読書日記675:阿修羅ガール


タイトル:阿修羅ガール
作者:舞城 王太郎
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的(ガーリッシュ)に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪! グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう? 東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは――。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。

感想--------------------------------------------------
Maijoこと舞城 王太郎さんの作品です。この人の作品を読むのはジョジョのスピンオフ以来です。説明不要の独自路線を突っ走る作家、というイメージですね。

女子高生のカツラ・アイコが恋愛に悩みながらも学校でシメられたり、シメたりし、調布市駅前では中学生狩りが始まり、気がついたら変な森にいたり、グルグル魔人が殺人を起こしたり。そして行き着く先はー。

一人称女子高生の語り口で始まる物語、エロあり、グロありです。センチメンタルさなんて微塵も無くって、無茶苦茶な展開なのに、最後はなんかよく終わっている感じがするのは、著者がこの人だからなんでしょうね。他の人だったら、これだけ無茶苦茶な展開になって、調布にいたと思ったら、川の上を飛んでたり、化け物の住むの森にいたりしていてうまくはまとめられないだろうなーと思います。ぶっとんでる、だけどちゃんとしてる。ここがすごいところだと思うんです。

阿修羅。
物語の全ては最後、ここに繋がってきている感じがします。阿修羅ってなんだろう?って思うけど、読んでもよくわかりません。人の持つ多面性みたいなもののように思えたり、いろいろな人の善意や悪意の塊のように思えたりもします。人間は簡単に悪にも善にもなる。そんなことを考えたりもします。

この人の作品読んでると、一文一文がうまいなあ、って思います。物語の最初の文とかすごいと思います。この一文、印象に残りますね。すごいどぎつくてインパクト大で、人によっては「なんじゃこりゃ?」ってなるかもしれないけれど、個人的にはこういうぶっ飛んだ感じ、好きです。もう少しMaijo読んでみようかと思ったりします。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

この記事へのコメント