タイトル:天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART2
作者:小川 一水
出版元:早川書房
その他:
あらすじ----------------------------------------------
全宇宙を覆いつつあるオムニフロラを食い止めるべく、カルミアンの総女王オンネキッツは、人工的な超新星爆発を起こそうとしていた。それに対抗する超銀河団諸族の巨大艦隊の真っ只中へと到達したセレスだったが、その内部ではMMS、“救世群”、2PAの連合軍が、状況を打開する鍵となるドロテアへの進攻を開始していた。それは、姉であるイサリの指揮の下、太陽系を滅ぼした仇敵ミヒルを討ち取ることを意味していた。
感想--------------------------------------------------
長い物語の旅も本巻含めてあと二冊になりました。現代世界から始まった物語は、十巻十七冊の物語を経て遠い宇宙の惑星での物語へと繋がっていきます。物語の最終章です。
セレス内部に逃げ、ミスチフと手を結んだ救世群の女王ミヒル。彼女を追うイサリ、アクリラ、カドムたちと、宇宙を覆いつくさんとするミスチフの脅威に対処しようとするラゴスたち。宇宙の片隅で人の物語が結実するー!!
イサリ、アクリラ、ラゴス、カドムー。一巻から登場してきた登場人物たちの物語が、彼らの背景描写的な物語を経て、ここに結実していきます。一巻を読み始め、そして読み終えたたときはどこに向かうか分からなかった物語が、はっきりとした方向性を持って終わりに向かっていきます。一巻を読み始めたときには一つの世界での領主と、その領主に反抗する勢力の争いだった物語が、宇宙を駆けて他の星へと繋がる物語にまで発展するとは考えもしませんでした。予想の遥か先を行く、これこそがSFだと思います。
二つの恒星を操るカルミアンたちの女王、そして数億隻からなる大艦隊、そしてドロテアの中心部でアクリラやイサリたちを待ち受ける異形の怪物たちー。繰り広げられる戦いと、倒れいく者たち。そして最終巻に向けて物語りはさらにスケールを増していきます。
数千万年におよぶミスチフの宇宙侵攻というのがスケールが大きすぎです。そしてその侵攻を食い止めるための手段として恒星の爆発を使おうというカルミアンたちの発想も。これまでの巻に登場してきた人々の倒れいく姿は、残念でもありますが。
さて、残すところあと一冊。楽しみに読もうと思います。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
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