるのがゲンドウ。最後までユイ以外の他者に心を開くことのなかった父は、シンジと対して初めて気付くのですね。ユイは自分の子供の中に残されていたのだ、と。このシーンも本当に印象的です。
父と母を後ろに残し、世界へと戻っていくシンジ。それは成長の証でもありますね。リアルとイマジナリー。現実と仮想。その世界を行き来することのできるエヴァ。そしていくつもの世界のうちの一つはこの我々が生きる現実世界にも繋がっているのだーそう思わせられる終わり方。これはTV版や旧作の映画にも通じるところがあると感じます。ただ終わり方は、とてもポジティブに変わっていると感じました。
子供のために生きる親。自分の居場所を見つけた子供。そして子供から大人への成長。魂が融合されてストレスのない一つの魂として生きることよりも、他者とのせめぎあいはあるかもしれないけれど、それを乗り越えていく強さを身に着けて生きることを選んだシンジ。これも旧作と同じテーマですね。でも、繰り返しになりますが、その扱いがとてもポジティブです。「キモチワルイ」と言われるのではなく、「君もきれいだよ」と言える世界なんですね。
最後の実写の世界のパノラマもいいですねー。エヴァが全て失われた世界が、我々が生きる世界だと考えると、物語がとても広がり、この世界自体がエヴァという物語の延長のようにも感じられます。我々もエヴァの登場人物の一人であり、物語を創り上げてきた一つのピースなのだ、と。これは製作側からのメッセージでもあり、本当に嬉しいことだとも感じました。
いやー、面白かった!DVDもおそらく買います!楽しみです!
この記事へのコメント