読書日記721:マルドゥック・アノニマス4


タイトル:マルドゥック・アノニマス4
作者:冲方丁
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
オフィスとクインテットの死闘の末、両陣営は多数負傷者を出し、ウフコックはハンターに拉致されてしまう。何も知らずに友人たちとの卒業旅行から帰ったバロットは、イースターからこれまでの経緯を聞き、ウフコックの奪還を決意する。善なる協力者たち、大学での新たな学び、そして楽園―考えうるすべての方法を使って。あの日、ネズミの良心に救われた少女はいつしか二十歳に近づいていた。二人の物語が再び動き出す。

感想--------------------------------------------------
楽しみにしていたマルドゥックシリーズの最新刊です。個人的に次巻が楽しみで仕方ないシリーズですね。本当に、終わらずにいつまでも続いてほしい、と思うシリーズです。

ウフコックの奪還を果たすべく敵の拠点に乗り込んだバロット。ここに至るまでのバロットの道のりも、決して平坦ではなかったー。

前巻の最後で登場した本シリーズのヒロイン、ルーン・バロット。ウフコックと共に戦う姿はやはり様になります。本巻ではウフコックや仲間たちとの共闘の様子と、ここに至るまでのバロットの道のりが交互に描かれていきます。圧倒的な強さで異能を有するエンハンサーたちを制圧していくバロット。そして法学生としてのバロット。その両面を描きながら、バロットが仲間の信頼を勝ち得、自身も成長していく姿を描き出しています。

マルドゥック・スクランブルでは自身の生きる意味を探し、再生したバロット。本シリーズではウフコックとの絆とイースターズオフィスの面々との共闘がメインで描かれます。いつもウフコックと二人で戦って来たバロットが、仲間との任務に挑むー。彼女の成長が見られる巻です。

また宿敵であるハンターの過去も少しずつ明らかになっていきます。均一化(イコライズ)を目的にマルドゥック市内の一大勢力となりつつあるハンターとその仲間たち。そして過去が明らかになるにつれて姿を現すオクトーバー一族と「虚無」の影。マルドゥック・スクランブルとマルドゥック・ヴェロシティの登場人物が繋がり、物語の全貌が次第に明らかになっていきます。いやあ、この展開にはしびれますね。ホント、集大成、という感じです。

個人的には「虚無」と「毒婦」の間に生まれた子供と、バロットの邂逅が見たくてたまりません。かつてバロットが激闘を繰り広げた虚無=ボイルドの娘とバロットの邂逅。そこには大きなドラマがあると同時に、本作のクライマックスになるのだろうな、とも感じます。

どの巻もそうですが、次巻への期待しかありません。はやく次の巻が読みたくて仕方ないです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S

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