読書日記679:嗤う淑女


タイトル:嗤う淑女
作者:中山 七里
出版元:実業之日本社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
中学時代、いじめと病に絶望した野々宮恭子は従姉妹の蒲生美智留に命を救われる。美貌と明晰な頭脳を持つ彼女へ強烈な憧れを抱いてしまう恭子だが、それが地獄の始まりだった―。名誉、金、性的衝動…美しく成長した美智留は老若男女の欲望を残酷に操り、運命を次々に狂わせる。連続する悲劇の先に待つものは?史上最恐の悪女ミステリー!

感想--------------------------------------------------
中山七里さんの作品は、デビュー作の「さよならドビュッシー」以来です。超久しぶりです。

他人の運命を操り、のし上がろうとする美貌の女性、蒲生美智留!罪に問われず細心の注意を払って他人を陥れていく彼女の運命はー。

一気に読んでしまいました。それぐらい面白いです。細部はいろいろと突っ込みどころがあるかもしれません。でもそこをあまり気にさせない面白さです。正直、個人的には「さよならドビュッシー」よりも遥かに面白く感じました。ちょっと敬遠気味だったところもあるのですが、多くの作品を書かれていますし、読んでみようかな、と思いました。

本書は章毎に、希代の悪女である蒲生美智留に騙される人々の名前がつけられています。美智留によって詐欺や殺人など様々な犯罪の片棒を知らず知らずのうちに担がされていく人々の運命が描かれていて、その堕ちていく様の描き方が堪らず、読み進めてしまうんですね。中毒性が高い作品、と言えるかと思います。

各章の犯罪の裏取りや最後のどんでん返しのところなど、「これで捕まらないの?」って思うところも多々あるのですが、そんなことあまり気にならないくらいおもしろです。この方の作品は容易にテレビ化のイメージがつくのですが、本作もテレビ化されるといいなあ、って思いますね。

詳しくはぜひ読んでほしいのですが、終わり方もまだまだ続きを予想させる終わり方です。ぜひ美智留が主人公の続編を、今度は一つの事件を綿密にじっくりと、登場人物の欲望を浮き出させるようなねっとりとした描き方で書いてもらえればと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

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