読書日記647:幼女戦記 (1) Deus lo vult


タイトル:幼女戦記 (1) Deus lo vult
作者:カルロ・ゼン (著)
出版元:KADOKAWA / 角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
超合理主義エリートサラリーマンが転生したのは、なぜか幼女だった!? 魔法と小銃の入り乱れる異世界で、軍での出世&安全な後方勤務を目指すが、なぜかエースとして祭り上げられ……?

感想--------------------------------------------------
アニメ化もされたラノベです。ちょっと興味があって読んでみました。

神こと存在Xにより幼女 ターニャに転生させられたエリートサラリーマン。エリートサラリーマンの知識を活用して、軍で出世街道をひた走っていくー。

舞台は第二次世界大戦中のドイツを思わせるライヒ帝国。周囲全てを敵国に囲まれた帝国で、エリートサラリーマンの転生した姿である幼女 ターニャは優秀な魔導士として幼女のまま、頭角を表していきます。「幼女戦記」というタイトルですが、「かわいい」とか、「萌え」とかの要素は一切無いです。時に敵部隊を殲滅する「ラインの悪魔」として、時に部下を徹底的にしごき上げる鬼の大隊長として、ターニャは描かれていきます。ひたすらに戦争の話ですね。設定が細かくて、よく作り込まれています。

四百ページ超の大作ですが、読むのが大変です。特に文章の冗長さが非常に気になりました。こんなにページ数いるのかな?と思いながら、どんどん流し読みしていき、なんとか一日で完読です。演算宝珠を駆使した術式による魔導戦闘は読み応えがあるのですが、基本的には第二次世界大戦での戦闘と大きく変わらず、大砲が圧倒的な強さを持っていますね。観測兵としての魔導士の立ち位置や、軍の叙勲の仕組み、などなど、作者は本当に戦争者が好きなんだろうなあ、と感じさせます。

繰り返しになりますが、幼女設定の主人公の幼女としての特性は全く発揮されません。これは善し悪しありますが、このストーリーではこの展開で十分かと思います。十一歳の幼女が帝国参謀の准将と普通に会話している姿は想像するだに異様ですが...。独特の読みにくさはありますが、はまる人ははまると思います。特に戦争ものが好きな人にはたまらないでしょうね。名前とは裏腹に想定以上に硬派な作品ではありました。

ターニャの本性であるサラリーマンと存在Xたる神の駆け引き、葛藤が個人的には好きです。最強の演算宝珠を起動すると、嫌が応にも、嫌悪する存在Xを湛えることになるターニャ。この設定は好きです。物語は戦火がさらに広がったところで幕を閉じます。物語はまだまだ続いているようで、今は八巻まででているのかな?思い出した頃に、読んでみようかな、と思う作品でした。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
レビュープラス

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