読書日記621:フェルドマン博士の 日本経済最新講義



タイトル:フェルドマン博士の 日本経済最新講義
著者:ロバート・アラン フェルドマン
出版元:文藝春秋
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ゼロから解説。経済がわかればあなたも変わる!ワールドビジネスサテライトの人気コメンテーター、フェルドマン博士による日本経済復活のガイド。

感想--------------------------------------------------
ちきりんさんのブログにて紹介されていた本です。ようやく読むことができました。著者であるフェルドマン博士ことロバート・アラン・フェルドマンさんはモルガン・スタンレーMUFG証券のチーフ・エコノミストの方です。テレビ東京で毎夜放送しているワールド・ビジネス・サテライトにもコメンテーターとしてよく登場していますので、ご存知の方も多いかと思います。本書ではこのフェルドマン博士が日本経済を様々な観点から説明しています。

結論から書いてしまうと、本書は非常に有意義に読める本でした。毎日の新聞に書かれている様々な政治的、経済的動向がどのような意味を持つのか、その中身が本書を読むと良く分かります。新聞の記事が表層的・断片的なのに対し、その中身が分かる本、というイメージでしょうか。さすがちきりんお勧めの本だけのことはあります。

本書の特徴として、著者が簡潔に日本経済、政策を「斬って」いるという点があげられます。完全なる断定口調と明確な○×、点数付け、さらにその根拠の説明により、読み手は迷うことなくすんなりと本書の内容を頭に入れることができます。特に面白いのはアベノミクスの評価をレーダーチャートを使って簡潔に示している点です。アベノミクスの評価をしている新聞、雑誌などは山ほどありますが、農業、医療、エネルギーなどの各項目に対して明確に点数を付けて評価している本書のような本はあまりないのではないかと思います。

詳細な評価はぜひ本書を読んでいただきたいのですが、この本の中で明確に言われているのは、「既得権益層」とその既得権益層を野放しにしてしまう「現行の選挙制度」こそ最もてこいれが必要な箇所、ということです。要するに「金持ちが金持ちに都合のいいように制度を作っている」ということですね。また社会保障にかかる金が多すぎることも明確に言われています。もっと教育やエネルギーなどにもお金をかけるべき、との主張です。これは良く理解できるのですが、実際にどうするのか、高齢者をどのように介護していくのか、問題は多そうだと感じました。

個人的に思うのですが、日本の現実的な将来像やロードマップを適切に描き、国民に共有することができていないため、各政策がばらばらに見えるのだ、とも感じます。人口は減るだろうし、経済成長も劇的に改善されることはありません。薔薇色の未来像に希望を持つことができず、逆にどこか胡散臭く感じてしまう風潮もずっと続いています。各分野の政策を統合しての将来イメージとその共有が必要なんだろうな、と感じました。

本書はアベノミクスを非常に客観的な視点で評価しています。これだけでも私は本書に一読の価値があると感じます。アベノミクスの「三本の矢」とその中身、各政策の状況、問題点。これらが二百ページ程度の本書で理解できるのですからお得というものです。この本の刊行からまだ一年も経っていませんが、その間にも英国のEU離脱など大きなニュースが飛び込んできています。こんどは世界経済についての講義も読んでみたいと感じました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

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