読書日記751:シーソーモンスター
タイトル:シーソーモンスター
作者:伊坂 幸太郎
出版元:中央公論新社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
我が家の嫁姑の争いは、米ソ冷戦よりも恐ろしい。バブルに浮かれる昭和の日本。一見、どこにでもある平凡な家庭の北山家だったが、ある日、嫁は姑の過去に大きな疑念を抱くようになり…。(「シーソーモンスター」)。ある日、僕は巻き込まれた。時空を超えた争いに―。舞台は2050年の日本。ある天才科学者が遺した手紙を握りしめ、彼の旧友と配達人が、見えない敵の暴走を阻止すべく奮闘する!(「スピンモンスター」)。
感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの作品です。本書の最後にも書かれていますが、本書は文芸誌「小説BOC」の創刊にあたり、8組の作家によって紡がれた「螺旋プロジェクト」の一作です。伊坂幸太郎さんだけが「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」の二作を書かれていますね。全体を通して山の一族と海の一族の「対立」が紀元前の世界から未来にわたって描かれています。伊坂幸太郎さんの二作は、昭和時代と近未来について描かれています。
嫁姑の争いが激化する昭和時代の北山家。そしてひょんなことから警察に追われる身となった配達員。二つの出来事を経て、物語は何処へ向かうのかー。
物語の背景に驚きと笑いを覚えてしまうシーソーモンスターと、物語の終わり方にどこか中途半端感を覚えてしまうスピンモンスター。やはり「螺旋プロジェクト」の一端だからでしょうか。物語の全体像がわからず、消化不良感は否めません。それでも面白くはあります。
どちらかというと、シーソーモンスターの方が面白く感じました。伊坂幸太郎さんテイスト抜群で、最後に明かされていく真実にはニヤリとします。スピンモンスターは、近未来ということでその描き方が難しいのだろうな、と感じます。SF作家さんのように世界観から構築するわけではなく、人物主体に描きながらもパスカ(スマホのようなもの?)のようなパーツを部分的に取り入れていくだけなので、SF作品を読んで来ている身としては少し物足りなさを感じます。
スピンモンスターは終わりがね。。。結局、この物語は何処へ向かうのだろうか、と感じます。それは続いていく「螺旋プロジェクト」の作品を読んでくれ、ってことなんでしょうかね。。。
つまらくはないですが、本書だけで物語が完結している感がないので、そこが少し残念な気はします。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
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