読書日記623:裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争



タイトル:裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争<〈応化クロニクル〉><〈応化クロニクル〉> (角川文庫)
作者:打海 文三
出版元:KADOKAWA / 角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
応化二年十一月未明、〈救国〉をかかげる佐官グループが第1空挺団と第32歩兵連隊を率いて首都を制圧。同日正午、首都の反乱軍は〈救国臨時政府樹立〉を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。内乱勃発の年の春にすべての公立学校は休校となった。そして、両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るために、手段を選ばず生きていくことを選択した――。

感想--------------------------------------------------
打海文三さんという著者のことは実はよく知りません。この作品を読もうと思ったきっかけは伊坂幸太郎さんが作品、「3625」で打海さんを絶賛していたから、というものです。加えて、この作品のあらすじを読み、その世界観に「読んでみたい」と思ったからです。

政府軍と反政府軍が戦闘を繰り広げる日本。戦争孤児となった佐々木海人、恵、隆の三兄弟は、その日を必死に生き延びていくー。

舞台は近未来の日本。財政破綻や武装蜂起などにより戦乱の地と化した日本を舞台に、主人公である佐々木海人が家族を守り、少年兵として必死に生き抜きのし上がっていく姿を描いた作品です。戦争孤児、麻薬、マフィア、そして目を覆うばかりの残虐行為と激しい戦闘。戦争作品にはつきものの光景ですが、日本を舞台に描かれた作品は少ないと感じました。

常陸軍に入り、その中でのし上がって力を蓄えていく海人は少年兵でありまともな教育を受けていないのにまっすぐで、その生き様は読者に感銘を与えます。この海人の性格があるからこそ、最後まで読み通せたと言ってもいいかと思います。

軍の中で出会う様々な仲間たち、そして出会いと別れ。戦争作品なので簡単に人が死んでいく様は読んでいて厳しいですが、海人のまっすぐな生き様が救いとなります。文体はとても淡白で淡々と事実を積み重ねていく書き方です。そしてそれが本作では非常に生きています。これが濃厚な描き方をされていると、読み切れなかったのではないかと思います。

本作は下巻に続きます。下巻は同じ舞台ながら主人公が切り替わります。最後まで読み終えたときに何が見えるのか、楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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