読書日記603:捨てられる銀行



タイトル:捨てられる銀行
作者:橋本 卓典
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
「金融検査マニュアル」は廃止、地域の顧客にリスクをとれない銀行は消滅する!新しいビジネスモデルが求められる時代に生き残る銀行とは?金融マン、経営者必読のスクープレポート!

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書「捨てられる銀行」は共同通信社の記者による本です。中身は主に森金融庁長官の地銀に対する新方針、改革の三人のキーマン、金融庁ばかり向いて顧客の事業や地域の活性化に貢献しない地銀の有り様、そうした地銀の中でも光る地銀、これからの行方、といった具合です。

読んで感じるのは地銀のひどい状況です。金融庁の挙動には敏感に反応するのに、貸出先が苦境に陥った瞬間、一緒に事業を見直す事もなく、撤退する銀行。ドラマなどでよく見る、泣き崩れる工場の社長を尻目に撤退するスーツ姿の銀行マン、というあの構図です。結果として地域の地場産業は崩壊し、地域は廃れていくー。そんな状況があちこちで起きているようです。こうした状況を打破しようとしているのが森金融庁長官のようですね。融資先企業の価値向上や地方創世に関わるべき、という明確な方針を打ち出し、地銀の改革に邁進しています。

お金を借りた先を支援し、健全な事業経営をしてもらって、利息を返してもらうー。これが当たり前の流れですが、現在の銀行はそうでもないようです。「経営の健全化」を合い言葉に自らの経営だけを考え、お金を貸す事による貢献、という本業を忘れてしまい、まさに顧客から「捨てられる銀行」が増えてきているようですね。しかしそんな中でも光る銀行がいくつか紹介されており、これらの銀行は非常に魅力的に映りました。

もう少し踏み込むと、本書では「銀行が自分たちの業務の「本質」を忘れ「金融検査マニュアル」という「形式」重視に移ったことが悪化の元凶」と書かれているように感じます。いつしか「本質」や「本題」を忘れ、「形骸化」してしまうー。こうした例は銀行に限らず製造業や小売りなどいろいろなところで見受けられるように感じます。つまりは「本質」を伝える事がなにより重要になる訳ですが、ここを見失わずうまく伝えていく方法はないものなのだろうか??といったことを考えてしまいました。「ビジョナリーカンパニー」にも書かれている「基本理念」の伝承ですね。世の流れに左右されず、ここがうまく言っている企業は残っていくのだと思います。

本書を読んでいると、昔のテレビ番組「プロジェクトX」を思い出しました。文章はダイナミックで、金融・経済に詳しくないと読みにくい箇所は確かに少しありますが、それを補ってあまりある臨場感があります。たいへん興味深く読める本でした。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

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