コミック日記154:3月のライオン 13


タイトル:3月のライオン 13
作者:羽海野チカ
出版元:白泉社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
三月町の夏まつりで島田と初めて出会い、あかりと林田は、思いがけずそれぞれに転機を迎えることに。8月に開催される真夏の戦い・東洋オープンで、二海堂は“宗谷を倒した男"になるべく負けん気をたぎらせる。彼の指す将棋の駒音が、零や宗谷や滑川達、他の棋士達の胸中にまで響き渡っていく。

感想--------------------------------------------------
読んでいて「おもしろいなあ」って思う漫画はたくさんあるけれど、本作は何かカテゴリの違う「おもしろさ」を感じさせます。本巻でもそう言った感触は変わらずです。面白いだけでなく、感動し、密度がとても濃い。こうした作品は本当にまれです。

三月町での夏祭りでの出会いからの島田と林田とあかりの話、宗谷と二階堂の対局の話、滑川の話、そして香子の話、と本巻はいくつかの話から構成されています。宗谷と二階堂の対局の話が最も長くて熱いのですが、個人的には最後の香子の話がとてもよかったです。次巻の序章のような位置づけになるのでしょうか。香子の話だけでなく、どの話も各人の個性が浮き出ていて、温かみがあってとてもいいです。さして厚くはないのに、無駄な話も言葉も、コマも無くて、とても密度が濃い。そして読み終えた後の充実感と次巻への期待が半端ないです。なんとはなしに読み進めてしまいますが、この一こまを書くのに、一つの言葉を書くのに、どれだけの時間をかけたのでしょうか。本当に密度の濃い作品です。

川のながれる三月町という舞台がとてもいいと感じます。川とその川を渡る橋、その情景を背景としているからこそ、この物語は生きるのだろうと感じます。あかりや零たちが住むのも、滑川が生まれ育ったのも、香子が現れるのも、この町でなくてはならないと強く感じますね。実際、香子の話も、滑川の話も、この町でないと成り立たないのでしょう。

アニメも10月中旬からスタートします。これもまたとても楽しみです。アニメ化を祝してか、新房監督が島田八段の対局相手に出ていましたが、、、。

二階堂と宗谷の戦いは、慢性的に病を煩う二階堂に取って、生きることを実感した瞬間です。そしてその輝く生の瞬間を見たことが他の棋士たちに大きな影響を与え始めます。少し気がかりなのは二階堂ですね。燃え尽きて長期離脱、なんてことにならなければいいのですが。

簡単に言ってしまいますが、次巻にも期待しかありません。楽しみにしています。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス

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