読書日記710:仕事。
タイトル:仕事。
作者:川村 元気
出版元:文藝春秋
その他:
あらすじ----------------------------------------------
「私と同じ年の頃、何をしていましたか?」。大人になってからのほとんどの時間、僕らは仕事をしている。だとしたら僕は人生を楽しくするための仕事がしたい―。映画プロデューサー、作家として躍進を続ける川村元気が、仕事で世界を面白くしてきた12人の巨匠に聞いた「壁を乗り越え、一歩抜け出す」唯一無二の仕事術!
感想--------------------------------------------------
「世界から猫が消えたなら」、「億男」などで有名な川村元気さんの対談集。とにかく対談相手が豪華。その豪華な顔ぶれと語るのが「仕事。」について。思わず書店で手に取りました。
「仕事。」についての対談相手は以下の通り。
山田洋次、沢木耕太郎、杉本博司、倉本聰、秋元康、宮崎駿、糸井重里、篠山紀信、谷川俊太郎、鈴木敏夫、横尾忠則、坂本龍一
繰り返しになるけど、まあ、なんて豪華な顔ぶれ。みなが一流で、今も第一線で働いている人たちばかり。そんな人たちの「仕事。」に対する考えや、自分が三十代、四十代の頃に考えていたことが書かれている。これは読まなきゃもったいない、というものです。
名言も多く、考え方も皆個性的。言葉も刺さるものが多い。印象に残った言葉を少しだけ。
「人の嫉妬はエネルギーになるんだ」
「どこにいてもソロで生きられる力をつけろ」
「ラクしたい自分を否定しちゃダメ」
どれも別の人の言葉で、どれも違った考え。でもそこにはその人のこれまでの人生で培われた哲学・信念みたいなものがしっかりとあって、そこが人を魅了するのだと思います。
翻ってみると、今の時代でこのような人たちが出てくるのは非常に難しいな、って感じてもしまう。全てが仕組化され、計算し尽くされた世の中では、彼らのようなどうしようもなく個性的な人よりも、計算高く仕組みやルールを味方につけてうまく立ち回れる人の方がでてきやすいんだよね。今の世の中がお金で回っているから、出てくる人も「どれだけ稼いだか」、「どれだけお金を持っているか」の観点だけで、そこでの立ち位置が上の人ほど重宝される。川村元気さんも、この年でこれだけ成功しているからこのような対談企画が成り立っているんだろうな、なんて思ったりもする。「強い思い」や「人と違った何か」だけだと厳しいのはどの時代もそうだけど、特に近年はそう思う。
あと、個人的にはこのようなすごい人たちだけではなくて、市井に生きる人たちの仕事観を聞いていっても面白いかも、なんて感じました。一般企業や官庁、学校、スーパーなんて身近なところで何年も働いている人たちにもそこで培った人生観、仕事観があったりして、そこをうまく切り取れれば、身近な分、とても面白い仕上がりになると思う。でも面白くするには、聞き手がすごく重要になりそうですが。
この中で私が一番共感したのは沢木耕太郎さんでした。読んでいて感覚が私ととても近くて、驚きました。こうした読み方も面白いかもですね。よかったらぜひ読んでみてください。こんな本めったにないです。お勧めですよ。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
この記事へのコメント