読書日記696:ペンギン・ハイウェイ


タイトル:ペンギン・ハイウェイ
作者:森見 登美彦
出版元:第31回日本SF大賞受賞
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした―。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。

感想--------------------------------------------------
森見登美彦さんの小説を読むのは、おそらく「夜は短し歩けよ乙女」以来だと思います。もう十年ぶりくらいでしょうか。日本SF大賞受賞作ということと、映画化されているということで、期待を持って読んでみました。

小学四年生の「僕」は小学校に通いながら研究にいそしんでいる。世の中には研究対象が溢れている。街に突如現れたペンギンたちに歯医者のお姉さん、そしてー。

読み終えて、少しの切なさと、優しさと、温かさに包まれる作品です。読んでよかったと素直に思える作品ですね。ウチダくん、ハマモトさん、お姉さん、お父さん、お母さんー。みんなが温かく、優しくて、特に大人たちが皆、「僕」と同じ目線で物事を語っていて、その姿勢がとてもいいです。

突如として街に現れ、移送途中ですがたを消したペンギンたち、そして次々と現れる不思議な現象と、その謎に挑む少年研究者、「僕」ことアオヤマくん。

「どうだ少年、きみにこの謎が解けるか?」

存在そのものが謎のお姉さんに投げかけられる言葉、そして謎に関するヒントをくれるお父さん、温かく「僕」を見守るお母さん。そして一緒に研究続ける仲間たち。登場人物もストーリーも、温かさに溢れていると感じます。大人への憧れ、少年の成長、仲間。ああ、うまいなあ、って感じます。このテイストはアニメでしか表現できないですね。アニメ化は大正解だと思います。

ペンギンたちを皮切りに、不思議な出来事が次々と僕の周りでおき始めます。謎は深まるけれど、それだけではなくて、子供ながらの感情や描写も秀逸で、そのバランスがとてもいいです。特に「死」というものに関するウチダくんの考え方なんて、うまいなあ、って思います。子供ながらに私もウチダくんのように考えたことを思い出しました。そうした子供としての感情、感覚が残されているのが本作の魅力でもあると思います。

物語を読み終えても、謎が全て解けたわけではないけれど、もやもや感なんて全く残りません。すっきりした感動が残るいい作品でした。森見さんの作品、また読んでみようと思います。楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス

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