読書日記691:サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福


タイトル:サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福
作者:ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)
出版元:河出書房新社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
なぜ我々はこのような世界に生きているのか?
ホモ・サピエンスの歴史を俯瞰することで
現代世界を鋭く抉る世界的ベストセラー!

感想--------------------------------------------------
ベストセラーとなり、本屋さんでもよく見かける本です。いつか読もうと思っていましたが、ようやく読むことが出来ました。

本書は「サピエンス」こと我々人類の歴史について書かれた本です。上下巻あわせても五百ページ超と、人類の歴史を書ききるには少ない分量ですが、上巻を読んだ限りはポイントを押さえてよくまとめられている、と感じました。そして何よりも著者の知識が凄まじいですね。人類についてこれだけ俯瞰的に、かつポイントを押さえて書くということは並大抵のことではないと思いますが、そこをうまく書かれています。

サピエンスこと人類のはじめ、ネアンデルタール人やクロマニヨン人の時代から始まり、人類の習性、言語の発達、歴史を発展させた貨幣、帝国、宗教の記述までで上巻は終わります。世界中で気候変動により絶滅したとされてきた動物たちの多くは、実は人間が原因として絶滅しているらしいこと、人類は歴史の中で統一に向けて動いていること、「帝国」という形態は悪しき目で見られることが多いが、歴史の発展の上でなくてはならない存在であり、我々は帝国の遺産の上で暮らしているということ、その他にも多くの新しい知見が得られ、本当に読んで勉強になる本だと感じます。

面白かったのは、狩猟民と農耕民の違いを書いた部分です。人として不自由無く、豊かに暮らしていくには狩猟民の方が断然すぐれている。一箇所に定住することがないため疫病にも強く、雑食になるため栄養バランスも偏らない。農耕民になることで人は定住し数を増やすことに成功したが、個人としては先々の不安の種を抱えることになり、後退し、農作物の奴隷となってしまった…。こうしたことは考えたこともなく、学校の授業で習うままに農耕民となることで人は進歩した、と考えていました。視点を何処に置くかで大きく考え方も変わってくるいい例だと感じました。

下巻も同じほどの分量ですが、下巻では主に科学技術の発展について語られるようです。下巻も楽しみに読んでみたいと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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