読書日記634:大前研一通信_答えのない世界~グローバルリーダーになるための未来への選択~


タイトル:答えのない世界~グローバルリーダーになるための未来への選択~
作者:大前研一
出版元:ビジネス・ブレークスルー
その他:

あらすじ----------------------------------------------
今回で第10弾となる「大前研一通信・特別保存版」の電子版。

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書は大前研一通信の第十弾ということで、大前研一さんが様々な書籍に書かれた記事の抜粋と、国際バカロレア大学の説明から構成された書籍です。特に前半の大前研一さんの指摘は相変わらず鋭いと感じました。

本書に掲載されている大前研一さんのコメントの多くは「教育」に関するものです。特に一章では「21世紀に求められる人材」ということで、教育の必要性について強く解かれています。特に印象に残ったコメントを引用しながら紹介します。

「親が子供の教育にかけたお金と成果は比例しないが、かけた時間と成果は比例する」

塾に放り込んで終わり!ではダメな訳ですね。きちんと寄り添って教える事が必要という事です。


「実質的に中流階級は激減し、低所得者層と高所得者層の2つにピークがある「M型社会」になりつつある。これが意味するのは、成功者になれなければ中流を飛び越えて一気にロウアークラスに転落してしまうという事だ」


日本社会の労働者の流動性のなさにも触れられていましたが、こちらも実にその通りだと感じます。成功者と失敗者の二つしかなく、成功者は誰でもすぐに失敗者となってしまう。そして労働者に流動性がないため、失敗者は成功者になることができない。従って利得を手にしている者はそれにしがみつき、低所得者はいつまでたっても変わる事が出来ない。まさに動脈硬化です。流動性がなく、自由がなく、希望がない。経済が好況で企業はどこも過去にないほどの業績を上げているのに、社会がどこか行き詰まっていて、「こんな時代だから」みたいな言葉が蔓延する時代の理由はここにある気がします。

もっと言ってしまうと、「労働環境に流動性がない(解雇・再雇用が簡単に出来ない)」ということは、いろいろな面で現在の社会にそぐわないと思います。自身の能力を培おうというモチベーションにもつながらないですし、解雇・再雇用が簡単に出来ないため会社の注力領域を切り替える事が簡単には出来ません。有能な社員を集める事も出来ません。まさに経済成長時代の悪しき慣習なのでしょうね。政府の思い切った改善が求められる分野だと思います。本書は常々感じていた生活への不安感をうまく解きほぐしていて、すっきりしました。

「ボーダレス」という言葉が本書ではキーワードとして使われています。才能のある人材を国境を越えて集める、本書で紹介されているように、クラウドソーシングで多様な人材を一度に招集して業務を回す。このような業務形態が当たり前になってきたとき、我々はどのように変わるのだろうか、と感じます。我々の子供世代はもちろんですが、今の四十代以上のまだ現役として働き続けなければならない世代こそ、過去を知っているが故に働きにくさを感じるのではないか、と感じます。

「答えのない社会」という言葉もキーワードですね。私の世代は「答えを探すこと」が前提で、答えがない事にはどこか居心地の悪ささえ感じます。しかしこれからは答えのない事を当たり前として、自分自身で答えを定義し、創っていかなければならないようです。


「21世紀のビジネスでは、コンセプトを持つ者が成功し、豊かな暮らしを享受できるだろう」


「コンセプト」という言葉は「本質」という言葉と近い意味だと本書を読んでいて感じました。本質をどう掴み、それをどのように他人に伝え、自身の能力と紐付けていくのか。これからの時代を生きる人の課題かと感じました。

大前研一通信は毎回刺激的な内容・言い回しで、とてもいい刺激になります。また楽しみにしています。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

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