コミック日記149:ファイアパンチ 5
タイトル:ファイアパンチ 5
作者:藤本タツキ
出版元:集英社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
「女の体に覆われた男」――白日の下に曝されたトガタの“秘密”。長きに渡り苦しみ続けてきた胸の内を吐露するトガタの言葉がアグニの心を激しく揺さぶる!! 己が運命と対峙すべく、アグニは全ての元凶である“あの男”の元へ…!!
感想--------------------------------------------------
ファイアパンチの五巻です。本当にこの漫画は先がどうなるかわかりません。
男の心に女の身体を持つトガタ。秘密を知られて一人旅立とうとするトガタを、アグニは追いかけるー。
いろいろと大きな動きのある最新巻です。繰り返しになりますが、物語がこの先どうなるのか、全く分かりません。予想を裏切り続ける作品です。
詳しくは読んでいただきたいのですが、作者には「この作品をどう続けていくか」ということにはあまり関心がないのでは?と感じさせます。主人公のアグニと同じように、全力で駆け抜けて、燃え上がって、燃え尽きて終わる、そんな風に考えているようでなりません。
アグニ、ドマ、トガタ、ユダ。多くの登場人物が出てきて、その行く末が示される巻でもあります。前の巻までに築いてきたものを容赦なく捨て去っていく。そうした描き方で著者の覚悟を示している巻でもあります。著者の物語への意識を感じさせる巻でもあります。
「主人公だと思っていたはずが、悪役だった」
この一言に集約される巻でもあります。人を殺すことしかしていない主人公、そしてそのことに気付き自分の存在の根底が揺らぐアグニ。自分は何のために生きるのか、その決意が揺らいだところで投げかけられる一言、「生きて」。まだ五巻ですが、もう物語は終焉に近いのではないかと思います。一方で、まだまだこれからのようにも感じさせます。どこまで続くのか、そんなことに作者は興味はないように感じます。自身の存在を確認し、証明し、行き着いたところがゴール。そんな作品なのでしょう。ここまできたら、ぜひ最後まで読んでみたいです。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
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