読書日記697:貴族探偵


タイトル:貴族探偵
作者:麻耶 雄嵩
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
自称「貴族」で趣味は「探偵」という謎の男が、コネと召使いを駆使して事件を解決! 斬新かつ精緻なトリックと過去に例のない強烈なキャラクターが融合した、奇跡の本格ミステリ集。


感想--------------------------------------------------
先日読んだ、「隻眼の少女」の著者、麻耶 雄嵩さんの作品です。本書は以前、相葉雅紀さん主演でテレビドラマ化もされていますね。「隻眼の少女」とはだいぶ趣の違った作品でした。

「貴族探偵」を名乗る由緒正しき家の生まれの男。自分で手を動かすことなく、全てを使用人たちに任せて事件を解決していくー。

「隻眼の少女」が金田一作品を思わせる重厚な作品だとすると、本作は非常に軽妙な作品です。本作は五編の作品から構成される短編集ですが、そのどの作品でも、事件の調査も、推理も、解決でさえも使用人たちがやってのけてしまいます。安楽椅子探偵ものかと思いきや、推理さえも使用人に任せるとはさすが貴族、と思わされます。一方で各編の謎は非常にしっかりとしていて、さすが一流作家、と思わされます。ミステリのつくりは完璧です。

おどろおどろしさはなく、物語の主眼も、謎解きはもちろんですが、貴族探偵のキャラクターにあるように感じました。何もせずに使用人を使って事件を解決する一方で、登場する女性を必ず口説いていく貴族探偵。この憎めないキャラクターが本作の一番の売りなんだな、と感じました。

この物語は続編もありますね。「貴族探偵VS女探偵」ということで、ライバル登場のようです。続きも読んでみようかな、と思いました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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