読書日記673:ひまわりの祝祭


タイトル:ひまわりの祝祭
作者:藤原 伊織
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
自殺した妻は妊娠を隠していた。何年か経ち彼女にそっくりな女と出会った秋山だが、突然まわりが騒々しくなる。ヤクザ、闇の大物、昔の会社のスポンサー筋などの影がちらつく中、キーワードはゴッホの「ひまわり」だと気づくが……。名作『テロリストのパラソル』をしのぐ、ハードボイルド・ミステリーの傑作長編!

感想--------------------------------------------------
積ん読になっていた本です。もう三十年近く前の作品になんですね…。「テロリストのパラソル」を読んだ時はかなり衝撃を受けたことを覚えています。本当に面白かった。そして著者が亡くなられてからもしばらく時間が経ちました。

一人、銀座の古びた住居に住む男が事件に巻き込まれていく物語です。古い知り合いからの電話、カジノでの奇妙な賭け、過去の妻の死、そして見え隠れしてくる陰謀ーとミステリー色満載のハードボイルドです。

読みながら感じたのはやはり時代の流れです。オリックスにイチローがいた時代ですからね…。スマホも無く、東海道新幹線もひかりのみ、という時代、言葉遣いも「昔だなあ」、って思ってしまいました。人間嫌いで子供っぽさを残した主人公は著者の自己投影なのかもしれません。そこに現れた妻に似た女性、かつての会社の上司や同僚、そして物語が少しずつ進んでいきます。

本書は五百ページを超える作品なのですが、説明的な文章がとても多い作品だと感じます。正直、後半の方はかなり飛ばし読みしました。またストーリー的にも最後がどうしても好きになれません。なんでこんな終わり方??これでハードボイルドのつもり??って感じてしまいます。刊行当時に読んでいたらはまれたのかな??嗜好がだいぶ変わってしまったせい??また主人公が持つ、「ギャンブルほぼ負けない」という人間離れした特性はほぼ活かされず終わります。なんで?この特性だけで生きていけるとも思うのですが…。

いろいろと引っかかりを感じる作品です。何よりも文章が説明っぽくってリアル感がない。こんなに長い説明文、台詞としていわないよね?って感じです。テロリストのパラソルはすごくよかった覚えがあるのですが、時間と共に見方も変わっていっているのかな、とも感じました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):C
レビュープラス

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