読書日記727:天冥の標Ⅱ 救世群


タイトル:天冥の標Ⅱ 救世群
作者:小川 一水
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
西暦201X年、謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子は、ミクロネシアの島国パラオへと向かう。そこで二人が目にしたのは、肌が赤く爛れ、目の周りに黒斑をもつリゾート客たちの無残な姿だった。圭伍らの懸命な治療にもかかわらず次々に息絶えていく罹患者たち。感染源も不明なまま、事態は世界的なパンデミックへと拡大、人類の運命を大きく変えていく―すべての発端を描くシリーズ第2巻。

感想--------------------------------------------------
天命の標のⅡです。舞台がⅠと全く変わり、現代の日本。一作目の八百年前ということで、ここが始まりです。

冥王斑と呼ばれる目の周りの黒斑が特徴の、致死性疫病に席巻され行く世界。疫病と医師の戦いが繰り広げられる一方で、致死性ウィルスを抱えたまま回復した「回復者」たちにも厳しい道のりが待っていたー。

一作目に出てくる要素が所々に登場しつつも、かなりオリジナル的な要素があり、さらに現代世界を舞台として描いているので、個人的には一作目よりも楽しめました。全十作、十七巻で植民地 メニー・メニー・シープの世界が主軸となりながらもそこに登場する様々な人外の要素、<恋人>、<休息者>、<咀嚼者>などの成り立ちと歴史が描かれていくのでしょうね。これだけのスケールでありながら、各登場人物の背景をしっかりと描いていけるというのは凄いことだと感じます。

第二巻である本巻では、疫病が地球上を席巻していく様を描きながら、その疫病と人類の戦いをしっかりと描いています。人としての扱いをされなくなるウィルス保有者、そして謎の感染源ー。一巻の最初に繋がる物語であり、救世群という名から彼らが<咀嚼者>になっていくと思うのですが、その筋道はまた別の巻で描かれるのでしょうね。普通にアウトブレイクものの本として読んでも面白かったです。

できればこの巻の直後の物語も読みたかったのですが、各巻の粗筋を見る限り、書かれてはいないようですね。また三巻では舞台と登場人物ががらっと変わるようです。一冊一冊が四百ページ程度の厚さがあり、かなりのボリュームですがあっという間に読めてしまいます。SF好きとしてはたまらないシリーズとなりました。次巻もまた読んでみようと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S

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