読書日記709:木洩れ日に泳ぐ魚


タイトル:木洩れ日に泳ぐ魚
作者:恩田陸
出版元:文藝春秋
その他:

あらすじ----------------------------------------------
舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿―共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと解放感が満ちる傑作長編。

感想--------------------------------------------------
「蜜蜂と遠雷」で直木賞を受賞した恩田陸さんの作品です。

アパートの一室。別々の路を歩むことを決め、アパートを引き払った二人は、夜を徹して語る。各々の思いと、残されたなぞについてー。

恩田陸さんの作品はいろいろと読んでいます。私の印象としては失礼な言い方になりますが、「あたりの作品とはずれの作品がはっきりしている作家さん」というイメージです。「チョコレートコスモス」や「蜜蜂と遠雷」は食い入るように読み、すごく引き込まれたのですが、一方で終わりがなんとなくもやもやしたまま終わる作品も多いと感じています。

申し訳ないですが、私にとって本作は後者にあたります。アパートで最後の一夜を過ごす男女、徐々に明らかになっていく一組の男女の正体、二人が抱えている鬱屈はなんなのか?どのような結末をこの二人はむかえるのか?ー。この導入の部分や設定はとてもいいと思うのですが、いかんせん二人の思考がとても冗長で読んでいて辛くなってきます。男と女、二人の視点が入れ替わりながら進んでいく進め方はうまいと思うのですが、思考の語り口が冗長すぎて飛ばし読みしたくなってきます。ここまでうじうじと考えないだろう!って思っちゃうのは私だけでしょうか??

残された一枚の写真、二人と共に写真に写っている男は?二人との関係は?といった部分もあまり引き込まれず、ただただ冗長な語り口と、思いつきのような真相にちょっと肩すかしをくらった気分になります。この方はピアノや演劇の世界のような感動的なものをそのまま感動的に描くことに才能がある方なのかもしれないですね。ミステリやサスペンスはどうも尻切れとんぼになる感があります。

物語は突如として呆気なく終わりを迎えます。この読み終えたときの感覚、どう表現したらいいんでしょうね。なんとも複雑です。また「蜜蜂と遠雷」のような作品を読んでみたいと感じました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):C

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