読書日記712:風の男 白洲次郎
タイトル:風の男 白洲次郎
作者:青柳 恵介
出版元:新潮社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
日本国憲法誕生の現場に立会い、あの占領軍司令部相手に一歩も退かなかった男。常に活眼を世界に注ぎつつ、わが道を行く天衣無縫の気概。物事の筋を通し、自説を枉げぬ強靱さ。と同時に、内に秘めた優しさ、しなやかさ、ユーモア。端正な面立ち、洒落た身なり、寸鉄の片言…。正子夫人をはじめ、この男に魅せられた人々の「証言」から蘇える「昭和史を駆けぬけた巨人」の人間像。
感想--------------------------------------------------
白洲次郎。うーん、だれ?というのが読むまでの感想でした。聞いたことあるような無いような…。本書を読むとその人となり、どんなことを行った人なのかがよくわかりました。
白洲次郎。実業家であり、サンフランシスコ講和条約締結時の首相 吉田茂の側近。英国への留学経験があり英語が堪能、国際情勢に明るく、頭脳明晰、歯に衣着せぬ物言い、とかなりの個性の持ち主と感じました。戦前、戦後を駆け抜け、戦後の占領下での日本のために陰ながら尽力した傑物ですね。個人的な印象は「男前」。人としての軸があり、筋を通す明晰な人、という印象です。
本書には白洲次郎の人生が分かりやすく、魅力たっぷりに描かれています。前段の戦前、戦後の話ももちろんいいのですが、後半の年を取ってからの話もまた面白い。とくに軽井沢ゴルフ俱楽部の理事になってからの逸話は個性がよく感じ取れます。また白洲次郎の写真も多く掲載されていますが、長身で非常に男前。そしてファッションセンスもよく、何十年も前の写真なのに、今このファッションをしていても違和感が無い、と感じさせるファッションをしています。
企業でも個人でもそうですが、一本筋がきっちりと通っていて、その判断基準に照らし合わせて動くことの出来る人は強い、と感じます。日本という国を理解し、さらに英国留学を通じて諸外国の価値観や文化も理解しているからこそ、現代日本の礎を築けたのだろう、と感じました。
どうしてもこの時代の人を描いた本は理解が難しいことが多いのですが、本書はそんなことはなく、一気に読めました。それもこの白洲次郎の人間性があるからですね。大変面白かった本です。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
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