読書日記694:ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち


タイトル:ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち
作者:ピョートル・フェリクス・グジバチ
出版元:大和書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
今は、産業革命に匹敵する時代の転換点にある。世界的に起きている価値観の変化、AIの参入や市場の変化を先読みし
ゼロから1を生み出す人になる考え方、行動の仕方を説く。

感想--------------------------------------------------
知り合いから借りて読みました。納得できる点が山ほどある本です。

本書の著者ピョートルさんはモルガン・スタンレー、Googleで長年にわたり人材育成に関わってきた方です。その経験をもとに、これから求められるニューエリートと、旧来のオールドエリートについて、ご自身の経験を交えながら語られていきます。

ためになることはいろいろと書かれていますが、特に印象に残ったのは、「自己認識」と「自己開示」です。日本人はこの二つが外国に比べて全く出来ていない、とピョートルさんは強く言っています。「日本の職場には安心して自己開示できる場が無い」と書かれていますが、これはまさにその通りだと強く感じました。

この「自己開示ができない」というのは日本社会の特長のようにも感じます。「他人と同じであること」をどんな集団でも強く求められる日本では、「私はこう思う」と強く自分の意見を主張することが難しいと感じます。これは職場に限らずですね。だから「自分らしくありたい」と願う人は集団からはなれていかなければなりません。そして実はそうして個になった方が自己開示しやすい、とも感じます。

自己開示した一人一人の人間を個として認め、その個人が集まりいい仕事をする欧米のスタイルと、自己を押し殺して滅私奉公する日本のスタイルでは、同じ会社勤めでもその内容は大きく異なると思います。特に昨今、いわゆる単純労働的な仕事から創造力を働かせる仕事の割合が増えている状況では、その結果には大きな違いが出てくるでしょうね。

「自己開示できること」、「個性を認められること」、「寛容であること」。こうしたことは実は根っこで強く繋がっていて、これらを実現できることは本来当たり前なのに、日本ではまだ十分ではないな、と感じます。特に「個性」という点でどうしても誰もが自分がオープンでコミュニケーションがとれて…といったポジティブな「個性」を見せようとしがちですが、実は「閉じて一つのことに集中できること」や「他の人が知らない世界にものすごいこだわりがあること」も個性だったりして、そうした面はなかなか見せにくいと感じます。ここに効いてくるのが「寛容であること」なんでしょうね。

総じて本書は面白かったです。しかもとっても読みやすく、あっという間に読んでしまいました。「とにかく試す」というマインドの重要性は「仕事は楽しいかね?」など様々なビジネス本でも語られていて、ここは再認識できた感じです。ぎゅっと中身の詰まった本でした。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス

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