読書日記750:クジラアタマの王様


タイトル:クジラアタマの王様
作者:伊坂 幸太郎
出版元:NHK出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。打ち勝つべき現実とは、いったい何か。巧みな仕掛けと、エンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって、伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。

感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの作品です。ずっと前から読みたいと思っていた作品です。本作は要所要所に川口澄子さんのコミックパートが含まれています。迫力ある訳ではないですが、この作品にぴったりとあっているコミックと感じました。

製菓会社でクレーム対策を担当する岸は、ひょんなことから人気絶頂のダンスグループメンバー小沢ヒジリ、都議会議員 池野内征爾と知り合う。「自分たちは夢の世界で出会っている」という池野内の言葉が三人を不思議な体験に導いていくー。

題名となっている「クジラアタマの王様」。これは本書のカギとなる鳥、ハシビロコウの外国での呼び名らしいです。本書をきっかけにハシビロコウを調べてみましたが、なんともおもしろい表情の鳥ですね。ただかなり大型の鳥らしいので、実際に見ると印象はまた変わるかもしれません。

本書のテーマは「現実」なのかな、と読みながら思ったりもしました。現実と、そこと関係しそうな夢の世界で三人は出会い、戦い、生き抜いていきます。多くのピンチに見舞われながらも、現実とそこと関係する夢の世界で苦闘しながら、そのピンチを切り抜けていきます。

「現実は、僕の触れるこの、今体感しているここだった」

本書の中の一節です。現実の裏に、背景に、何があったとしても、乗り越えなければならないのは目の前にある現実。そのことが本当に言いたいことなんだろうな、と感じます。現実としっかり向き合い、乗り越えるために努力する。そのときに道は開かれる。当然のことですが、そのことを改めて謳っているように感じました。

物語自体は非常に伊坂幸太郎さんらしい、ユーモアあふれる作品です。ただ、少し読み飽きてきた感はあるかな、とも思うこのごろです^^


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A

この記事へのコメント