コミック日記148:進撃の巨人(22)
タイトル:進撃の巨人(22)
作者:諫山創
出版元:講談社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
ライナー、ベルトルト、「獣の巨人」との戦いの末、多大な犠牲を払いながらもエレンの生家へ辿り着いた調査兵団。その地下室にて、彼らはグリシャが残した3冊の本を手にする。その本に記されていたのは、グリシャの幼き日の記憶。そして、およそ1800年前、一人の少女が巨人の力を手にしたことから始まる二つの民族の暗黒の歴史。明かされたグリシャの過去と突きつけられた世界の真実を前に、エレンら調査兵団の進む道は…。
感想--------------------------------------------------
進撃の巨人も気付くと22巻目。本当に早いものです。本作はここで一つの区切りを迎え、いま発売中の別冊マガジンでは視点を変えて数年後?の世界の物語が始まっています。
巨人の真実を知ったエレンたち。その後の選択はー。
エルヴィン隊長を含む多数の犠牲の上で鎧の巨人、獣の巨人、超大型巨人を撃退したエレンたち調査兵団。巨人の真実とエレンの父親グリシャの物語が前巻から引き続き語られます。正直、よくここまで緻密なストーリーに繋がったなあ、というのが感想です。意味もわからず巨人に攻められ、壁の内側で暮らさざるを得なかった世界。そこでの巨人同士の凄まじい戦闘と不条理な死が最初は物語の持ち味だったのに、驚くような展開が何度も繰り返され、この世界の残虐な真実へと繋がっていきます。繰り返しになりますが、物語をよくここまで落し込んだなあ、というのが正直な感想です。もはやただ勢いだけの漫画ではありません。完全なる第一級の作品です。
本巻の見せ場は、いろいろあるかと思いますが、個人的には前半のグリシャとクルーガーの会話、そして後半のフロックの言葉です。特に正しいと思ったエレンたちの選択を容赦なく弾劾するフロックの言葉は、この物語ならではだと思います。生と死が隣り合わせの世界ならではの緊迫した状況下でのみ発せられる、答えのない問い、選びようのない選択を弾劾する言葉。こうした言葉は、以前はリヴァイがよく発していましたね。この物語を深く仕上げている一つの要素だと思います。
海、自由、新たな敵。まだ見ぬ新たな敵とどこまで戦い続けるのか、どこまで戦えば戦いは終わるのか。悲劇はいつまで続くのか。次巻以降も楽しみで仕方ありません。正直、一、二巻を読んだ時はここまで壮大に、緻密に物語が続くとは思っていませんでした。脱帽です。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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