コミック日記162:鬼滅の刃 21


タイトル:鬼滅の刃 21
作者:吾峠呼世晴
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
上弦の壱との激闘、ついに決着の刻!!死力を尽くした戦いの末に、辛くも勝利した鬼殺隊だが、その代償はあまりにも大きかった・・・。さらに無限城の奥底で、鬼の始祖・鬼舞辻無惨が動き出す・・・!その時、炭治郎はー!?

感想--------------------------------------------------
コロナでテレワーク中とはいえ、いや、テレワーク中だからこそ、読んだのが本作、鬼滅の刃です。もはや説明は不要ですね。日本中を席巻している大人気作です。最終話まで既読です。

多大な犠牲を払い、上弦の壱を倒した鬼殺の剣士たち。鬼たちの始祖、無惨のもとへと柱たちが集結するがー。

もう何年も前から連載されており、アニメ化を機に爆発的なヒットとなった本作。その面白さは、展開の速さ、本当に真っ当な正義の物語であること、掘り下げられた各登場人物や鬼たちの人物設定など、数多くあるかと思います。連載は終了していますが、正直、ここで終わらせて正解だと個人的には思います。もし「その後」を描くのであっても、絶対に別作品とした方がいいと感じます。

描写は最初からかなり残酷です。そしてそれがアニメ化ではさらに磨きがかかっており、個人的には「小さい子が見ても大丈夫なのか?」と心配になるほどでした。しかしその心配とは裏腹に、炭治郎や善逸、伊之助たちの陽なキャラクター設定、圧倒的なアニメーション力で吹き飛ばしていきます。正直、TVシリーズここまでの映像美を見せられるというのはすごいことだと感じます。

本巻では物語も佳境に入ります。鬼の始祖、最後の敵、無惨との決戦、そして逝く人々と明かされていく最強の剣士、縁壱の過去。そうしたものが、ジャンプの世界観とマッチした、正しさ、強さと相まって読者の胸に迫ります。

戦闘シーンも見所なのですが、正直、本作の見所は各キャラクターの過去の回想、想いといった箇所なんだろうと強く感じます。鬼の過去も丁寧に語り、なぜ鬼になったのかの部分をしっかり描く、そして柱たちについてもその過去を紐解き、背負っているものを描き、キャラクターの個性を深めていきます。

同じジャンプの人気連載作、ONE PIECEでは各登場人物の過去を語る際にも優に単行本一巻分くらいを費やしますが、本作はそこを簡潔に、しかし非常に深く描いていることも魅力の一つかと思います。読者が感情移入をしやすいんですね。

悲劇ではあるが、希望は必ずあるーそんなトーンが物語の背景に終始漂っています。そしてその希望のためにぎりぎりのところで剣を振るう剣士たち。この緊迫感の描き方、各登場人物の生き様、それらが本当に見事だと感じます。

単行本はあと二冊、二十三巻で終わりですね。楽しみにしたいと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S

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