読書日記669:のぼうの城 下


タイトル:のぼうの城 下
作者:和田 竜
出版元:小学館
その他:

あらすじ----------------------------------------------
「戦いまする」三成軍使者・長束正家の度重なる愚弄に対し、予定していた和睦の姿勢を翻した「のぼう様」こと成田長親は、正木丹波、柴崎和泉、酒巻靱負ら癖のある家臣らの強い支持を得て、忍城軍総大将としてついに立ちあがる。「これよ、これ。儂が求めていたものは」一方、秀吉に全権を託された忍城攻城軍総大将・石田三成の表情は明るかった。我が意を得たり、とばかりに忍城各門に向け、数の上で圧倒的に有利な兵を配備した。後に「三成の忍城水攻め」として戦国史に記される壮絶な戦いが、ついに幕を開ける。

感想--------------------------------------------------
上巻に続いての下巻です。忍城に立てこもる成田長親と石田三成の戦いが始まります。

初戦に敗北を喫した石田三成と大谷吉継の軍は、水攻めを仕掛けることにする。水攻めにより後退を余儀なくされ、窮地に陥った成田長親は、思わぬ行動に出るー。

いよいよ本番の下巻ですが、合戦の描写は爽快です。忍城の各口に攻め寄せる石田軍と、それを守る成田軍。数で圧倒的に負ける成田軍がうまく策を立てて小気味よく戦う、その戦いぶりの描写がいいです。合戦ものの爽快感を感じさせます。少数で多数をうまく破る。なかなか実戦ではあり得ない光景ですが、成田軍のくせ者ぞろいの武者たちの奮闘ぶりが伝わります。

本巻はさほど厚い本でもないため、戦はあっけないほど簡単に終わります。読んでいて思わず「あれ?これで終わり??」と感じたほどです。「のぼう様」こと成田長親のすごさは伝わってきますが、もう少し見せ場があるだろう、と思っていたので個人的には少し拍子抜けしました。終わり方は史実通りなのでしょうが、少し呆気なく、特に甲斐姫のところは少し悲しさも感じさせました。

ゲーム「戦国無双」などでは甲斐姫のすごさがよく伝わっており、その描写が本作でも生きていて、個人的にはここは好きでした。猛者どもを体術でふっとばし、不埒者は容赦なく切って捨てる豪壮で美しい甲斐姫。主人公ののぼう様よりもよほど印象に残りました。

エンターテイメント性抜群で、さらっとした読み応えの本でした。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

この記事へのコメント