タイトル:進撃の巨人(24)
作者:諫山創
出版元:講談社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
エレンらの住むパラディ島の外には、他の人間が住む世界が広がっていた。その中の一国「マーレ」は諸外国との戦争中。苦戦を強いられる中、彼らはパラディ島に攻め入り「始祖の巨人」を手に入れる決意を新たにする。ここにもまた、必死に生きる子供たちの姿があった・・・・・・。
感想--------------------------------------------------
「進撃の巨人」の二十四巻です。この物語はここに来てまただいぶ印象の違う作品になりつつあると感じます。これまではエレンやリヴァイといった巨人たちと戦う調査兵団の視点で物語が描かれていましたが、この前の巻から攻める巨人側の視点で物語が語られるようになってきました。
最初の頃は「迫り来る圧倒的な存在によってもたらされる理不尽な運命と、それに立ち向かう少年たちの物語」だったのが、今ではその少年たちを攻める巨人たちの正体やその理由もわかり、お互いの視点から物語を描くことで物語に重厚さがもたらされています。そしてその重厚さを際立たせているのが、攻める側、巨人側の少年たちです。このことにより、巨人VS調査兵団という構図が、少年同士の戦いという構図となり、物語はさらに残酷さを増すと同時に読者は眼が離せなくなります。一体この展開を作者はどの時点から考えていたのか…?見事すぎです。
本巻では時間が一巻の時点まで戻り、ライナー、アニ、ベルトルトという三人の巨人の視点から物語が描かれていきます。壁を破って巨人たちの侵入を許した超大型巨人のベルトルト、同じく鎧の巨人として壁を破ったライナー。彼らがどのような気持ちだったのか、それが綿密に描かれることで、また物語は厚みを増していきます。
本巻の最後のひと言がぞくぞくきます。あ、この人、本当は○○○だったんだ!と言う驚き。さすがに作者はわかっている、という感じです。物語はしばらくは巨人側の視点から描かれていきそうですね。そうすると今度はエレンやミカサ、リヴァイが脅威として描かれていくことになるのでしょうか。巨人側の少年たちも必死に生きていて、その生を妨害する存在としてミカサたちが立ち向かう様は、ぜひ見てみたいです。
この作品は本当に、読み始めた頃はここまでになるとは思いもしませんでした。初期の頃も面白かったですが、今も眼を離せません。いい意味で裏切られた作品です。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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