読書日記720:the four GAFA 四騎士が創り変えた世界


タイトル:the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
作者:スコット・ギャロウェイ
出版元:東洋経済新報社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
激変を預言した著名教授が断言。次の10年を支配するルール。

感想--------------------------------------------------
GAFA−Google、Apple、Facebook、Amazon−誰もが日々触れている四つの大企業のことですね。世界屈指の大企業であるこの四社について著者はユーモアたっぷりに鋭い批評を展開します。

客観的な分析も多くありますが、本書の魅力は何と言っても著者のユーモアあふれる批評です。著者のプレゼンテーションは聴衆を魅了してやまないでしょうね。

とんでもない規模でビジネスを展開する四社。しかし読んでわかりますが、問題なのは、この四社は従来の大企業ほど雇用を生み出していない点です。Amazonが徹底的にロボットを活用して倉庫を管理しているのは有名ですが、他の三社も売上に対する社員の数が驚くほど少ない。会社的には利益が多く好ましいことですが、社会には全く貢献していないことになります。本書でも指摘されていますが、まさに一部の人間(社員)だけが億万長者になり、他にはお金が入らない状態になります。

少数の支配者と多数の農奴が生きる世界。
本書の一つの章の名前にもなっていますが、まさに世界はそのようになっていると感じます。中世と違い、その構造が非常に見えにくくなってはいますが、社会構造における格差は過去と同等かそれ以上に広がっていると感じます。その「支配者」の代表がGAFAですね。

本書は、四騎士と称されるGAFA各社の成り立ちや批評もそうですが、四騎士に共通する八つの遺伝子や、GAFA以後の世界を生きるために必要な個人の資質についても書かれており、個人的にはここが最も印象に残りました。差別化、ビジョン、垂直統合、AI、地の利、世界展開、好感度ーこうして列挙するとどれも確かに四騎士は持っていますし、心理的成熟や好奇心、当事者意識と言った個人的な資質は成功するためには必要ですね。男性より女性の方が心理的に成熟している、というあたりは、米国も日本も変わらないのだな、と感じました。

本書の最後の方に、「起業家に向いているか?」という問いと、三つの質問が書かれています。
・人前で失敗しても平気か?
・売込みが好きか?
・大企業で働くスキルに欠けているか?

残念ながら(?)私は全て「No」でした。起業家には向いていないですね。本書を含めビジネス書を多く読んでいるのでなんとなくわかってくるのですが、大きな事業を起こす人は、決定的にバランスを欠いていますね。それはおそらく本書に書かれているジョブズやザッカーバーグも同じなのでしょう。そしてその壊れたバランスから生み出された極端なものが世界を変えていくのでしょうね。

良くも悪くも、世界を虜にしているのが四騎士です。野望のある人は、本書を読み、第五の四騎士を目指してみるのも悪くないかもしれません。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S

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