2016年08月13日

読書日記605:言ってはいけない―残酷すぎる真実―



タイトル:言ってはいけない―残酷すぎる真実―
作者:橘 玲
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
この社会にはきれいごとがあふれている。人間は平等で、努力は報われ、見た目は大した問題ではない―だが、それらは絵空事だ。進化論、遺伝学、脳科学の最新知見から、人気作家が明かす「残酷すぎる真実」。読者諸氏、口に出せない、この不愉快な現実を直視せよ。

感想--------------------------------------------------
本書は最近のベストセラーとなっていた本です。面白そうなので買ってみました。

ひと言で言ってしまうと、「人間はほぼ遺伝子に支配されている」ということを様々な事実や研究データをもとに示した本です。身体能力はさることながら、知能、疾病、犯罪歴、などなど、人生の大半は遺伝子に支配されているー。つまりは人間は生まれながらに平等でもないし、努力すれば必ず叶う訳でもないということを、明確に示した本です。まさに「言ってはいけない」わけです。

「努力は遺伝に勝てないのか」、「あまりにも残酷な美貌格差」、「子育てや教育は子供の成長に関係ない」の三つの章からなる本ですが、特に興味を持って読んだのは最後の「子育てや教育は子供の成長に関係ない」ですね。親として当然、興味を持つ箇所ですが、本書によると知能や音楽、スポーツといった能力はほとんど遺伝に支配され、唯一影響を及ぼすのは子供の所属する友達グループですが、親の教育効果はほとんどないと書かれています。親のできる事はあまりに少ない、親からの教育はなんなのか、、、と思う反面、自分が子供の頃を思い出すとなんとなく納得したりもしますね。親としてできる事は子供の可能性の芽を潰さない事と、子供の可能性に気付いてあげる事、この二点ぐらいなのだろうな、と感じます。才能は自ら開花させるものなのでしょう。

「人の行動の大半は遺伝子によって支配されている」という本書の主張には納得できる面もありますが、一方で遺伝子の呪縛から逃げ出す事はできないのだろうか、とも考えてしまいます。人は誰しも自分が快適だと思う環境や、趣味・思考も異なりますが、これも遺伝子の傾向によるのだろうか、とか、その趣味思考から逸脱できないだろうか、とか考えてしまいますね。事実であっても少し不気味に感じてしまいます。

『社会的な動物であるヒトは上手にウソをつくために知性を極端に発達させ、ついには高度な自己欺瞞の能力を身につけた』

本書のあとがきに書かれている文章です。ヒトは実際には遺伝子に支配されていて、その好悪や趣味、思考なども遺伝子レベルで決定づけられているのに、その説明や言い訳だけのために理性を働かせているー。このようにも読めますね。理性は全く役に立たない訳ではない、とその後に書かれていますが、ヒトはその行動の多くをどうしようもない遺伝子レベルに支配されているのだ、と思うと、少し気が楽になったりもします。「あの人のあの好意は遺伝子がそうさせているのだからしょうがない」っていう感じでしょうか。

本書の主張は、「遺伝子によってヒトはデザインされていて、生まれながら不平等である」という不都合な真実に目を背ける事なく、逆にそれを受け入れた上で、違いを認める社会を作り上げた方がいい、というものです。納得はできる一方で、遺伝子的に弱者となってしまった人たちに取っては救いがない、とも感じます。

この著者の本は面白い本が多そうです。また読んでみようと思います。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
posted by taka at 09:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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