読書日記668:のぼうの城(上)
タイトル:のぼうの城(上)
作者:和田 竜
出版元:小学館
その他:
あらすじ----------------------------------------------
時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。
感想--------------------------------------------------
「忍びの国」に続いて読んでみました。こちらの方が著者の名前を有名にした代表作ですね。
時は戦国、北条に攻め入った豊臣秀吉は、北条配下の武将、成田家の城、忍城攻めに石田三成と大谷吉継をつかわす。忍城の城主 成田長親は「のぼう様」と呼ばれる変わった男だったー。
私は一昨年の大河ドラマ、「真田丸」をずっと見ていましたが、本書を読んでいくと石田三成役の山本耕史さんや大谷吉継役の片岡愛之助さんの顔がすぐに思い浮かんできました。真田丸でもこの忍城は少し取り上げられていましたね。名将 真田昌幸まで城攻めに加わったにもかかわらず落せなかった城、として有名です。
映画も見ていますが、映画で主役の長親を演じていたのは野村萬斎さんだったと思います。本書を読むと野村萬斎さんよりもだいぶぼーっとした、なんともいえず得体の知れない、それでいて愛嬌のある人柄だということがわかります。馬鹿、というよりも感覚的に本質を突きすぎていて、周りがついてこれない人、それでいて人気のある人、という印象です。
史実要素とエンタメ要素を、ややエンタメ要素強めでブレンドして描き上げているという点は、「忍びの国」と共通する点です。史実や残された文献からの引用をうまくつかいながら、しかしフィクションもうまく混ぜて、物語的な厚みを増しています。この点、ストーリー作りがとてもうまいです。
本巻はこれから戦がはじまる、というまさにそこで話が終わります。下巻を読まない訳にはいきませんね。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
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