読書日記705:十二人の死にたい子どもたち


タイトル:十二人の死にたい子どもたち
作者:冲方 丁
出版元:文藝春秋
その他:

あらすじ----------------------------------------------
廃病院に集まった十二人の少年少女。彼らの目的は「安楽死」をすること。決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。だが、病院のベッドには“十三人目”の少年の死体が。彼は何者で、なぜここにいるのか?「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。互いの思いの交錯する中で出された結論とは。

感想--------------------------------------------------
天地明察」や「マルドゥック・スクランブル」の作者、冲方 丁さんの作品です。SFや時代小説といった、これまでの作品ジャンルとはまた異なったジャンルの作品ですね。楽しみに読んでみました。

死ぬことを目的に廃病院に集まった十二人。しかしそこには既に十三人目の死体があった。彼は誰なのか?何故死んだのかー?議論を重ねるうちに十二人の素顔が浮き彫りになっていくー。

本書はミステリーに近い作品ですね。事情ある十二人が一同に集い、十三人目の死体についての議論と、十二人の死にたい理由、十三人目を持ち込んだ人間の正体を探す、謎解きがメインとなっています。十二人の個性をしっかりと描き分けている点はさすがです。しかし一方で謎解きパートはやや複雑で、探偵役の一人が次々と謎を解いていくのですが、その解き方は天才的ですらあり、ちょっと拍子抜け的な部分もあります。

十二人の辿り着いた結論についてはぜひ読んでいただきたいのですが、死を求める理由が軽いものから重いものまで人それぞれで、他人からすると「なんでそんなことで」って思うものもあったりします。でもきっと死を求める理由ってきっとそういうものなんだろうな、って思えたりもして、逆にリアルさを感じました。

行ったり来たりを繰り返す議論や、議論に関するルールの会話については冗長、あるいはまどろっこしく感じる人もいるかと思います。でもそれを読ませるだけの筆力があって、それはさすが冲方 丁だな、って感じました。SF、時代小説、ミステリーと、ジャンルが全て違って文章も全然違うのに、それをしっかりと読ませるのはさすがです。この人は本当に、どのような分野の本を書かせても一級品ですね。

本書は映画化もされるようです。そうそうたるメンバーが揃った作品で、実写映画とても楽しみですね。一人、役者が明かされていない人もいますが、それがまた、誰になるのか、楽しみです。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A

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